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4.ミュラーもRPGをする
しおりを挟むさて、今日も『ネオ・ヴァラニア』へダイブしよう。
サービスリリースから毎日ログインしている僕を、ログイン・ログアウトの間……略称「ログ間」にいるNPC執事のフェニエは、今日も丁寧に歓迎してくれた。
「ミュラー様、お待ちしておりました」
「やっほー、フェニエが元気そうで何より。運営からのお知らせはある?」
「いえ、軽微なメンテナンスが完了したのみで、大きなお知らせはございません」
『ネオ・ヴァラニア』はインターネット上での情報公開を制限している。
公式サイトも必要最低限のシンプルなものであり、ゲームに関する更新情報やイベント情報は一切掲載していない。
その上、ユーザーが攻略サイト等を開設するのも禁じている為、『ネオ・ヴァラニア』の情報は『ネオ・ヴァラニア』内で得るしかないのだ。
僕は「普通のゲームなら、ログイン時にお知らせが来るのになぁ」と思い、ダメ元で執事フェニエに情報収集をお願いした。
その結果は、見ての通り。
報連相バッチリの執事フェニエ様様である。
彼の執事度というかサポート力は、日ごとに右肩上がりだ。
「本日は、官能区域の薔薇街および百合街で、大手系列の新店舗がオープン致します」
「へぇ。それじゃあ、どこも混むね。今日は、官能区域は避けようかな?」
「では、現在、オッキ活火山の1合目から3合目にかけて、テイスティボアの目撃情報が増加しております。そちらに足を伸ばしてみても良いかもしれませんね」
「テイスティボアか……」
オッキ活火山は、風と花の街フロランティアの東に位置する山である。
初期設定ではボッキ活火山だったらしいが、本当だろうか?
テイスティボアは名前の通り、煮て良し、焼いて良しの美味しく食べられる猪で、経験値もお金も美味しいモンスターである。
僕は連日、殆どをアナニーに費やしている。フィールドに出たのは一度だけなので、たまにはRPG部分を遊ぶのも良いだろう。
「ありがとう、フェニエ。今日はオッキ方面に行ってみるよ」
「恐縮です。設定やシステムに異常はございませんので、お気をつけていってらっしゃいませ、ミュラー様」
執事フェニエは基本的にログ間から出ない。
僕と街を歩いたのもチュートリアルの時だけだ。
それなのに、いつの間に情報を仕入れているのか不思議だが、独自の手法があるのだろう。
今日も執事フェニエに見送られながら、僕は『ネオ・ヴァラニア』の世界へと繰り出した。
風と花の街フロランティアとオッキ活火山の間には、マ・ナイタ平野がある。
マ・ナイタ平野の東端にある転移ポータルの登録は済んでいるので、今日はここからスタートし、オッキ活火山の麓から1合目を目指す。
平野に「まな板」と名付ける安直さ、僕は嫌いじゃない。「オッキ活火山」が「ボッキ活火山」だったとしても、喜んで受け入れるね。
補足すると、活火山とは1万年以内に噴火した事がある火山等を指すらしいが、現在オッキ活火山にその兆候は無く、山肌は緑豊かで動物も多い。
今日の僕の装備は、街歩き用のカジュアルスーツではなく、冒険用の初期装備だ。
レザーアーマーに、揃いの革靴。
武器は一通り支給されている中から、魔術師用の杖を選んだ。
R18-VRMMO-RPGのRPG部分を遊ぶ訳だが、このゲームはR18部分とRPG部分に深い関連があり、アナルを開発すると魔法攻撃力が上がるシステム。
連日アナニーに耽っている僕は、魔術師を選ぶのが無難な選択なのである。
「では、行きますか!」
一人、気合いを入れて山道を行く。
マ・ナイタ平野が「完全な初心者」向けフィールドであるのに対し、オッキ活火山の1合目は、そこから一歩進んだ「駆け出しさん」向けのフィールドだ。
プレイヤーとしての経験としては、僕がオッキ活火山に入るのはまだ早いが、キャラクターのステータス的には問題ないと思う。
そうでなければ、執事フェニエも、僕にテイスティボアを勧めたりしないだろう。
登山道を少し外れた位置に、ビックラットラビットという、鼠なのか兎なのか分からないモンスターを見つけた。
魔法の射程範囲に入るまで、息を殺してビックラットラビットに近づいたが、向こうは僕に気付いていない。
「『かの光』」
僕は小声で魔法名を唱えた。
木製の杖の先端が青白く光り、人の腕程の太さの光線が出現したかと思うと、弾のように勢い良くビックラットラビットへ飛んでいく。
ビックラットラビットはギャッと声を上げた。
僕は2発目を放とうと身構える。
だが、敵のHPが既に0になっていると気付いて、構えを解いた。
光の粒となって霧散するモンスター。
「え。僕、強っ……」
毎日アナニーしていただけで、こんなに一般ステータスが成長していて良いのだろうか?
体感的に、毎日RPGに勤しんでいるキャラと同等のステータスになっている気がする。
おまけに、今、レベルが上がった。
性レベルはガンガン上げているので、次のレベルアップまで時間がかかるようになってきているが、RPGのレベルは手付かずだったので、たやすく上がるようだ。
敵が弱いのではなく、僕が強い。
「『熱き光』」
虫型のモンスターも簡単に焼け死ぬ。
「『風光』」
少し強い敵にも、難なくダメージが通る。
というか、ワンパンだ。
『ネオ・ヴァラニア』の魔法は、属性としては「光魔法」の一種類しかない。光魔法の中で、様々な魔法に細分化されているのだが、僕の手持ちのどの魔法でも、一発当てるだけで、モンスターを倒せてしまえた。
モンスターは無限に湧いてくる為、狩れば狩るだけ良いとされているが、そうでなければ、生態系を壊しかねない危険な火力である。
「え~、バリ強い~。これはこれで、面白いなぁ」
などと調子に乗って、僕は3合目まで登った。
2合目の難易度は小慣れてきた人向け、3合目の難易度はそれなりに経験を積んだ人向け。
だが、やる事は変わらない。
ただひたすらに、魔法を撃つべし、撃つべしッ、撃つべしッ!
モンスターの数が増えても同様に。
魔法で攻撃して、移動しながら、また攻撃。
そんな風に、休憩もせず狩り続けていたのが良くなかったのだろう。
「ッ!?」
狼型モンスターが噛み付いてくると思ったので横に体をずらして避けたが、モンスターは予想に反して体当たりをかましてきた。
点ではなく、面での攻撃は避けきれない。
痛みというよりは、非常に強い衝撃が走る。
その一撃で、僕のHPは半分以上減ってしまった。
それだけでなく、体当たりで吹き飛んだ僕の体は、山の急斜面を転がり落ちる。
受け身のスキルなど取得していない。
僕は成す術無くダメージを受け、ようやく体が停止した時には、満身創痍だった。
「……ッ、ヒール!」
回復ポーションを取り出す力も無く、震える声で回復魔法を唱える。
敵が追って来なかったので、なんとか耐えれた。
「ヒール」
「ヒールっ」
「ヒールッ!」
回復魔法はスキルポイントを消費して取得しないと使用出来ない魔法だ。
少し高価。
それなのに、どうして僕が回復魔法を取得したのかというと、性スキル[アナル拡張]のRPG効果が、「回復魔法の回復効果にプラス補正」だったから。
一命を取り留めたのは、エロのおかげだ。
僕が生きているのは、ひとえにアナニーのおかげ。
たった一撃で瀕死になる場所まで来れてしまったのも、アナニーが原因だが、それは気付いていないフリをしよう。
僕は目に涙を浮かべながら、足りない回復分を補う為、回復ポーションを飲んだ。
「乳首開発もしよう……」
防御力が上がるから。
「アナル拡張も、もっとしよう……」
回復補正は有用だ。
集中力が切れた僕は、より一層アナニーをすると誓い、オッキ活火山を後にした。
結局、テイスティボアは見つけられなかったな。
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