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第二部
18.魔女、国王さまに指輪をはずされる②※
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絶叫にも似た悲鳴が、部屋中に響き渡る。何を叫んだが自分ではわからず、ただただ、愉悦の海に放り投げ出された。近衛の二人に聞かれたかもしれない、と頭をよぎったが、すぐに忘れてしまった。
――だって、こんなに気持ちがいいのに。
ウルリッヒが歓喜に笑んだ。
「一突きでイッたのか。可愛いな、イルヴァ」
「ああ……っ、あん、あ……っ、はぁ」
ずちゅずちゅっとみだらな音を立てながら、男根が抜き差しされる。ウルリッヒのものは逞しすぎて、慣れるまで内臓を押し上げられるような圧迫感がある。だが、熟れ切った膣には、天にも昇る至福以外の何物でもなかった。
「そう、その甘い声を聞きたかった」
「ん、だめ……っ、きもちよく、しないで……っ、もう、おかしくなる……ぅっ」
「こっちは、とっくにイルヴァにおかしくされている。あの二人が待機部屋でこれからなにをするか、説明しようか」
「いや……っ」
また恥ずかしいことを聞かされると、かぶりを振る。だが、ウルリッヒは容赦をしなかった。厚い息を吐きながら、グリグリと腰を回しながら突きいれる。
「俺に犯されている、あなたの声を頭のなかで繰り返して、自ら慰めるんだ。若いから、一度抜いたぐらいでは足りないかもしれない。可哀そうに、勤務中で女を買いに行くこともできない」
「あっ、やぁ、やめて……っ」
「可哀そうに。イルヴァは俺のものだから、想像のなかでしか犯せない」
「きゃああ……っ!」
ずこんっと、勢い良く中心を突かれた。それだけで、身体じゅうを快感が駆け巡り、必死に理性を保とうにも、揺さぶられてかなわない。今日のウルリッヒは激しかった。蜜壺は絶え間なく男根に絡みつき、歓喜にうねりながら、奥へ奥へと引き込む。何度も突き上げられて、再び絶頂の波が訪れた。
「あっ、あ……、また、イく……ぅ」
「三回目だな、俺も……っ」
「いやっ、きもちいいの、だめぇ……っ!」
イルヴァは身体がとろけるような喜びに包まれ、ひときわ大きな嬌声を上げた。同時に、ウルリッヒがどくんっどくんっと、彼女のなかに射精する。出されている間も気持ちよいのが続いて、ただだだ視界は白く塗りつぶされた。
足も手も力が入らず、崩れ落ちそうになったが、絨毯の感触を得るまえにウルリッヒに抱えられた。背面坐位で座り込んだ彼が雄茎を引き抜くと、ドロッとした白濁液が魔女の股の間を伝った。濃紺の軍服のズボンに大きなシミができる。
ウルリッヒはぐったりとしたイルヴァの腰を支えると、正面で向き合うように抱えなおした。二人は抱き合ったまま、しばらく絶頂で上がった息を整える。
彼が、魔女の乱れた赤毛をかきあげ、緑の瞳をのぞき込んできた。
「なんでもすると、言ったな?」
ものも言えないほど疲弊した彼女は、こくんと頭を下げる。アブノーマルなことはやめてほしい、と切実に思った。だが意外なことに、彼はイルヴァの耳朶にくちびるを寄せ、ささやく。
「キスしてくれ、イルヴァから」
ハッと見返すと、切れ長の碧眼が悲しげに揺らめいていた。彼女は、萎えた腰を奮い立たせ中腰になり、相手を見下ろす形で頬に手を滑らす。
――好きよ、愛しているわ。
口に出せない思いを込めて唇を重ねる。柔らかい感触は優しく、どこまでも暖かかった。唇を少し開けた彼に誘い込まれて、舌をからめあう。久しぶりの口と口の交わり。たまらなく愛おしくて、幸せな気持ちになる。
「ん……っ、ウルリッヒ」
「イルヴァ」
名前を呼び合うと、感極まった彼が強く抱きしめてくる。だが、軍服の胸章や硬い生地に裸体がじかに擦られ眉をひそめると、キスは唐突に止んだ。
「この指は、何だ?」
ウルリッヒに握られた左手は、薬指の爪の先から指の付け根まで黒く変色していた。キスに夢中になるあまり、隠すことを忘れてしまったのだ。慌てて手をはずそうにも、振り払えない。
「なんでもないわ。強く握らないでよ、馬鹿力」
「なんでもないわけがないだろう。黒ずんでる、どうして、……そうか、令嬢をカエルにする魔法を使ったせいか。アクセリアの指輪が、治癒魔法を妨害しているのか?」
「たいした妨害じゃないの。痛みは全くないのよ、色だけ。わたしは魔女なのよ。こんなの、すぐに治すわ」
イルヴァは血相を変え、必死に言い募った。まるで、子どもみたいだ。ウルリッヒは、そんな彼女を抱きしめると、乱れた赤毛を何度も撫でる。
「大丈夫だから。イルヴァ、落ち着け」
そして、彼女の左手を恭しく自分の手に乗せた。薬指から、服従の指輪を抜く。その途端、留まっていた回復の魔法が緩やかな風をともない再生され、指の色は白く滑らかなものへと変化した。
「あ、ありがとう」
強気で構えていたものの、元に戻ると正直ホッとする。彼女は、そのまま指輪が戻されるの待っていた。アクセリアの呪いのかかった指輪をつけて、嫌だ嫌だと言いながら、この城で暮らし続けるのだ。
だが何故か、ウルリッヒは指輪をズボンのポケットに入れてしまった。
「今まで、すまなかった。あなたは自由だ。本当は、もっと早くこうするべきだったんだ」
イルヴァはあっけにとられて、相手を見返す。
「ここには自由に訪ねてきてくれればいい。イルヴァだけの部屋も用意しておこう。もちろん、あの森の猟館も好きに使ってくれていい。……いや、ぜひとも使って欲しい。俺が生きている限り、『晩餐』を提供することを約束する」
「え?」
ウルリッヒは突然何を言い出すのだろう。意味が分からなかった。だが、彼は魔女の問いかけを誤解して、『晩餐』の話をする。
「俺としかできないんだろう? そこは、いい気分にさせておいてくれ」
「……ウルリッヒは結婚するの?」
マデリーナと子どもを儲けて、国難を救う。ようやく、国王として正しい決断するのだ。イルヴァはてっきりそう思った。しかしながら、彼は寂しそうに笑う。
「『所帯持ちとはベッドを共にしない』。それがあなたのルールだろう? だったら、俺はそれに従うまでだ」
彼は軍服の上衣を脱ぐと、魔女の肩にかけた。情交の名残を含んだ、柑橘系のコロンが彼女を包んだ。ウルリッヒは、そのうえから魔女を抱きしめ、耳元で囁く。
「愛している、イルヴァ」
――だって、こんなに気持ちがいいのに。
ウルリッヒが歓喜に笑んだ。
「一突きでイッたのか。可愛いな、イルヴァ」
「ああ……っ、あん、あ……っ、はぁ」
ずちゅずちゅっとみだらな音を立てながら、男根が抜き差しされる。ウルリッヒのものは逞しすぎて、慣れるまで内臓を押し上げられるような圧迫感がある。だが、熟れ切った膣には、天にも昇る至福以外の何物でもなかった。
「そう、その甘い声を聞きたかった」
「ん、だめ……っ、きもちよく、しないで……っ、もう、おかしくなる……ぅっ」
「こっちは、とっくにイルヴァにおかしくされている。あの二人が待機部屋でこれからなにをするか、説明しようか」
「いや……っ」
また恥ずかしいことを聞かされると、かぶりを振る。だが、ウルリッヒは容赦をしなかった。厚い息を吐きながら、グリグリと腰を回しながら突きいれる。
「俺に犯されている、あなたの声を頭のなかで繰り返して、自ら慰めるんだ。若いから、一度抜いたぐらいでは足りないかもしれない。可哀そうに、勤務中で女を買いに行くこともできない」
「あっ、やぁ、やめて……っ」
「可哀そうに。イルヴァは俺のものだから、想像のなかでしか犯せない」
「きゃああ……っ!」
ずこんっと、勢い良く中心を突かれた。それだけで、身体じゅうを快感が駆け巡り、必死に理性を保とうにも、揺さぶられてかなわない。今日のウルリッヒは激しかった。蜜壺は絶え間なく男根に絡みつき、歓喜にうねりながら、奥へ奥へと引き込む。何度も突き上げられて、再び絶頂の波が訪れた。
「あっ、あ……、また、イく……ぅ」
「三回目だな、俺も……っ」
「いやっ、きもちいいの、だめぇ……っ!」
イルヴァは身体がとろけるような喜びに包まれ、ひときわ大きな嬌声を上げた。同時に、ウルリッヒがどくんっどくんっと、彼女のなかに射精する。出されている間も気持ちよいのが続いて、ただだだ視界は白く塗りつぶされた。
足も手も力が入らず、崩れ落ちそうになったが、絨毯の感触を得るまえにウルリッヒに抱えられた。背面坐位で座り込んだ彼が雄茎を引き抜くと、ドロッとした白濁液が魔女の股の間を伝った。濃紺の軍服のズボンに大きなシミができる。
ウルリッヒはぐったりとしたイルヴァの腰を支えると、正面で向き合うように抱えなおした。二人は抱き合ったまま、しばらく絶頂で上がった息を整える。
彼が、魔女の乱れた赤毛をかきあげ、緑の瞳をのぞき込んできた。
「なんでもすると、言ったな?」
ものも言えないほど疲弊した彼女は、こくんと頭を下げる。アブノーマルなことはやめてほしい、と切実に思った。だが意外なことに、彼はイルヴァの耳朶にくちびるを寄せ、ささやく。
「キスしてくれ、イルヴァから」
ハッと見返すと、切れ長の碧眼が悲しげに揺らめいていた。彼女は、萎えた腰を奮い立たせ中腰になり、相手を見下ろす形で頬に手を滑らす。
――好きよ、愛しているわ。
口に出せない思いを込めて唇を重ねる。柔らかい感触は優しく、どこまでも暖かかった。唇を少し開けた彼に誘い込まれて、舌をからめあう。久しぶりの口と口の交わり。たまらなく愛おしくて、幸せな気持ちになる。
「ん……っ、ウルリッヒ」
「イルヴァ」
名前を呼び合うと、感極まった彼が強く抱きしめてくる。だが、軍服の胸章や硬い生地に裸体がじかに擦られ眉をひそめると、キスは唐突に止んだ。
「この指は、何だ?」
ウルリッヒに握られた左手は、薬指の爪の先から指の付け根まで黒く変色していた。キスに夢中になるあまり、隠すことを忘れてしまったのだ。慌てて手をはずそうにも、振り払えない。
「なんでもないわ。強く握らないでよ、馬鹿力」
「なんでもないわけがないだろう。黒ずんでる、どうして、……そうか、令嬢をカエルにする魔法を使ったせいか。アクセリアの指輪が、治癒魔法を妨害しているのか?」
「たいした妨害じゃないの。痛みは全くないのよ、色だけ。わたしは魔女なのよ。こんなの、すぐに治すわ」
イルヴァは血相を変え、必死に言い募った。まるで、子どもみたいだ。ウルリッヒは、そんな彼女を抱きしめると、乱れた赤毛を何度も撫でる。
「大丈夫だから。イルヴァ、落ち着け」
そして、彼女の左手を恭しく自分の手に乗せた。薬指から、服従の指輪を抜く。その途端、留まっていた回復の魔法が緩やかな風をともない再生され、指の色は白く滑らかなものへと変化した。
「あ、ありがとう」
強気で構えていたものの、元に戻ると正直ホッとする。彼女は、そのまま指輪が戻されるの待っていた。アクセリアの呪いのかかった指輪をつけて、嫌だ嫌だと言いながら、この城で暮らし続けるのだ。
だが何故か、ウルリッヒは指輪をズボンのポケットに入れてしまった。
「今まで、すまなかった。あなたは自由だ。本当は、もっと早くこうするべきだったんだ」
イルヴァはあっけにとられて、相手を見返す。
「ここには自由に訪ねてきてくれればいい。イルヴァだけの部屋も用意しておこう。もちろん、あの森の猟館も好きに使ってくれていい。……いや、ぜひとも使って欲しい。俺が生きている限り、『晩餐』を提供することを約束する」
「え?」
ウルリッヒは突然何を言い出すのだろう。意味が分からなかった。だが、彼は魔女の問いかけを誤解して、『晩餐』の話をする。
「俺としかできないんだろう? そこは、いい気分にさせておいてくれ」
「……ウルリッヒは結婚するの?」
マデリーナと子どもを儲けて、国難を救う。ようやく、国王として正しい決断するのだ。イルヴァはてっきりそう思った。しかしながら、彼は寂しそうに笑う。
「『所帯持ちとはベッドを共にしない』。それがあなたのルールだろう? だったら、俺はそれに従うまでだ」
彼は軍服の上衣を脱ぐと、魔女の肩にかけた。情交の名残を含んだ、柑橘系のコロンが彼女を包んだ。ウルリッヒは、そのうえから魔女を抱きしめ、耳元で囁く。
「愛している、イルヴァ」
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