関東電力殺人事件

深町珠

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政治思想

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列車は、スピードを上げて
山あいに向かって行く。

取材先の臼杵は、古い街並みのある城下町で
落ち着いた、静かな場所であり

隠れた名所だったが、近年は
大林宣彦さん、と言う映画作家が
詩情のある映画の舞台にした為か
観光客が訪れるようになった。


古い石の仏像があったりするので
それを模したものが、駅前に出来たりして
観光誘致に、地元も頑張っている。


そこで、取材の依頼となる訳だが(笑)

これと言って特徴の無い静かな街なので
興味を引くような記事になるか、は
疑問ではある。

が、仕事である(笑)


電車は、考えに耽る輝彦の視界に
風景を見せつつ、駆け抜けて行く。


関鯖・関鰺が有名な佐賀関にほど近い幸崎。


そうそう、佐賀関のそれも観光資源として
開発されたものである。

ブランド魚なので、高値が付くが
近隣の、例えば津久見や臼杵に上がる魚も
味は負けず劣らずだと地元民は語る。

幾度も来訪した事があるので、足で
そう思う輝彦である。


地方の街は、どこも街興しに頑張っているが
そうした資源の無い所に、原発開発の魔手が伸びる事がある。


マスメディアでは禁句となっている、被差別部落など
雇用に困窮する自治体などは、目標にされる事が
よくあり
そんな時、原発が危険としりながら
誘致をしてしまう、等とも聞く。


謂われのない差別なのだが、実際雇用となると
できればトラブルは避けたいと思うのも人情で

そうして、職にあぶれた人達を
自治体は生活保護などで支えてあげなくてはならず

その為に、また雇用の受け皿として
原発を受け入れれば、雇用も発生するし
莫大な補助金も手に入る。


そんな事情もあり、地方には原発が林立したが
その原資は、税金ないし電気料金である。


電気料金に、そうした金を上乗せして良い、と言う
法律だから。



都会人にはあまり縁のない視点であるが
そうした事を有り難いと感じる人々も
地方には多い。



差別に根ざす貧困は、国が解決すべき問題だと
国策としての雇用開発の一環として
原発が利用されたのは否めない事実である。

原資を、電気料金として
国民から得られるので、便利とばかりに

それを利用して、私腹を肥やす者が出てきた。
それが原発利権の起こりである。


電力会社は、その一部でしかない。

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