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Artificial
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駅の周囲は、ほとんど何も無く
水田や畑。遠景に、大きな山が見える。
珠子の住む町も、少し離れるとこういう場所があった。
盆地であるし、古都であるから
町が文化遺産として開発を避けている事もある。
「懐かしい感じ。」と、珠子。
神流は「それで、ここに住む事にしました。仕事場もあるので。」と。
珠子は「仕事、選べるのってすごいねー。」それは実感である。
珠子は職人ではあるが、仕事はそれ程選べるというものでもない。
神流は「それは同じですね。人が私の技術を選ぶのは、珠ちゃんの
お菓子作りのと。」実感である。
習っても、いいものを作れる人は少ない。向き不向きがある。
研究もそうで、勉強しても向いていない人は仕事にならない。
それはダメな人かと言うと、そうではなくて
向いている分野に居ないだけだ。
神流も、高いところはダメである (笑)から
電気工事をする仕事なら、ダメだったろう。
そんなものである。
幼い頃から物を考えているから、見ているものの理論的な成り立ちが
連想できる、と言う事である。
ふたりは、駅前から広い道を、とことこあるいて
結構立派な一軒家に着く。
「ここ。」と、神流。
「ここ?」と珠子はちょっと驚く。
どこかのお屋敷のようだ。少し古いようだけれども
珠乃家よりは新しい。
敷地も広く、周囲には木々が植えられていて
庭も広い。田畑もあるようだ。
「すごいところに住んでるのね。」と、珠子は微笑む。
神流は「いやいや。アパートがないのです。このあたり。
大学の頃の知り合いの家で。空き家を持っていると言うので、借りました。」
すごいなぁ、と。「ここなら、いいね。環境も。」
神流はにっこりと頷き「研究も楽です。周囲が静かですから。」
珠子は、さっきの首都での出来事を思い出し、頷いた。
物を考えるにはそういう場所が良い。
家は、引き戸であって
その辺りは珠乃家と同じで、珠子は和む。
硝子の格子戸を引いて、ガラガラ、と開く神流「ただいま」と。
珠子は「誰か居るの?」と聞いたが・・・。
猫のような形の物体が近づいて来て「お帰りなさい」と。
神流は「それは、猫型のロボットですね。自律します。学習します。」
珠子は驚いて「そう!神流ちゃん、凄いねー。」と、にこにこ。
神流は手の平を振って、いえいえ。と微笑んで
「大したものではありません。画像と音声を認識して、データを
蓄積して類推するだけです。まあ、AIですね。」
と、作った人にはどうと言う事はないのだけれど。
それはそういうものだ。
珠子は「私にはとっても無理」と、笑うと
神流は「わたしには和菓子は作れません」
ふたり、笑った。一緒だね、って。
「警備ロボットなんですね。お掃除もしてくれます」と、神流。
すごいなぁ、と。珠子。
どうやったらそういうものが作れるのか、などと。
それは、人間の思考と同じで
まず、その場所の障害物などを覚えて。
これは画像認識で地図を作る。
その中で、要点を覚える。出入り口であったり、窓であったり。
火元であったり。
時間を認識して、灯りをつけたり消したり。
電話が掛かって来たり、火元を確認したり。
床を掃いたり。拭いたり。
そういう事は割と可能である。
「私を覚えてくれているから、お返事もします。」と、神流。
「すごいねぇ、ほんと」と。珠子も呼んでみる。「こんばんは」
と、ロボット猫は「こんばんは」と返すけれど
人間の声なのが、どこか面白くて珠子は笑った。
「いずれは人型にする予定です。」と、神流。
「名前を言って見て下さい。珠子を覚えて、お友達になります。」と、神流。
珠子は「はじめまして。わたしは珠子です。」と、にこにこして言うと
猫ロボットは「はじめまして。珠子さん。わたしはナーヴです。」と。
かわいい声なので、珠子も和む。
「よろしく、ナーヴさん。」と、珠子はにこにこ。
ナーヴは「こちらこそ。珠子さん。」
珠子のステータスファイルが、そこで作られる。ナーヴに。
どういう人で、どんなことが好きなのか。とか。
人間のもつ先入観と同じである。
その人の好き嫌い、好みを認識して合わせてくれる。
お友達になろうとしてくれるのだ。
もし、珠子が「よろしく」と言わずに
あっちへ行け、などと言えば
珠子には近づかないようにLogicが作られる。
人間と同じである。
つまり、新幹線の中で騒ぐような人と言うのは
この認識上、近くにいるのに
自分に関係ない存在が、自分の領域(この場合は音場)に進入しているから
迷惑、と認識する訳である。
元々、人間の聴覚は
護身の為に発達したのであるから、それを好ましく思わないのは
理論的に正しい訳である。
外敵がもし来たら、騒いで居たら気づかないかもしれない。
そんな、野生の頃の記憶があるので
騒々しいところは好ましくない訳だ。
そんなLogicも、ナーヴには含まれている。
「ナーヴさんのお名前って、どういう意味ですか」と、珠子は聞いてみると
ナーヴは「ナイーヴ、と言う意味だそうです。私は、ナイーヴではありませんけれど。」と
言うので
珠子は笑った「そうですね。私の名前も私が付けたのではないのです。」と
笑った。
水田や畑。遠景に、大きな山が見える。
珠子の住む町も、少し離れるとこういう場所があった。
盆地であるし、古都であるから
町が文化遺産として開発を避けている事もある。
「懐かしい感じ。」と、珠子。
神流は「それで、ここに住む事にしました。仕事場もあるので。」と。
珠子は「仕事、選べるのってすごいねー。」それは実感である。
珠子は職人ではあるが、仕事はそれ程選べるというものでもない。
神流は「それは同じですね。人が私の技術を選ぶのは、珠ちゃんの
お菓子作りのと。」実感である。
習っても、いいものを作れる人は少ない。向き不向きがある。
研究もそうで、勉強しても向いていない人は仕事にならない。
それはダメな人かと言うと、そうではなくて
向いている分野に居ないだけだ。
神流も、高いところはダメである (笑)から
電気工事をする仕事なら、ダメだったろう。
そんなものである。
幼い頃から物を考えているから、見ているものの理論的な成り立ちが
連想できる、と言う事である。
ふたりは、駅前から広い道を、とことこあるいて
結構立派な一軒家に着く。
「ここ。」と、神流。
「ここ?」と珠子はちょっと驚く。
どこかのお屋敷のようだ。少し古いようだけれども
珠乃家よりは新しい。
敷地も広く、周囲には木々が植えられていて
庭も広い。田畑もあるようだ。
「すごいところに住んでるのね。」と、珠子は微笑む。
神流は「いやいや。アパートがないのです。このあたり。
大学の頃の知り合いの家で。空き家を持っていると言うので、借りました。」
すごいなぁ、と。「ここなら、いいね。環境も。」
神流はにっこりと頷き「研究も楽です。周囲が静かですから。」
珠子は、さっきの首都での出来事を思い出し、頷いた。
物を考えるにはそういう場所が良い。
家は、引き戸であって
その辺りは珠乃家と同じで、珠子は和む。
硝子の格子戸を引いて、ガラガラ、と開く神流「ただいま」と。
珠子は「誰か居るの?」と聞いたが・・・。
猫のような形の物体が近づいて来て「お帰りなさい」と。
神流は「それは、猫型のロボットですね。自律します。学習します。」
珠子は驚いて「そう!神流ちゃん、凄いねー。」と、にこにこ。
神流は手の平を振って、いえいえ。と微笑んで
「大したものではありません。画像と音声を認識して、データを
蓄積して類推するだけです。まあ、AIですね。」
と、作った人にはどうと言う事はないのだけれど。
それはそういうものだ。
珠子は「私にはとっても無理」と、笑うと
神流は「わたしには和菓子は作れません」
ふたり、笑った。一緒だね、って。
「警備ロボットなんですね。お掃除もしてくれます」と、神流。
すごいなぁ、と。珠子。
どうやったらそういうものが作れるのか、などと。
それは、人間の思考と同じで
まず、その場所の障害物などを覚えて。
これは画像認識で地図を作る。
その中で、要点を覚える。出入り口であったり、窓であったり。
火元であったり。
時間を認識して、灯りをつけたり消したり。
電話が掛かって来たり、火元を確認したり。
床を掃いたり。拭いたり。
そういう事は割と可能である。
「私を覚えてくれているから、お返事もします。」と、神流。
「すごいねぇ、ほんと」と。珠子も呼んでみる。「こんばんは」
と、ロボット猫は「こんばんは」と返すけれど
人間の声なのが、どこか面白くて珠子は笑った。
「いずれは人型にする予定です。」と、神流。
「名前を言って見て下さい。珠子を覚えて、お友達になります。」と、神流。
珠子は「はじめまして。わたしは珠子です。」と、にこにこして言うと
猫ロボットは「はじめまして。珠子さん。わたしはナーヴです。」と。
かわいい声なので、珠子も和む。
「よろしく、ナーヴさん。」と、珠子はにこにこ。
ナーヴは「こちらこそ。珠子さん。」
珠子のステータスファイルが、そこで作られる。ナーヴに。
どういう人で、どんなことが好きなのか。とか。
人間のもつ先入観と同じである。
その人の好き嫌い、好みを認識して合わせてくれる。
お友達になろうとしてくれるのだ。
もし、珠子が「よろしく」と言わずに
あっちへ行け、などと言えば
珠子には近づかないようにLogicが作られる。
人間と同じである。
つまり、新幹線の中で騒ぐような人と言うのは
この認識上、近くにいるのに
自分に関係ない存在が、自分の領域(この場合は音場)に進入しているから
迷惑、と認識する訳である。
元々、人間の聴覚は
護身の為に発達したのであるから、それを好ましく思わないのは
理論的に正しい訳である。
外敵がもし来たら、騒いで居たら気づかないかもしれない。
そんな、野生の頃の記憶があるので
騒々しいところは好ましくない訳だ。
そんなLogicも、ナーヴには含まれている。
「ナーヴさんのお名前って、どういう意味ですか」と、珠子は聞いてみると
ナーヴは「ナイーヴ、と言う意味だそうです。私は、ナイーヴではありませんけれど。」と
言うので
珠子は笑った「そうですね。私の名前も私が付けたのではないのです。」と
笑った。
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