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農耕
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耕運機を見たものの、ひとりで動かす自信はない珠子は
見たことのある鍬を持って、畑を耕そうと思った。
黒く光る鍬は、でも刃があるようで
そこだけ見ていると、結構怖い。
「よいしょっ」と、鍬を持つと、かなり重い。
何しろ、持ったことはない。
お餅つきの杵は持ったことがあるが、それよりは
かなり重い感じ。
試しに、庭で振り上げて、地面に振り下ろしたけれど
それだけでひと苦労。
「・・・これは、ちょっと無理かな・・・。」と、珠子は思う。
それでも屋敷の外まで担いで行った。
「・・・・広いね。」農道までは結構な距離がある。
野球なら外野スタンドまで作れそうだ。
「全部でなくても」と、屋敷の傍の
畦道になっている辺りに、鍬を振り上げて、下ろしてみた。
「よい、しょ。」重いので、弾みを付けて振り上げるだけで
一苦労。
下ろすと、足元が怖くて。「とてもダメね。これじゃ。」と
珠子は、おでこを拭って。
「都会の娘さんかね。」と、声がするので
顔を上げると、どこかのおばあちゃん。
手ぬぐいで頬かむり、麦わら帽子。
野良着、長靴。にこにこ。四角い顔。
「こんにちはー。わたし、この家に泊まってます。宜しくお願いします。珠子です」と
ごあいさつ。
おばあちゃんは頷いて「うんうん。その鍬はね、男用なの。軽いのもあるよ、ほれ。」と
おばあちゃんは、農道に止めてあった軽トラックから、鍬を持ってきた。
かなり軽い。
珠子は「なーんだ。重すぎたの。」笑うと
おばあちゃんも笑った「だどもさ、腰使えばその鍬でも上がるよ。貸して。」と
おばあちゃんはとことこ歩いてきて、珠子の持っていた鍬を振り上げて
「ほれ」地面に突き刺した。「重い方が楽よ。」
手で振るのではなく、腰で持ち上げるの、と。おばあちゃん。
少ししゃがむようにして。
珠子は真似してみると、持ち上がった。「あ、できた!」
おばあちゃんはにこにこ「だどもさ、耕運機でやるべさ。どこでも。鍬でやるのは
端っこだけ。」
と、にこにこあるいて、また、農道に戻っていった。「ちょっと用あるべさ、またくる。
そこの家。」と指差す先に、遠く見える一軒の家。
おとなりさんらしい。
「ありがとー。おばあちゃん」と、珠子は言った。
おばあちゃんは、軽トラックのエンジンを掛けて、ゆっくり、ゆっくり。
農道を走っていった。
珠子は「いいなぁ。あんなおばあちゃん。」
風がさわやか・・・・。
農耕も、けっこう大変。
そう実感した。
見たことのある鍬を持って、畑を耕そうと思った。
黒く光る鍬は、でも刃があるようで
そこだけ見ていると、結構怖い。
「よいしょっ」と、鍬を持つと、かなり重い。
何しろ、持ったことはない。
お餅つきの杵は持ったことがあるが、それよりは
かなり重い感じ。
試しに、庭で振り上げて、地面に振り下ろしたけれど
それだけでひと苦労。
「・・・これは、ちょっと無理かな・・・。」と、珠子は思う。
それでも屋敷の外まで担いで行った。
「・・・・広いね。」農道までは結構な距離がある。
野球なら外野スタンドまで作れそうだ。
「全部でなくても」と、屋敷の傍の
畦道になっている辺りに、鍬を振り上げて、下ろしてみた。
「よい、しょ。」重いので、弾みを付けて振り上げるだけで
一苦労。
下ろすと、足元が怖くて。「とてもダメね。これじゃ。」と
珠子は、おでこを拭って。
「都会の娘さんかね。」と、声がするので
顔を上げると、どこかのおばあちゃん。
手ぬぐいで頬かむり、麦わら帽子。
野良着、長靴。にこにこ。四角い顔。
「こんにちはー。わたし、この家に泊まってます。宜しくお願いします。珠子です」と
ごあいさつ。
おばあちゃんは頷いて「うんうん。その鍬はね、男用なの。軽いのもあるよ、ほれ。」と
おばあちゃんは、農道に止めてあった軽トラックから、鍬を持ってきた。
かなり軽い。
珠子は「なーんだ。重すぎたの。」笑うと
おばあちゃんも笑った「だどもさ、腰使えばその鍬でも上がるよ。貸して。」と
おばあちゃんはとことこ歩いてきて、珠子の持っていた鍬を振り上げて
「ほれ」地面に突き刺した。「重い方が楽よ。」
手で振るのではなく、腰で持ち上げるの、と。おばあちゃん。
少ししゃがむようにして。
珠子は真似してみると、持ち上がった。「あ、できた!」
おばあちゃんはにこにこ「だどもさ、耕運機でやるべさ。どこでも。鍬でやるのは
端っこだけ。」
と、にこにこあるいて、また、農道に戻っていった。「ちょっと用あるべさ、またくる。
そこの家。」と指差す先に、遠く見える一軒の家。
おとなりさんらしい。
「ありがとー。おばあちゃん」と、珠子は言った。
おばあちゃんは、軽トラックのエンジンを掛けて、ゆっくり、ゆっくり。
農道を走っていった。
珠子は「いいなぁ。あんなおばあちゃん。」
風がさわやか・・・・。
農耕も、けっこう大変。
そう実感した。
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