旅と鉄路

深町珠

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〜寝台特急"あけぼの" 2021列車〜

[現代、夜行列車の役割]

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[現代、夜行列車の役割]

かつての夜行列車、その起源は割と単純な理由で
列車の速度が遅く、遠隔地、長距離への列車到達に
長時間を要したというのがその理由である。
それ故、高速運行による速達列車が運用を始めれば
本来の夜行列車の運行の必然性はあまり無いという事になる。

副次的には、夜間の線路容量の有効活用などというメリットも
存在はしてはいるがあくまで副次的なものであり
この観点から見た夜行列車の積極運用とは、メリット/デメリットの兼ね合いから
次第に縮小傾向にあるのはやむを得ない状況である
とも思える。

夜間、眠らずに鉄道の運行をする人々に支えられて
夜行列車は走行をしているのだが...
さて、筆者は趣味人として夜行列車はとても好きである。
しかし、ひとたび鉄道員の健康、仕事の環境、という
面に目を向けて見ると廃止するという方向性は
仕方のない事なのかな、などと思ったりもする。

現用する寝台特急列車、それらが廃止の日を迎えるまで
出来る限り乗車し続けて行きたいと思ったりもする
夜行列車の夜、である。


[大清水.....]
さて、そんな回想に耽る乗客を他所に(笑)
2021列車はカーブをゆったりと通過しながら
そろそろ清水トンネルに差し掛かる頃だ、
緩やかなカーブを続け、ループ形式のトンネルである
この区間だが、夜間とあって視界に入るものは殆ど無いから
ただ、列車の動きが遠心力を伴って体に伝わる事で
カーブを通過しているのだな、と言う事が判る程度だ。

「大清水」というとJR東日本管内では駅売りの缶入り茶
などを連想するが(笑)

その連想は正しく、このトンネル工事では水脈に当たり
大変な難工事になったと聞く。そこで掘り当てた水利を
飲料水に転用したこの「大清水」だが
どこにでも手に入る缶飲料なれど、そのような由来をもって
飲すれば一味違うような気もする(笑)。

すっきりとした癖のない味、である。


[深夜の"がちゃり!"]
車内も落ち着いた様子なので、少し歩いて見ようかと思い
ベッドのクッションを跳ね上げてドアを開く。
テンキー・ロックはやはり静かな車内にピープ音が響き
少々気恥ずかしい。
電磁ロックががちゃり、と大きな音を立てる。
深夜の出入りは遠慮した方が良いようだ。



さて、高崎駅を23:21分に発車して既にお休み放送も済ませた車内は
減光されて、このB寝台個室車両は暖色系のランプの
灯りがとてもムーディ。
夜行列車らしい雰囲気だがどこかしら東北夜行というより
北海道行きの「北斗星」的な洒落た雰囲気に近い。
隣車両のA寝台個室も、減光された室内がとてもゴージャス。
金色の装飾が淡黄色の光に照らされ、輝く様はなんとも
A寝台、という語感に相応しく思える。
電球色の光は、どこか旧型客車の白熱灯を思わせ
筆者の懐古癖を満たすには十分な存在だとも言えるが...



列車は真っ直ぐに日本海を目指して走行している。
屈曲路の為か、東北本線特急ほど速度が乗らない様子で
それ故、乗り心地としては幾分ローカルな雰囲気で
のんびりと乗車できる。


同行のS君の部屋、扉を叩いて見たが
彼も既にぐっすりと...のご様子(笑)。

あけぼの号、寝心地は良いようだ。
大宮あたりまでデlッキに屯していた若者達も
皆、自室に引き上げて眠っているのだろう。

もっとも、この編成のB個室車では二人も入ると息苦しいから
酒盛り、という趣向にもならないだろうと思うが

....グループ旅行には開放式B寝台をお勧めする(笑)。





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