タビスルムスメ

深町珠

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B20-10

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「でんわ、掛けてみる。」と、友里絵は
バッグのポケットを探った。

ない。


「あれ?あれ?」

バッグのファスナーを開いて、中を探ってみた。

ない。


「どうしたんだよ、落としたのか?」と、由香。



「わかんない。」と、焦る友里絵。


「あ、いたいたー。友里絵ちゃーん、由香ちゃーん。」と、菜由。

愛紗も一緒。なんだか、スルメみたいな干物を持っている(笑)


「どしたの?」と、菜由。


「友里絵がさ、携帯を無くしたみたい」と、由香。


「掛けてみれば?」と、愛紗。



「あ、そうか!」と、由香は友里絵の携帯に掛けてみる。



派手な着信メロディが、バッグの中から (^^)。



「あ、あるのかー。じゃ、いいや。行こう!」と、友里絵。


「行こう、じゃないよ、バカ。」と、由香は笑顔で、友里絵の額をつっついた。




「でもよかった。あって」と、愛紗。

「ほんと」と、菜由。


「乗務の時はこんなことないのにー。」と、友里絵。



「まあ、仕事じゃないし。」と、由香。


4人は、駅への階段を上がり、ぺデスタル・デッキへ。


「特急で行く?」と、菜由。


列車案内を見上げて「しばらく無いわ」と、愛紗。


「次は、快速かな」と、由香。


16:00。

「もう、来てるかな。」と、友里絵は、ホームの方を見た。


結構、人が居るので・・・・・「座れるかなぁ、並ぼうか」と、友里絵。



「直ぐに空くと思うよ、座れなくても。それに、快速は編成が長いから
たぶん、座れると思う。」と、菜由は地元らしい観察。



「でも、行ってみよ!。」と、友里絵は
とっとことっとこ。


自動改札に周遊券を通し、指宿・枕崎線のホームへ向かう。



と・・・・。


線路の向こう側にある、小さな機関車が友里絵の目に留まる。


「かわいーね。」


短い煙突、車輪は4つだけ。
黒いボイラーは短く。
水タンクはボイラーの横、石炭は後ろ。


「ずっと、ここで走ってたのかなー。」と、友里絵。


「SLかぁ。乗ったことないな。」と、由香。



「まだ、走ってるところあるね」と、愛紗。


「ほんと?」と、友里絵。



「ああ、なんだっけ。阿蘇のほう。」と、菜由。



「帰りに行くね、阿蘇は。」と、愛紗。



「乗りたーい。」と、友里絵。


愛紗もにこにこ。「ダイア調べてみる」



黄色い快速列車が、ホームにゆっくりと進入してきた。


細いレールを踏みしめるように、がったん、がったん。
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