タビスルムスメ

深町珠

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愛紗は、ごはんをちょこっと
お箸でつまんで。
もぐもぐ。

真由美ちゃんは、お茶碗を左手できれいに持って。
お箸で、ちょこっとごはんをすくって。

もぐもぐ。

友里絵は・・・さっきの通り。
ごはんにコロッケをのっけて。
おしょうゆをちょっと。
コロッケ丼にして。

さっさか。

由香「よく食うなぁ。燃費悪いなぁ。車だったらアメ車だ」

友里絵「いいじゃん。食いだめ、寝だめ」


愛紗「そう。ドライバーは特にそうだね。時間長いし」

真由美ちゃん「そんなに長いですか?」


愛紗はこっくり。
「A+中勤か、B+・・だもん」

真由美ちゃん「それは・・・大変ですね。運転職では」


鉄道の運転職は2時間で一旦休憩である。
(尤も、バスも法規制でそうなったが、路線では
折り返しが「休息」と看做されているので
実際には連続勤務と同じである)。

菜由は「だから、逃げてきた」


友里絵「ははは」


由香「はははじゃないって。旅行終わったらまた同じ」


友里絵「ここはどこ?わたしはダリ?」

由香「記憶喪失か」

菜由「いたなぁ、そんな人」

由香「美人だったら映画になるけど」
と、ごはんを食べ終えて。



剥いてもらった夏みかんを、ちょいとつまんで。

「甘いねー。これ」


真由美ちゃんは「甘夏じゃないですか?これ。酸っぱいのもありますね。」

愛紗は「どこで見分けるの?」


真由美ちゃんは「皮の色とか。房のかたち」


菜由「へー。いろいろあるね。」


真由美ちゃん、にっこり「いなかの子」と。

友里絵は「まー、あたしらも東京から見れば田舎の子なんだろーけど」
由香「田舎の子、流行りなんじゃない?最近」

愛紗「あ、そうかも。エビちゃんだって宮崎だし」
菜由「ぱふゅーむも広島だ」

友里絵「ローカルアイドルね」

真由美ちゃんは「鉄道記念館のCAも、職員なんですけど・・・あの方々も同じ制服なの

で、けっこうアイドルになってますね」


菜由は「あれ、タレントさんじゃないんだ」

真由美ちゃんは「そうらしいです。あちらの方面で、希望者がやってたり、交替だったり」

友里絵は「きれいな人多いもんね、九州。作ればいいのに。JNR48」

愛紗「48って」(^^;


由香は「真由美ちゃんセンター」

真由美ちゃんは「いえいえ、わたしは出ません」

友里絵は「東山でも作れるねえ」

由香は、掌を振って「ダメダメ。ばばーばっかじゃん。BBA88だよ」


愛紗「88?」

菜由「喜寿か」

真由美ちゃんも笑う「88・・・・。」

友里絵「66くらいかな」と、♪ √、66♪・・・なーんて(^^;


菜由「それも懐かしいね」


由香「そんなのやってた?」


菜由「うん、日曜のお昼とか」


真由美ちゃん「あ、ありましたね。バイオニックジェミーとか」

友里絵「あったあった。塀から飛び降りて足くじいたり」


由香「そりゃ友里絵だ」


友里絵「よく覚えてるな」

みんな、はっはは、と笑う。

友里絵「でもあれは、仮面ライダーだって」


真由美ちゃん「男の子みたいですね」

食べたお皿を、お盆に乗せて。片付けながら。


友里絵は「あ、わたしもやるー。」

由香も。「よしよし。いい子いい子」

菜由「主婦におまかせ」

愛紗「ユースみたいね」

真由美ちゃんは「皆さんはいいんです。わたしは職員なので・・・・。」



愛紗「そうなの?」


真由美ちゃん「・・・・・なんとなく。」



友里絵「なーんだ。優しいねぇ。真由美ちゃん。いい子いい子」



愛紗「職員って、なんかいいね」

真由美ちゃん「そうですか?」


友里絵「あたしは、そうでもないけど」

由香「呼ばれてたからなぁ、職員室」


菜由「なはは。経験ね」

真由美ちゃん「なんとなく、行き難いですね」

それでも、みんなでお膳を持って。お片づけ。


真由美ちゃんは「ごちそうさまでしたー。」


おばあちゃんは「はい。きれいに食べたねー。」


友里絵も「ごちそうさまでしたー。」


おばあちゃん「ありがとね。人吉に来てくれて。」


友里絵は「いいとこですね。ここ。のーんびりできて。」


おばあちゃん、にこにこ「いつ帰るの?」

由香は「明日です」

真由美ちゃんは、その言葉を聞くとちょっと淋しそう。


菜由は、その様子を見ていて・・・「楽しかった、一緒で」

真由美ちゃんは、なぜか、涙ぐんで。うつむいて。


菜由は「よしよし。」と、抱き寄せてなでなで。

愛紗も、真由美ちゃんの肩をなでなで。


おばあちゃんは「・・・あらあら・・・うれしかったのね。お友達がいっぺんに増えて。
きょうは、お泊まりしてけば?」


真由美ちゃんは、菜由に抱かれたまま、こくり。


友里絵は「ひひひ・・・乙女の・・・。」と、そこまで言って
由香に後ろ頭をはたかれて。

「場合を考えろ」(^^;

友里絵「めんごめんご。じょーだんだってばさ」

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