タビスルムスメ

深町珠

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いくわよー。

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特急「ゆふDX」号、博多ゆきは
重厚に、久大本線を上っている。

賀来を過ぎると、川に沿い、高台を進む。

右手が山の手、左が川。


友里絵は「伯母ちゃん、居るかなぁ」

愛紗は「さあ・・・この列車は停まらないから、明日にでも行こうかなって」

菜由は「そだね」就職のハナシは、今はしないで置こう。
そういう親友らしい気遣いだった。

どのみち、答えは出ないのだけど・・・でも、愛紗は
タマちゃんとの接点で、大岡山に居るんじゃないかな、なんて菜由は思ったり。

なんたって、それがキッカケで石川と知り合えたのだから。

愛紗に恋しちゃった若い社員が、しつこく迫っていたのを

石川が「やめろ、嫌がってるだろ」と、追い払った。

その男らしさに感銘した菜由だったから。

菜由も、ずっと前はタマちゃんを気にしていたりしたのだし。




パティが微睡からめざめて、大きな青い瞳を開く

「ん・・・・?」と、まぶたをこすりこすり。

「アレ。・・・?なにしてんだろ、あたし」とあたりを見回して。

友里絵が「おはよ」と、にこにこ。



パティは、まだ思い出せない「えーと・・・・熊本から乗ってぇ。宮地で・・・ともちゃん
に会って。・・・。」

すこしリクラインさせてたシートから背中を起こして。
ブロンドの長い髪、ふわり。
首筋は、華奢で、意外と頭もちいさめ。


さかまゆちゃん、にっこり「ここにいるわよ」(^^)。


パティは「ああ、由布院に帰るんだっけ?」


友里絵は「そうそう。あたしがご飯に誘ったの!」


パティ思い出す。「あ!そーだった。KKRのご飯、美味しいから!」


ともちゃん「そうそう(^^)あたしらも泊まりだから」


友里絵「それで一緒にって。」

パティ「そうでしたー。寝ると忘れちゃう!」と、にこにこ。


ともちゃんは「ここにいるよー」と、にっこり。

列車が向之原に到着、2番線。乗降はなし。

単線なので、行き違いの停車と言う感じ。


山を下ってきたのは、赤い客車列車だった。

煉瓦色のディーゼル機関車、デッキの先にマンガのイラストで
「タウン シャトル」と書いてあって。

友里絵が「あーれ、なんだっけ・・・マンガ道場だっけ」

由香が「そうそう(^^)。なおみちゃんとか出てて。」


さかまゆちゃんは「奈緒美って聞くと、妹のことかと思うねー。」


パティは「いまは、バレーしてるのかな。元気に」

ともちゃん「もう帰りじゃない?17時前だし」

由香は「そーだねぇ。夜は危ないし」


さかまゆちゃん「熊本は大丈夫ですね。のんびりしてるし。夜が更けるのが
遅いの。朝も遅いし」


友里絵「どーして?おもしろい」

ともちゃんは「西にあるから、かな?東京より30分くらい遅いですね。」


由香は「なんか得した気分」


友里絵は「アメリカはどうなの?」

パティは「アメリカ、イッタコトアリマセーン」と、カタコトニホンゴのマネ。


みんな、笑う。

友里絵は「そうだった。なんか、そう見えちゃうんだよねー。」



愛紗は「乗務の荷物とか、国鉄小荷物ですか?」

さかまゆチャン「ハイ。特急だと、手荷物持たないでも荷物室に入れて
くれるんで。ついでに制服とか。」


菜由は「便利ー。いくらで?」


ともチャンは「はい。150円です。100kmまで」

友里絵は「あたしもそうすればよかった」


愛紗「そう。行き先を急に変えられないけど」


友里絵「あーなるほど、気まぐれ旅には向かないのか」









その頃・・・・熊本高校の体育館で。さかまゆちゃんの妹、奈緒美ちゃんは

バレーの練習を終えて。ボールを片付けたり。
ネットをしまったり。


でも、1年生だけがする、なーんていう所ではなくて。
みんなで楽しく。
2年生も3年生も。「一緒なら、楽しいもんね」と。

水銀ランプが、ぼぉっと白い。

ワックスの効いた、ニス塗りのフロアは
板張り。


モップでお掃除して。

白い体操着に、スパッツ。

大柄なので、ひときわ大きく見える。


「なおみちゃーん、終わりにしたら?」と
キャプテンの声。


さかまゆちゃんの下級生で、一緒に試合をした人、だったり。
なので・・・・奈緒美ちゃんをバレー部に引っ張ってきたヒト(^^)。


なおなおは「ハーイ」と、可愛くにこにこ。


笑顔は、お姉ちゃんに良く似ている(^^)。



バレーが、別に好きだったわけじゃないけど、でも
体動かすの、気持いいもん。

そんなふうに、なおなおは思ってる(^^)。
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