21歳のわたし ー真夏の蜃気楼ー

深町珠

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forget future

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そう、回想していたりすると

「なんか、老婆心っぽい」と、めぐは笑う。





そう、おばあちゃんの心配は

いろんなことを経験しているので



ひとつのことに、いろいろ連想してしまうから。









「つーまーりぃ。」めぐは、18才らしく

考える。





「忘れちゃえ!」



そう、めぐは、夢を自由に見る魔法を覚えたから





夢って、つまり忘れる技術なのだ。







それで、過ぎた事は全部忘れちゃえばいい。



なんたって、時間旅行で未来に行く事も

過去に行く事も、ふつうのひとには起こらない事なんだし。







その魔法で、リサの記憶のうち

忘れたほうがいい記憶を、忘れてもらったから





リサは、悩みを忘れる事ができた。





そう、悩みも記憶なのだ。









「いらないもん。全部。捨てちゃえ!」





台風娘、めぐ(笑)。




もちろん、タイムスリップした10年くらい後だから



この時間軸のめぐは、28歳くらいになってるのだろう。







たぶん、図書館に行っている筈だから

昼間、出くわす事もない。







そう思って、並木を歩いて

路面電車に乗って。





大通りで、すれ違う路面電車、幾つも。





リサの姿がないかと思って、見てみたけれど



見つからなかった。





「ひょっとして、自信をつけて

国鉄に転職したのかな?」なんて





それは楽しい空想。



おじいちゃんの後継ぎとして、国鉄に

入るなら





それは、リサにとっても、リサのお父さんに

とっても嬉しい事だろう。







「あれ?  ミシェルは、国鉄に

入らないのかなぁ」なんて、めぐは

思ったりした。







リサが、女の子なのに

おじいちゃんの後継ぎにならなくても

ミシェルがなればいいのになぁ。なんて(笑)



思う。でもまあ、それは

ミシェルの自由だ(笑)し、リサの気持ち

でもある。







リサは、おじいちゃんに

心ならず反抗をしてしまったから

その罪の意識で、ああなったのだし。









回想していて、めぐは

路面電車を下り損なって(笑)





ひとつ向こうまで行って、歩いて戻って来て。







坂道の路地を昇って、家に向かう。









「おばあちゃんは、70歳くらいかなぁ」





なんて、いろいろ想像しながら

坂道を、昇る途中で





にゃごに会った。







彼は、キャットイヤーを生きているから

髪も真っ白になって。









「よぉ」と、めぐに

しわがれ声で挨拶した。









わかってはいるけれど、でも

めぐはちょっと悲しい。







10年も、いきなりタイムスリップしちゃうと。











こういうとこに、すぐ遭ってしまう。









「にゃご。  子猫たちは?」と



めぐは、にゃごの背中をさすった。







背骨がごつごつと、老化を思わせた。









「子猫なんて、とっくに

出てったさ。もう、曾孫もいるよ」と

にゃごは、かたっぽの頬で微笑んだ。











そう、にゃごが猫に生まれ変わった理由は

天使だった、いまのクリスタさんへの想いを

遂げるため。





いつか、自身も天界へ迎えられて

その時、クリスタさんは天使に戻り...。



そうなるかもしれない。



そうならなくても、人に生まれ変わって

今は天使でもなく

ひとでもない存在になっているクリスタさんを

愛するために。



今は、猫として異界から転生している。



その、猫としての時間は、あと、もう残りすくない。



これまでの10年余りを、クリスタさんを愛する事で

生きてきた.....。







「めぐ、お前もがんばるんだな。」と、老猫にゃごは

しゃがれ声で言った。





まだ、めぐには信じられないけれど

時間軸を10年ほど、すっ飛ばすと

こんな事も起こる。









家族を持って、子の成長を見届けて、生きる事を

終える。



でも、彼は、長い長い転生が目的である。





「はい。」と、だけ、めぐは答えたけれど







内心、何をがんばるのかなぁ(^.^;)とか、思ったりもしたけれど。







それは、にゃごには分かっているのだろう。





なんたって、彼は元悪魔くん、なのだから。











にゃごは、じゃな、と

塀の際を、とことこ歩いていった。



もう、塀に登るほどの力も残ってはいないのだった。











「......。」その、背中を見送ると

めぐは、なんとなくだけど



淋しくなった。







生まれて、生きて、そして.....。生きる事を終える。



時間、全て3次元的な時間に結びついている。





生命は

自己で増殖し

代謝し

自律する。



そういう生物学的定義があるけれど



その時間軸は、物理的なものだ。







3次元的な。





でも、心の中は4次元だし、夢の中もそう。

めぐたち魔法使いは、時間旅行もできたりするけれど。







「いい夢みてね、にゃご....さん。」と、めぐは、彼の後ろ姿に

そう告げて、見送った。











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