ブライアンのお気に入り

知見夜空

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四月のこと

終わりが来るまで少しでも(性描写有り)

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 翌日の放課後。今日は部活が無いからと、ブライアンの車に乗せてもらったカザネは、そのまま彼の家に上げてもらった。最近はだいたいおしゃべりだけでは済まないので、今日もベッドに連行されてたっぷり可愛がられたが、ブライアンはやはり最後まではしなかった。

 ブライアンが行為を終えようとする気配を感じたカザネは

「ブライアンは最後までしなくていいの?」
「なんだ? 急に」

 ジムとハンナの話をしようと思ったが、勝手に言うのは悪いと、

「……本当は最後までしたいのに、私のせいで我慢させちゃっているのかなって」
「……まぁ我慢していないと言うと嘘になる。お前は可愛いから、本当は丸ごと食っちまいたいよ」

 ブライアンは恋しそうにカザネの頬に触れたが

「でもその顔を見ると、やっぱりまだ不安なんだろ? 俺もしたい気持ちはあるけど、お前があんまり小さいから、壊しそうでちょっと怖い」

 そのまま慈しむようにカザネを見つめて

「だからカザネが自分からしたくなるのを待っている。多分こういうことを繰り返して、この先に進みたいとお前が思えたら、それが頃合いだろうから」
「でも、その前に日本に帰っちゃったら?」

 その可能性はブライアンも考えていた。けっきょく一線は越えられないまま別れるかもしれないと。しかしそれでも

「時間が来る前になんて強引な奪い方はしたくないよ。体だけ自分のものにしても意味が無いから、お前の気持ちが追いつくまで待つ」

 自分の欲を満たすために、まだ準備のできていないカザネから強引に奪うことはしたくなかった。それに別れが決まっているなら、自分ではなくずっと一緒に居られる人とするほうが、カザネにはいいのかもしれないという遠慮もあった。

 ブライアンの真意を聞いたカザネは

「じゃあ、今がいい」
「えっ? 今って今か?」

 半裸のカザネに真正面から抱きつかれたブライアンは少し戸惑いつつ

「俺を待たせまいとして焦ってない?」
「そうじゃなくて。ブライアンが本当に、私を大事にしてくれているのが分かるから。もっとブライアンに触って欲しい。時間が来るまで少しでも多く、ブライアンに抱かれたい」

 刺激や快感が欲しいのではなく、ブライアンを少しでも多く自分の中に留めておきたかった。確実に近づく別れを想って泣きそうになるカザネに、ブライアンも同じように顔を歪めて

「……お前ってたまに大胆なことを言うよな。もう逃がしてやれないぞ」

 それからブライアンはカザネの中を指で蕩かすと、狭い入り口に硬くなったものを押し当てて

「あっ、うぅ……。ぶ、ブライアンの大きい……」
「ゴメン。痛いよな?」

 心配そうに頭を撫でるブライアンに、カザネは「ううん」と首を振って

「痛いけど嬉しい。幸せだからいいの」

 一生懸命ブライアンの背中に腕を回すと、

「ブライアンと繋がれて嬉しい。ありがとう」

 カザネの純粋な感謝に、ブライアンは胸の奥から愛しさがこみ上げるのを感じながら

「礼を言うのは俺のほうだよ。苦しいのに受け入れてくれてありがとな」

 生まれてはじめて「愛している」と口にした。

 無事に初体験を済ませた後も、2人は裸のままベッドの中で寄り添って

「体は大丈夫?」
「あそこ、ちょっと痛い」

 苦笑いで答えるカザネに、ブライアンは「そうだよな」と自分も痛そうな顔をすると、

「ありがとな。痛いのに最後までがんばってくれて」

 優しく頭を撫でられたカザネは照れたように微笑んで

「なんだか出産したみたいな褒められ方」

 その何気ない一言にブライアンは

「……俺の子を産んでくれたら、もっと労わるよ?」
「えっ? 俺の子を産んでくれたらって?」

 目を丸くするカザネに、ブライアンは失言を悟った。カザネと最後までできたのが嬉しくて、つい口が滑ってしまった。カザネが自分の子どもを産んでくれたらと思ったのは確かだが、6月で別れるのに子どもを産んでも何もないと、

「……ただのジョークだよ。責任も取れないのに、孕ませたりしない」
「そ、そうだよね……」

 しかしカザネの残念そうな声に気付いて

「何? ちょっと残念?」
「いやいや残念なんてことは! ……ただブライアンの赤ちゃんなら、きっと可愛いだろうなって」

 その言葉がどの程度本気なのか、ブライアンには分からなかった。でも嘘でも、自分との未来を望むようなことを言われたのが嬉しくて

「じゃあ、10年後も一緒だったら孕ませてやる」
「すごい宣言された」
「嫌?」

 ブライアンの問いに、カザネはフルフルと首を振って

「10年後も一緒だったら、私もブライアンの赤ちゃん欲しい」

 叶わないと知りつつ、本心ではそうしたいのだと答えた。10年後の話は、かえって2人に迫り来る別れを思わせて

「ぶ、ブライアン? どうしたの?」
「どうしたのって、お前がスイッチを入れたんじゃん」

 ブライアンはカザネに再び覆いかぶさると胸に触れた。カザネは目を白黒させて

「えっ? えっ? またするの?」
「心配しなくても、もう痛いことはしないよ。舐めたり触ったり、気持ちいいことだけ」

 欲情と言うよりは自分の中に少しでも、カザネの存在を刻み付けるように、ブライアンは彼女を求めた。
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