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五月のこと
プロム本番
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それから2人はプロムが行われる会場に移動した。やはり着物は目立つようで、珍しくブライアンよりもカザネのほうが注目された。
先に到着していたハンナも、カザネが来たのに気付いて
「すごく素敵ね! カザネに似合っているわ!」
と着物姿を絶賛してくれた。ちなみにハンナはシャンパンゴールドのドレスを着ていた。ハンナは身長が高く、イメチェンしてからは大人びた雰囲気なので、体のラインが美しく見えるマーメイドラインのドレスがよく似合っていた。
ハンナやジム以外にも、普段から好意的なクラスメイトたちは、いい意味で着物を珍しがり、褒めてくれた。しかしカザネにブライアンを取られて嫉妬している女子たちは
「他の皆はドレスなのに、自分だけ着物で来るなんて空気を読まなすぎじゃない? 日本人はシャイだと聞いていたけど、あの子はずいぶんな目立ちたがり屋みたいね」
わざとカザネに聞こえるように、女同士でヒソヒソ言い合った。仲間内の話にすることで一方的に傷つけ、相手には言い返させない卑怯なやり口だった。
しかしカザネの代わりに、ブライアンがよく通る声で
「感想があるなら、お近くでどうぞ? 俺の前で言えるならな」
前半はニッコリと、後半はゾッとするほど冷たい顔で言った。ブライアンの怒気を浴びた彼女たちは目に見えてたじろいだ。
しかしカザネは自分のために場の空気が凍り付くことを望まず
「い、いいよ、ブライアン。全然気にしてないから。むしろ思ったより褒められて恐縮しているくらいだよ」
カザネの気持ちを汲んだブライアンは「それならいいけど」と怒りを収めると
「着物の上に眼鏡無しじゃダンスは無理だろうし、そっちでドリンクでも飲んでいるか」
会場の端に設置された飲食スペースで、ドリンクを飲むことになった。ブライアンはカザネに飲み物が入ったグラスを渡すと、
「立ちっぱなしで辛かったら、俺に寄りかかっていいよ」
片手でカザネを引き寄せて、自分にもたれかからせた。
「あの、でもくっつきすぎじゃ」
「ダンスパーティーだぜ? ここではくっついているのが当たり前」
ブライアンの言うとおり、ほとんどのカップルは親密そうに寄り添っている。しかし相手がブライアンだと、みんな気になるようでチラチラと見られていた。男子は「ブライアン、本気であの子が好きなのか」と意外そうに。女子は自分があの場に立ちたかったと羨ましそうな顔で。
カザネは視線にややプレッシャーを感じた。でも今日はもう5月の下旬だ。6月になればカザネはすぐに日本に帰国する。自分にはもう遠慮している時間が無いと、そのままブライアンと寄り添っていた。
プロムではダンスの他に人気投票も行われる。いわゆるミスター&ミスコンテストのようなもので1位の男子はプロムキング。女子はプロムクイーンと呼ばれて皆の前でダンスを披露する。
今年のプロムキングにはブライアン。クイーンにはミシェルが選ばれた。ミシェルはクリスマスにブライアンに振られているので、じゃっかん警戒した様子で彼と向き合い
「流石にダンスの相手はしてくれるんでしょうね?」
「好きじゃないとは言ったけど、毛嫌いしているわけではないよ。ダンスの相手くらいはするさ」
気まずい相手だからってどちらかがダンスを拒否したら、断られたほうが恥を掻く。見ているほうも気まずくなって、せっかくのプロムが台無しになってしまう。だから2人が無事に踊ってくれて、カザネはホッとした。
先に到着していたハンナも、カザネが来たのに気付いて
「すごく素敵ね! カザネに似合っているわ!」
と着物姿を絶賛してくれた。ちなみにハンナはシャンパンゴールドのドレスを着ていた。ハンナは身長が高く、イメチェンしてからは大人びた雰囲気なので、体のラインが美しく見えるマーメイドラインのドレスがよく似合っていた。
ハンナやジム以外にも、普段から好意的なクラスメイトたちは、いい意味で着物を珍しがり、褒めてくれた。しかしカザネにブライアンを取られて嫉妬している女子たちは
「他の皆はドレスなのに、自分だけ着物で来るなんて空気を読まなすぎじゃない? 日本人はシャイだと聞いていたけど、あの子はずいぶんな目立ちたがり屋みたいね」
わざとカザネに聞こえるように、女同士でヒソヒソ言い合った。仲間内の話にすることで一方的に傷つけ、相手には言い返させない卑怯なやり口だった。
しかしカザネの代わりに、ブライアンがよく通る声で
「感想があるなら、お近くでどうぞ? 俺の前で言えるならな」
前半はニッコリと、後半はゾッとするほど冷たい顔で言った。ブライアンの怒気を浴びた彼女たちは目に見えてたじろいだ。
しかしカザネは自分のために場の空気が凍り付くことを望まず
「い、いいよ、ブライアン。全然気にしてないから。むしろ思ったより褒められて恐縮しているくらいだよ」
カザネの気持ちを汲んだブライアンは「それならいいけど」と怒りを収めると
「着物の上に眼鏡無しじゃダンスは無理だろうし、そっちでドリンクでも飲んでいるか」
会場の端に設置された飲食スペースで、ドリンクを飲むことになった。ブライアンはカザネに飲み物が入ったグラスを渡すと、
「立ちっぱなしで辛かったら、俺に寄りかかっていいよ」
片手でカザネを引き寄せて、自分にもたれかからせた。
「あの、でもくっつきすぎじゃ」
「ダンスパーティーだぜ? ここではくっついているのが当たり前」
ブライアンの言うとおり、ほとんどのカップルは親密そうに寄り添っている。しかし相手がブライアンだと、みんな気になるようでチラチラと見られていた。男子は「ブライアン、本気であの子が好きなのか」と意外そうに。女子は自分があの場に立ちたかったと羨ましそうな顔で。
カザネは視線にややプレッシャーを感じた。でも今日はもう5月の下旬だ。6月になればカザネはすぐに日本に帰国する。自分にはもう遠慮している時間が無いと、そのままブライアンと寄り添っていた。
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