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第二話(R18表現有り)
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グレタは侍女に手伝わせてドレスを脱ぐと、入浴を済ませて夜着に着替えた。城には今日戻ったばかりで、自室で眠るのは一か月ぶりだった。
グレタは広々としたベッドに横たわると、やっぱり我が家はいいわねと安らかな気分で目を閉じた。こうして自室で眠れるのも、ヤンデルがドラゴンを倒したおかげだと思えば、例え女欲しさでも少しは感謝してもいいと寛大な気分になった。
しかしベッドに入ってからしばらく。グレタの眠るベッドに、誰かがギシッと音を立てて乗った。頬や首筋を撫でる男の手の感触に、グレタはゾッとして飛び起きると、
「だ、誰!?」
ランプを付けると、そこに居たのは、
「ヤンデル!? なんでアンタがここに!? ここはピュアナの部屋じゃないわよ! 馬鹿じゃないの!?」
グレタは部屋を間違えたらしいヤンデルに怒鳴った。単なる人違いでも自分のベッドに男が上がり、肌に触れたのが許せなかった。
ところがヤンデルは、激高するグレタをふふっと笑うと、
「残念ながら愚かなのはグレタ様のほうです」
「私のどこが愚かだと言うのよ。女欲しさにドラゴンと戦った色狂いの英雄様が」
気性の激しさをそのまま表したようなキツイ眼つきで、グレタはヤンデルを睨んだ。しかしヤンデルは落ち着き払った態度で、
「その色狂いの英雄の要求と、自分は無関係だと思っていらっしゃるところが愚かだと言うのです」
「だって私には関係ないじゃない。アンタの相手はピュアナでしょ」
「俺は姫と結婚させて欲しいと言ったんです。ピュアナ様だとは一言も言っていません」
ピュアナじゃないなら誰なのよと、グレタは思った。この国の王女は自分とピュアナしか居ないのにと。
「…………は? えっ? まさかアンタが望んだのって」
遅れて言葉の意味に気付いたグレタは、
「嘘嘘嘘嘘!? 嫌っ、絶対に嫌! アンタなんかと結婚するなんて死んでも嫌!」
あまりのおぞましさに青ざめて取り乱した。けれどヤンデルは意中の女性の本気の拒否をものともせず、
「俺があなたとの結婚を望んでいると知ったら、そう言うだろうと思いました。あなたは昔から俺を虫けらだと馬鹿にしていましたし、あなたのもので居たいと泣いて縋れば、わざわざ人のものになりたがるなんて誇りが無い。そんな弱虫いらないと、かえって拒絶されましたから」
普通はそんな非情な態度を取られたら、相手を嫌いになる。だからグレタは自分がヤンデルに求められるなど思いもしなかった。でももしかしたら結婚とは方便で、自分のものにしていたぶるつもりかもしれない。そう考えれば国王に、姫がどれほど嫌がっても口出しするなと言った辻褄も合う。
コイツは私に復讐しようとしているのかとグレタは緊張したが、ヤンデルは紫色の瞳をとろりと蕩けさせると、
「でもなぜでしょう。俺は冷たく拒絶されるほど、あなたの関心が欲しくて仕方ありませんでした。子どもの頃はただあなたの傍に居て、その目に映ることだけを望んでいましたが、成長してからは俺を拒絶するあなたを無理やり組み敷いて、その清らかな体を滅茶苦茶に穢してやれたら、どんなに気持ちいいだろうと、ずっと夢想していました」
おぞましい欲望を向けられたグレタは、頬に触れようとする彼の手を避けるように後ずさりながら、
「変態じゃないのぉぉ!? 来ないでぇぇ!」
裏返った声で絶叫した。これだけ叫べば、普通は兵士や侍女が飛んで来るはずだが、
「どれだけ騒いだところで誰も来ませんよ? もう今日からはあなたのほうが俺のものですから。昼はこれまでどおり、あなたの安寧と栄華を護る騎士でいますが、夜はあなたのほうが妻として俺に尽くしてください」
「いやいやいやいや、絶対に嫌! アンタなんかに触られたくなっ」
拒絶の言葉は、ヤンデルの口づけによって封じられた。唇を奪われたグレタは、涙目になりながらも首を振って、彼の口づけから逃れたが、
「っ、~っ! やめにゃさい! 気持ち悪い! 穢れ……むぅっ」
再び唇を押し付けられて、今度は舌までねじ込まれた。
「う~っ、う~っ」
半泣きで抵抗するも執拗にキスされる。性格は意地悪だが、グロイのが苦手なグレタは、相手の唇や舌を噛むこともできなかった。その弱みに付け込むように、ヤンデルは舌で彼女の口内を蹂躙しつつ、
ビリィッ!
まるで悪漢のように、グレタの夜着を手で引き裂いた。小ぶりな乳房を露にされたグレタは、あまりのショックに「ひっ」と息を飲んで、
「このケダモノぉ! こんなことをするなんて人間じゃない!」
涙目で誹るも、ヤンデルはかえって愉しそうに笑って、
「はい。俺は虫けらでケダモノなので。可哀想ですね、こんな俺に穢されるなんて。どれだけ泣いて嫌がっても、誰にも助けてもらえないなんて」
「ち、父上はこのことを知っているの?」
父が差し出したのはピュアナだ。それが本当はグレタだと知ったら、一度は止めに入るはず。それなのに、なぜ来ないのかと疑問で聞くと、
「俺がドラゴンを倒して来るまではピュアナ様が目当てだと思っていたようですが、今日のパーティーの前にはすでに知っていましたよ。俺が欲しいのはグレタ様だと」
ヤンデルの言うとおりだとすれば、
『……彼がどれほどのことをお前にしようとしているかは分からない。だが、お前がどれほど嫌がって泣いてもわしは助けてやれん。男は泣いたら泣いたで興奮するから、しつこくされたくなければ、良くも悪くも反応しないようにとしか言えない。すまないな』
あの沈痛な面持ちと役に立たないアドバイスは、ピュアナではなくグレタに向けたものだったらしい。それに気づいたグレタは、
「さ、最低。男なんて最低」
腕で胸を隠しながら、目を潤ませて震えた。普通なら憐れに思う姿だが、ヤンデルはかえって興奮して、
「本当に可愛いですね、グレタ様。潔癖で誇り高くて。今から俺がその誇りを踏みにじるのかと思うとゾクゾクします」
「変態ぃぃ……。やだぁぁ……」
しかしヤンデルは問答無用でグレタをベッドに押し倒すと、
「あっ、やだ! 胸、触っていいなんて言ってない!」
「今日からは夫婦ですから。許可は要りません」
彼女の両手を頭上でまとめて、柔らかな胸を片手で揉んだ。けれど長年ため込んだ欲求が、それくらいで満たされるはずもなく、
「ああっ、馬鹿! 唾なんてつけないで!」
もう片方の乳房をペロペロと舐められてグレタは怒った。肌を舐められた時は、ただ気持ちが悪いだけだったが、
「やだやだ、それダメ! 舐めちゃやだぁ!」
いつの間にか勃ちあがった乳首を、尖った舌先で虐められてグレタは悲鳴をあげた。
「美味しいです、グレタ様の飾り。舌で舐るのも指で弄るのも」
そう言いながらヤンデルは、舌と指でグレタの胸の頂を責め続けた。最初は泣いて嫌がるだけのグレタだったが、
「ひっ、やだ。気持ち悪いのに……」
気持ち悪いだけではない何かに、ビクビクと体を跳ねさせた。ヤンデルは、そんなグレタを愛おしそうに見下ろして、
「気持ち悪いのに、気持ちいいですか?」
「そ、そんなこと言ってない! 気持ち悪くて嫌なのっ!」
「俺はあなたがそうやって反応してくれるだけで嬉しいです。一時は拝謁すら許されませんでしたから。こうしてあなたの素肌に触れて味わえるだけで夢のようです」
ヤンデルがグレタに捨てられたのは、ある事件が原因だった。気難しいグレタに社交性を身に着けようと、ヒヨル王は同年代の貴族の子どもたちを城に招いた。
彼らは王女であるグレタには礼儀正しく振る舞ったが、孤児のくせに自分よりも容姿の優れたヤンデルに嫉妬したのか、陰で彼をイジメた。ヤンデルはいつもそうして来たように、ただ感情を殺して嵐が過ぎるのを待った。
しかし少年たちがヤンデルに暴力を振るっているのを見たグレタは
「これは私の小姓よ! 誰が王女である私の持ち物で、勝手に遊んでいいと許可したの!?」
少年たちからヤンデルを奪い返し、身のほどを知れと強く叱りつけた。一方的に刺されるばかりで反抗できなくなっていたヤンデルには、燃えるようなグレタの怒りが美しく見えた。
ところがグレタに心を奪われたのも束の間、
「彼らにやられたことをアンタもやり返しなさい、ヤンデル。命令よ」
グレタはヤンデルに仕返しを命じた。剣を教えてやると一方的に木剣で打たれたのと同じ数だけ、貴族の子を叩いてやれと。この世界では奴隷が貴族に歯向かったら、まして暴力を振るったら殺されても文句は言えない。
今回は王女が命令し、貴族の子どもたちも嫌々ながら受け入れた。だからヤンデルが実行しても、殺されることは無いとグレタは言った。それでもヤンデルは、貴族の子どもたちにやり返すことができなかった。染みついた恐怖に負けてしまった。
ピュアナならすっかり恐怖に支配されたヤンデルを憐れみ、優しく労わったかもしれない。しかしグレタは
「私がついていても戦えないなんて、この弱虫。アンタみたいな情けない子は要らない」
それまでサンドバッグとしてではあるが、構い倒して来たヤンデルを捨てた。この時にはすでにグレタに心酔していたヤンデルは、彼女から離れることを嫌がって
「なんでもするから、どうか捨てないで。そばに居させてください。姫様のものでいたいんです」
はじめて涙を見せて懇願したが、
「アンタには人としての誇りがないの? 踏みにじられることに慣れて、恥じもしない虫けらをなんで傍に置かなくちゃいけないのよ」
下手に出るほどグレタはヤンデルが疎ましくなり、
「だいたい王族に願える立場じゃないでしょう。消えなさいよ、弱虫」
と冷たく追い払った。
ここまで徹底的に拒絶されれば、普通は相手が嫌いになる。しかしヤンデルの場合は、自分には手に入らないと突きつけられるほど、グレタへの執着が激しくなった。
弱虫は嫌いだと言うから強くなった。願える立場じゃないと言うから、願わなくてもいい立場を求めた。グレタのものになれないなら、自分がグレタをものにしようと決めた。
そのために必要なことは今度こそなんでもやると、剣を振るえずに捨てられたヤンデルは、自ら剣を取り兵士になった。
12で兵士になり、騎士になるまで5年かかった。身分の卑しさゆえに、騎士になるまでの5年間、ヤンデルは城に上がることを許されなかった。
だから再会したグレタが『あの時捨てた孤児』としてでも自分を認識してくれて嬉しかった。嫌味だろうが声をかけられるだけで胸が高鳴った。
ただグレタは自分のような卑しい人間が、浅ましい欲望を抱くことなど絶対に許さないだろう。だから今日までは、グレタへの執心を隠していた。
それが今やっとグレタに触れられて、ヤンデルは本当に嬉しくて、
「ひっ、やだ……。胸ばっか……。しつこい……」
「では、そろそろこちらも触りましょうか?」
ヤンデルは妖しく微笑むと、グレタの下着を脱がせた。秘所を弄られたグレタは、未知の感覚にビクッと体を跳ねさせて
「~っ!? そこは本当に嫌っ!」
「でも濡れていますよ、グレタ様のここ。女性は快楽を得るとここが濡れるそうです。ご存じでしたか?」
ヤンデルはわざと、くちゅくちゅと水音を立てるように指を動かした。
「し、知らない。嘘を吹き込まないで……っ、ああっ!?」
ヤンデルの指先が敏感な突起を掠めた瞬間、グレタの身体に電流のような衝撃が走った。
「やっ? 何? 何そこ?」
「女性が好きなところだそうです。こうして触られると堪らないとか。グレタ様もお好きですか?」
そう言いながらヤンデルは、陰核を指先でもてあそんだ。
「好きじゃない。やだ。やめてよぉ」
耐えがたい快感に、グレタは涙声で腰をくねらせた。本当は彼女が感じていることを知りながら、ヤンデルは素知らぬ顔で、
「指だと痛いですか? それなら」
グレタの両ももを持って止める間もなくパカッと開くと、
「っ!? 嘘嘘!? やだ、そんなとこ!」
股の間に顔を突っ込まれてグレタは絶叫したが、
「侍女に風呂の世話をさせることはあっても、ナカまで見られるのは流石にはじめてですよね? 俺だけがあなたの色と形を知っているなんて嬉しいです」
ヤンデルは陶然と彼女のナカに見入ると、
「っ!? やぁ、チロチロやだぁっ!」
今度は舌でグレタの敏感な突起を嬲った。グレタがいくら嫌だと泣いても、今度は返事もせずにペロペロ、チュプチュプと陰核を舐め続ける。グレタの秘所からは拒否の言葉とは裏腹に、行為を喜ぶように蜜が溢れ出した。
ヤンデルはその蜜をいやらしく舐めとりながら、
「嫌だ嫌だと言いながら、気持ち良さそうに腰が揺れていますよ。潔癖なあなたでも、ここを舐められるのは堪らないですか?」
「分からない。もう分からない。やめて欲しい……」
疲れ切ってか弱い声で懇願するグレタに、
「あなたのそんなか弱い表情ははじめて見ました。とても可愛いです、グレタ様。危険な賭けに挑んだ甲斐がありました」
ヤンデルは蕩けそうな微笑みを浮かべると、
「~ああっ!? そ、そこダメ! 指を入れないで!」
「大丈夫です。ちゃんとグレタ様が痛くないように、丁寧に解しますから」
グレタの狭い入り口を丁寧に解しはじめた。狭い中を穿つ指が一本また一本と増えるたび、グレタはこの先の行為をまざまざと想像させられて、
「お、お願い。それだけは。もう意地悪しないから。許して」
ずっと堪えていた涙を今度こそはらはらと落とした。けれどヤンデルはかえって幸福そうに、そのはじめての表情に見惚れながら、
「許してと言われても、俺はグレタ様を恨んでいるわけではありませんから。ただどうしようもなく、あなたが欲しいだけです。あなたの気高さも愚かさも、はじめて見る弱さも、愛しくて仕方ないので」
そう言うとヤンデルは、グレタへの欲望ではち切れそうなそれを彼女の入り口に押し当てて、
「あっ、やぁっ、来る。汚いの、入っちゃう」
どれだけ嫌がっても自分を受け入れるしかない憐れなグレタに、ヤンデルは欲情に目を細めながら、
「はい。俺の汚いモノで、あなたの奥まで穢させてください」
処女膜を突き破って、彼女の最奥まで自分のものとした。最愛のグレタと遂に交わったヤンデルの欲望はなかなか収まらず、
「あっ、あっ、もうやだ。パチュパチュやだぁ……」
数え切れないほど絶頂させられて、息も絶え絶えで泣くグレタを、それでも執拗に揺さぶり続けながら、
「ひっ、またビューって……。赤ちゃんできる……。いやぁ……」
憧れの人の中に夜通し精を吐き出し続けた。
グレタは広々としたベッドに横たわると、やっぱり我が家はいいわねと安らかな気分で目を閉じた。こうして自室で眠れるのも、ヤンデルがドラゴンを倒したおかげだと思えば、例え女欲しさでも少しは感謝してもいいと寛大な気分になった。
しかしベッドに入ってからしばらく。グレタの眠るベッドに、誰かがギシッと音を立てて乗った。頬や首筋を撫でる男の手の感触に、グレタはゾッとして飛び起きると、
「だ、誰!?」
ランプを付けると、そこに居たのは、
「ヤンデル!? なんでアンタがここに!? ここはピュアナの部屋じゃないわよ! 馬鹿じゃないの!?」
グレタは部屋を間違えたらしいヤンデルに怒鳴った。単なる人違いでも自分のベッドに男が上がり、肌に触れたのが許せなかった。
ところがヤンデルは、激高するグレタをふふっと笑うと、
「残念ながら愚かなのはグレタ様のほうです」
「私のどこが愚かだと言うのよ。女欲しさにドラゴンと戦った色狂いの英雄様が」
気性の激しさをそのまま表したようなキツイ眼つきで、グレタはヤンデルを睨んだ。しかしヤンデルは落ち着き払った態度で、
「その色狂いの英雄の要求と、自分は無関係だと思っていらっしゃるところが愚かだと言うのです」
「だって私には関係ないじゃない。アンタの相手はピュアナでしょ」
「俺は姫と結婚させて欲しいと言ったんです。ピュアナ様だとは一言も言っていません」
ピュアナじゃないなら誰なのよと、グレタは思った。この国の王女は自分とピュアナしか居ないのにと。
「…………は? えっ? まさかアンタが望んだのって」
遅れて言葉の意味に気付いたグレタは、
「嘘嘘嘘嘘!? 嫌っ、絶対に嫌! アンタなんかと結婚するなんて死んでも嫌!」
あまりのおぞましさに青ざめて取り乱した。けれどヤンデルは意中の女性の本気の拒否をものともせず、
「俺があなたとの結婚を望んでいると知ったら、そう言うだろうと思いました。あなたは昔から俺を虫けらだと馬鹿にしていましたし、あなたのもので居たいと泣いて縋れば、わざわざ人のものになりたがるなんて誇りが無い。そんな弱虫いらないと、かえって拒絶されましたから」
普通はそんな非情な態度を取られたら、相手を嫌いになる。だからグレタは自分がヤンデルに求められるなど思いもしなかった。でももしかしたら結婚とは方便で、自分のものにしていたぶるつもりかもしれない。そう考えれば国王に、姫がどれほど嫌がっても口出しするなと言った辻褄も合う。
コイツは私に復讐しようとしているのかとグレタは緊張したが、ヤンデルは紫色の瞳をとろりと蕩けさせると、
「でもなぜでしょう。俺は冷たく拒絶されるほど、あなたの関心が欲しくて仕方ありませんでした。子どもの頃はただあなたの傍に居て、その目に映ることだけを望んでいましたが、成長してからは俺を拒絶するあなたを無理やり組み敷いて、その清らかな体を滅茶苦茶に穢してやれたら、どんなに気持ちいいだろうと、ずっと夢想していました」
おぞましい欲望を向けられたグレタは、頬に触れようとする彼の手を避けるように後ずさりながら、
「変態じゃないのぉぉ!? 来ないでぇぇ!」
裏返った声で絶叫した。これだけ叫べば、普通は兵士や侍女が飛んで来るはずだが、
「どれだけ騒いだところで誰も来ませんよ? もう今日からはあなたのほうが俺のものですから。昼はこれまでどおり、あなたの安寧と栄華を護る騎士でいますが、夜はあなたのほうが妻として俺に尽くしてください」
「いやいやいやいや、絶対に嫌! アンタなんかに触られたくなっ」
拒絶の言葉は、ヤンデルの口づけによって封じられた。唇を奪われたグレタは、涙目になりながらも首を振って、彼の口づけから逃れたが、
「っ、~っ! やめにゃさい! 気持ち悪い! 穢れ……むぅっ」
再び唇を押し付けられて、今度は舌までねじ込まれた。
「う~っ、う~っ」
半泣きで抵抗するも執拗にキスされる。性格は意地悪だが、グロイのが苦手なグレタは、相手の唇や舌を噛むこともできなかった。その弱みに付け込むように、ヤンデルは舌で彼女の口内を蹂躙しつつ、
ビリィッ!
まるで悪漢のように、グレタの夜着を手で引き裂いた。小ぶりな乳房を露にされたグレタは、あまりのショックに「ひっ」と息を飲んで、
「このケダモノぉ! こんなことをするなんて人間じゃない!」
涙目で誹るも、ヤンデルはかえって愉しそうに笑って、
「はい。俺は虫けらでケダモノなので。可哀想ですね、こんな俺に穢されるなんて。どれだけ泣いて嫌がっても、誰にも助けてもらえないなんて」
「ち、父上はこのことを知っているの?」
父が差し出したのはピュアナだ。それが本当はグレタだと知ったら、一度は止めに入るはず。それなのに、なぜ来ないのかと疑問で聞くと、
「俺がドラゴンを倒して来るまではピュアナ様が目当てだと思っていたようですが、今日のパーティーの前にはすでに知っていましたよ。俺が欲しいのはグレタ様だと」
ヤンデルの言うとおりだとすれば、
『……彼がどれほどのことをお前にしようとしているかは分からない。だが、お前がどれほど嫌がって泣いてもわしは助けてやれん。男は泣いたら泣いたで興奮するから、しつこくされたくなければ、良くも悪くも反応しないようにとしか言えない。すまないな』
あの沈痛な面持ちと役に立たないアドバイスは、ピュアナではなくグレタに向けたものだったらしい。それに気づいたグレタは、
「さ、最低。男なんて最低」
腕で胸を隠しながら、目を潤ませて震えた。普通なら憐れに思う姿だが、ヤンデルはかえって興奮して、
「本当に可愛いですね、グレタ様。潔癖で誇り高くて。今から俺がその誇りを踏みにじるのかと思うとゾクゾクします」
「変態ぃぃ……。やだぁぁ……」
しかしヤンデルは問答無用でグレタをベッドに押し倒すと、
「あっ、やだ! 胸、触っていいなんて言ってない!」
「今日からは夫婦ですから。許可は要りません」
彼女の両手を頭上でまとめて、柔らかな胸を片手で揉んだ。けれど長年ため込んだ欲求が、それくらいで満たされるはずもなく、
「ああっ、馬鹿! 唾なんてつけないで!」
もう片方の乳房をペロペロと舐められてグレタは怒った。肌を舐められた時は、ただ気持ちが悪いだけだったが、
「やだやだ、それダメ! 舐めちゃやだぁ!」
いつの間にか勃ちあがった乳首を、尖った舌先で虐められてグレタは悲鳴をあげた。
「美味しいです、グレタ様の飾り。舌で舐るのも指で弄るのも」
そう言いながらヤンデルは、舌と指でグレタの胸の頂を責め続けた。最初は泣いて嫌がるだけのグレタだったが、
「ひっ、やだ。気持ち悪いのに……」
気持ち悪いだけではない何かに、ビクビクと体を跳ねさせた。ヤンデルは、そんなグレタを愛おしそうに見下ろして、
「気持ち悪いのに、気持ちいいですか?」
「そ、そんなこと言ってない! 気持ち悪くて嫌なのっ!」
「俺はあなたがそうやって反応してくれるだけで嬉しいです。一時は拝謁すら許されませんでしたから。こうしてあなたの素肌に触れて味わえるだけで夢のようです」
ヤンデルがグレタに捨てられたのは、ある事件が原因だった。気難しいグレタに社交性を身に着けようと、ヒヨル王は同年代の貴族の子どもたちを城に招いた。
彼らは王女であるグレタには礼儀正しく振る舞ったが、孤児のくせに自分よりも容姿の優れたヤンデルに嫉妬したのか、陰で彼をイジメた。ヤンデルはいつもそうして来たように、ただ感情を殺して嵐が過ぎるのを待った。
しかし少年たちがヤンデルに暴力を振るっているのを見たグレタは
「これは私の小姓よ! 誰が王女である私の持ち物で、勝手に遊んでいいと許可したの!?」
少年たちからヤンデルを奪い返し、身のほどを知れと強く叱りつけた。一方的に刺されるばかりで反抗できなくなっていたヤンデルには、燃えるようなグレタの怒りが美しく見えた。
ところがグレタに心を奪われたのも束の間、
「彼らにやられたことをアンタもやり返しなさい、ヤンデル。命令よ」
グレタはヤンデルに仕返しを命じた。剣を教えてやると一方的に木剣で打たれたのと同じ数だけ、貴族の子を叩いてやれと。この世界では奴隷が貴族に歯向かったら、まして暴力を振るったら殺されても文句は言えない。
今回は王女が命令し、貴族の子どもたちも嫌々ながら受け入れた。だからヤンデルが実行しても、殺されることは無いとグレタは言った。それでもヤンデルは、貴族の子どもたちにやり返すことができなかった。染みついた恐怖に負けてしまった。
ピュアナならすっかり恐怖に支配されたヤンデルを憐れみ、優しく労わったかもしれない。しかしグレタは
「私がついていても戦えないなんて、この弱虫。アンタみたいな情けない子は要らない」
それまでサンドバッグとしてではあるが、構い倒して来たヤンデルを捨てた。この時にはすでにグレタに心酔していたヤンデルは、彼女から離れることを嫌がって
「なんでもするから、どうか捨てないで。そばに居させてください。姫様のものでいたいんです」
はじめて涙を見せて懇願したが、
「アンタには人としての誇りがないの? 踏みにじられることに慣れて、恥じもしない虫けらをなんで傍に置かなくちゃいけないのよ」
下手に出るほどグレタはヤンデルが疎ましくなり、
「だいたい王族に願える立場じゃないでしょう。消えなさいよ、弱虫」
と冷たく追い払った。
ここまで徹底的に拒絶されれば、普通は相手が嫌いになる。しかしヤンデルの場合は、自分には手に入らないと突きつけられるほど、グレタへの執着が激しくなった。
弱虫は嫌いだと言うから強くなった。願える立場じゃないと言うから、願わなくてもいい立場を求めた。グレタのものになれないなら、自分がグレタをものにしようと決めた。
そのために必要なことは今度こそなんでもやると、剣を振るえずに捨てられたヤンデルは、自ら剣を取り兵士になった。
12で兵士になり、騎士になるまで5年かかった。身分の卑しさゆえに、騎士になるまでの5年間、ヤンデルは城に上がることを許されなかった。
だから再会したグレタが『あの時捨てた孤児』としてでも自分を認識してくれて嬉しかった。嫌味だろうが声をかけられるだけで胸が高鳴った。
ただグレタは自分のような卑しい人間が、浅ましい欲望を抱くことなど絶対に許さないだろう。だから今日までは、グレタへの執心を隠していた。
それが今やっとグレタに触れられて、ヤンデルは本当に嬉しくて、
「ひっ、やだ……。胸ばっか……。しつこい……」
「では、そろそろこちらも触りましょうか?」
ヤンデルは妖しく微笑むと、グレタの下着を脱がせた。秘所を弄られたグレタは、未知の感覚にビクッと体を跳ねさせて
「~っ!? そこは本当に嫌っ!」
「でも濡れていますよ、グレタ様のここ。女性は快楽を得るとここが濡れるそうです。ご存じでしたか?」
ヤンデルはわざと、くちゅくちゅと水音を立てるように指を動かした。
「し、知らない。嘘を吹き込まないで……っ、ああっ!?」
ヤンデルの指先が敏感な突起を掠めた瞬間、グレタの身体に電流のような衝撃が走った。
「やっ? 何? 何そこ?」
「女性が好きなところだそうです。こうして触られると堪らないとか。グレタ様もお好きですか?」
そう言いながらヤンデルは、陰核を指先でもてあそんだ。
「好きじゃない。やだ。やめてよぉ」
耐えがたい快感に、グレタは涙声で腰をくねらせた。本当は彼女が感じていることを知りながら、ヤンデルは素知らぬ顔で、
「指だと痛いですか? それなら」
グレタの両ももを持って止める間もなくパカッと開くと、
「っ!? 嘘嘘!? やだ、そんなとこ!」
股の間に顔を突っ込まれてグレタは絶叫したが、
「侍女に風呂の世話をさせることはあっても、ナカまで見られるのは流石にはじめてですよね? 俺だけがあなたの色と形を知っているなんて嬉しいです」
ヤンデルは陶然と彼女のナカに見入ると、
「っ!? やぁ、チロチロやだぁっ!」
今度は舌でグレタの敏感な突起を嬲った。グレタがいくら嫌だと泣いても、今度は返事もせずにペロペロ、チュプチュプと陰核を舐め続ける。グレタの秘所からは拒否の言葉とは裏腹に、行為を喜ぶように蜜が溢れ出した。
ヤンデルはその蜜をいやらしく舐めとりながら、
「嫌だ嫌だと言いながら、気持ち良さそうに腰が揺れていますよ。潔癖なあなたでも、ここを舐められるのは堪らないですか?」
「分からない。もう分からない。やめて欲しい……」
疲れ切ってか弱い声で懇願するグレタに、
「あなたのそんなか弱い表情ははじめて見ました。とても可愛いです、グレタ様。危険な賭けに挑んだ甲斐がありました」
ヤンデルは蕩けそうな微笑みを浮かべると、
「~ああっ!? そ、そこダメ! 指を入れないで!」
「大丈夫です。ちゃんとグレタ様が痛くないように、丁寧に解しますから」
グレタの狭い入り口を丁寧に解しはじめた。狭い中を穿つ指が一本また一本と増えるたび、グレタはこの先の行為をまざまざと想像させられて、
「お、お願い。それだけは。もう意地悪しないから。許して」
ずっと堪えていた涙を今度こそはらはらと落とした。けれどヤンデルはかえって幸福そうに、そのはじめての表情に見惚れながら、
「許してと言われても、俺はグレタ様を恨んでいるわけではありませんから。ただどうしようもなく、あなたが欲しいだけです。あなたの気高さも愚かさも、はじめて見る弱さも、愛しくて仕方ないので」
そう言うとヤンデルは、グレタへの欲望ではち切れそうなそれを彼女の入り口に押し当てて、
「あっ、やぁっ、来る。汚いの、入っちゃう」
どれだけ嫌がっても自分を受け入れるしかない憐れなグレタに、ヤンデルは欲情に目を細めながら、
「はい。俺の汚いモノで、あなたの奥まで穢させてください」
処女膜を突き破って、彼女の最奥まで自分のものとした。最愛のグレタと遂に交わったヤンデルの欲望はなかなか収まらず、
「あっ、あっ、もうやだ。パチュパチュやだぁ……」
数え切れないほど絶頂させられて、息も絶え絶えで泣くグレタを、それでも執拗に揺さぶり続けながら、
「ひっ、またビューって……。赤ちゃんできる……。いやぁ……」
憧れの人の中に夜通し精を吐き出し続けた。
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