36 / 40
間の話・村に帰るまでのあれこれ
逃げても地獄、受け入れても地獄(薄っすら性描写)
しおりを挟む
せっかく迷いの森から出られたので、私はカイルの村へ向かうまでの道中、わざと何度もはぐれようとした。しかし私の動向に目を光らせているのは、カイルだけではない。
隠形頭巾で隠れてついて来ているピィが、私が離れるとすぐにカイルに知らせてしまうので
「そんなに俺と結婚するのは嫌ですか?」
こっそり逃げたつもりが、すぐにカイルに見つかって
「でもどれだけ嫌がっても絶対に逃がしませんから、諦めてください」
捕獲されるついでに昼間から宿屋に連行されて
「せ、聖騎士様! ゴメンなさい! もうしませんから!」
「魔女さんがそうやって謝るのは、もう3度目ですよ。俺に抱かれるのが嫌なら怒らせないでください」
これでもかと手酷く抱かれる。手酷くと言っても、乱暴に扱われるわけじゃない。カイルは怒っていても私に痛みは与えない。
その代わり自分が夫であることを教え込むように、上下が分からなくなるほどの快楽責めをされる。飲みきれないほどの白濁を何度も注がれて、胎の奥まで彼のものにされる。
脳が痺れて目の前が白くなるほどの快楽。こんな刺激を受け続けたら、神経が焼き切れるんじゃないかと本気で恐ろしい。
また絶対に結ばれるわけにはいかないが、私もカイルが好きなので、あの温和なニコニコ顔が、冷たい怒りに染まるだけで心臓が凍りつく。
けれど大人しくついて行ったらついて行ったで
「今日は逃げないでくれて嬉しいです」
彼は幸福そうに頬を染めて、愛情に満ちた目で私を見つめながら
「魔女さん、本当に可愛い。大好きです」
どちらにしろ、夜には快楽責めが待っている。日中は平和でカイルが幸せそうな分、後者のほうがマシかもしれない。
ただこのままでは結婚は不可避だ。カイルは知らないが、私は彼の記憶を奪って逃げた。
そんな最悪の裏切りをしておいて、また出会っちゃったし、ちょうどいい年齢だし、今度はいいよねなんて思えない。
かと言って、カイルの記憶を戻すのも怖い。カイルは人生で唯一、私を愛してくれた人だ。真実を知らせてカイルに嫌われるのが怖かった。
全く優柔不断だ。こだわりを捨ててカイルを得るか、完全に関係を断ち切るか、どちらかに振り切るべきなのに。
私はどちらにも振り切れず、とうとうカイルの村の近くまで連れて来られてしまった。
「あれが俺の故郷の村です」
遠くに見える家々を指すカイルに、私は立ち止まって
「……本当にあなたのお父さんに会わなきゃダメですか?」
私の問いに、カイルは口元こそ笑っているものの、光の無い目で
「魔女さんが俺との結婚を嫌がっているのは知っています。でもさんざん言っているように、俺は絶対に魔女さんを逃がす気がありませんから。諦めてください」
「そ、そういう意味じゃなくて……」
私はカイルに怯みつつも
「私みたいな女と結婚するなんて言ったら、普通の親御さんは嫌がりますよ。あなたとお父様が揉めることになったら嫌なので」
現に揉めたから言っているのだが、記憶を封じられたカイルは
「父は闇属性だからと言って差別する人ではありませんから、大丈夫です」
神父様は確かに、属性で差別する人では無いかもしれない。ただ子どもと大人の恋愛については、普通に否定的だった。
今は4歳差になったが、神父様は私とカイルの本当の出会いを知っている。
『時を止めてまでカイルと結ばれたいんですか!?』と誤解されたら。
それに問題は神父様だけじゃない。村には、まだ私の顔を覚えている人が居るかもしれない。
「……実は昔、この村に来たことがあるんです」
当時と姿が変わらないのを見たら、魔女か魔物かと悪い噂が立つだろう。
「そうかと言って闇属性の術によるものだと言っても、けっきょく嫌悪の対象でしょうから。あなたとの結婚を拒否しているとかではなく、村には入りたくないんです」
カイルは村に入りたくない理由については納得してくれた。ただどうしても父親には会って欲しいと言う。
話し合いの結果。私の魔法で姿を隠してコッソリ村に入り、神父様とだけ会うことになった。
正直私がいちばん会うべきでないのは神父様だ。どんな反応をされるだろうと、今から気が重い。
……でもいっそ神父様と会って、どうすればカイルを諦めさせられるか、相談したらいいのかもしれない。他の人の知恵を借りれば、1人の時は浮かばなかった解決策を見出せるかもしれないから。
隠形頭巾で隠れてついて来ているピィが、私が離れるとすぐにカイルに知らせてしまうので
「そんなに俺と結婚するのは嫌ですか?」
こっそり逃げたつもりが、すぐにカイルに見つかって
「でもどれだけ嫌がっても絶対に逃がしませんから、諦めてください」
捕獲されるついでに昼間から宿屋に連行されて
「せ、聖騎士様! ゴメンなさい! もうしませんから!」
「魔女さんがそうやって謝るのは、もう3度目ですよ。俺に抱かれるのが嫌なら怒らせないでください」
これでもかと手酷く抱かれる。手酷くと言っても、乱暴に扱われるわけじゃない。カイルは怒っていても私に痛みは与えない。
その代わり自分が夫であることを教え込むように、上下が分からなくなるほどの快楽責めをされる。飲みきれないほどの白濁を何度も注がれて、胎の奥まで彼のものにされる。
脳が痺れて目の前が白くなるほどの快楽。こんな刺激を受け続けたら、神経が焼き切れるんじゃないかと本気で恐ろしい。
また絶対に結ばれるわけにはいかないが、私もカイルが好きなので、あの温和なニコニコ顔が、冷たい怒りに染まるだけで心臓が凍りつく。
けれど大人しくついて行ったらついて行ったで
「今日は逃げないでくれて嬉しいです」
彼は幸福そうに頬を染めて、愛情に満ちた目で私を見つめながら
「魔女さん、本当に可愛い。大好きです」
どちらにしろ、夜には快楽責めが待っている。日中は平和でカイルが幸せそうな分、後者のほうがマシかもしれない。
ただこのままでは結婚は不可避だ。カイルは知らないが、私は彼の記憶を奪って逃げた。
そんな最悪の裏切りをしておいて、また出会っちゃったし、ちょうどいい年齢だし、今度はいいよねなんて思えない。
かと言って、カイルの記憶を戻すのも怖い。カイルは人生で唯一、私を愛してくれた人だ。真実を知らせてカイルに嫌われるのが怖かった。
全く優柔不断だ。こだわりを捨ててカイルを得るか、完全に関係を断ち切るか、どちらかに振り切るべきなのに。
私はどちらにも振り切れず、とうとうカイルの村の近くまで連れて来られてしまった。
「あれが俺の故郷の村です」
遠くに見える家々を指すカイルに、私は立ち止まって
「……本当にあなたのお父さんに会わなきゃダメですか?」
私の問いに、カイルは口元こそ笑っているものの、光の無い目で
「魔女さんが俺との結婚を嫌がっているのは知っています。でもさんざん言っているように、俺は絶対に魔女さんを逃がす気がありませんから。諦めてください」
「そ、そういう意味じゃなくて……」
私はカイルに怯みつつも
「私みたいな女と結婚するなんて言ったら、普通の親御さんは嫌がりますよ。あなたとお父様が揉めることになったら嫌なので」
現に揉めたから言っているのだが、記憶を封じられたカイルは
「父は闇属性だからと言って差別する人ではありませんから、大丈夫です」
神父様は確かに、属性で差別する人では無いかもしれない。ただ子どもと大人の恋愛については、普通に否定的だった。
今は4歳差になったが、神父様は私とカイルの本当の出会いを知っている。
『時を止めてまでカイルと結ばれたいんですか!?』と誤解されたら。
それに問題は神父様だけじゃない。村には、まだ私の顔を覚えている人が居るかもしれない。
「……実は昔、この村に来たことがあるんです」
当時と姿が変わらないのを見たら、魔女か魔物かと悪い噂が立つだろう。
「そうかと言って闇属性の術によるものだと言っても、けっきょく嫌悪の対象でしょうから。あなたとの結婚を拒否しているとかではなく、村には入りたくないんです」
カイルは村に入りたくない理由については納得してくれた。ただどうしても父親には会って欲しいと言う。
話し合いの結果。私の魔法で姿を隠してコッソリ村に入り、神父様とだけ会うことになった。
正直私がいちばん会うべきでないのは神父様だ。どんな反応をされるだろうと、今から気が重い。
……でもいっそ神父様と会って、どうすればカイルを諦めさせられるか、相談したらいいのかもしれない。他の人の知恵を借りれば、1人の時は浮かばなかった解決策を見出せるかもしれないから。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
83
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる