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第1章 さぁ冒険を始めよう!
第12話 石動彩葉の独白
しおりを挟むあぁカレを思ってココロが蠢く……
……
…………
……………………。
いつも通りの朝。
父と義母の間に生まれた今年で13歳になる妹に電話をしながら、私は一人で暮らす義兄の事を考えていた。
私がカレに出会ったのは中学1年生の頃、まだ1月に入る前の肌寒い季節の時だった…………
「今日は転校生が来るらしいぞ。入ってくれ」
ガラガラと静かにドアを引きながら入ってきたのは白い髪の男の子だった。いや、最初、その顔の小さいさと整った顔立ちから女の子かと思った。
制服が男子生徒のものでなければもしかしたら性別を間違えたかもしれない。
カレは澄んだ声で静かに、でも綺麗な声で自己紹介を始めた。
「神奈川県鎌倉市から引っ越してきました星野流名です。気軽にルナと呼んでください。どうぞよろしくお願いします。」
簡素で短くて。
でも何処かホッとする喋り方のように感じる。
そう思ったのは私だけではないようで、すんと一瞬の間を空けて拍手が舞起こった。
幾つかの質問の後、カレは担任の先生に勧められる席に向かう丁度その時。
一瞬
ほんの一瞬
もしかしたら気のせいなのかもしれないけど私とカレの視線が交差した。
薄水色の眼が綺麗に輝く。
何かを求めているかの様で、それでいて全てに無関心を持つような眼。
私を気にも留めない眼。
私はこの時、嫉妬してた。なんでかもわからない。何をかもわからない。
でもカレの何かに、何かを持ってるカレに、私を気にも留めないカレに、私は深く嫉妬した。
それが私と彼の初めての出会いだった。
話はかわるが、私はかなりモテる。
生まれ持った美形と周りを平等に扱う性格が幸を為して、私は周囲から羨望と憧れの視線を集めていた。
無論それだけでは無く、嫉妬や下心の篭った視線を向けてくる者もいた。だがそれ意外の視線を向けられることは無かった。
だからだろうか。
私は何色にも染まらない無色の視線を受けて、激しく動揺、嫉妬、そして興味を持った。
か、カレが美形だったのも少しは…ほんの少しは含まれてるかもしれない。べ、別に惚れてなんかないのだけれも…………
が私は他の人に話かける事をした事がなかった。私の周りに人が寄ってくる。それが今までの普通だったからだ。
ただ私が笑ってるカレに視線を向ける。それだけだった。
いつも通りの私
いつも通りのカレ
そしてそのまま1年が経過しようとしていた。
そして…………
いつも通りは壊れた。
母が死んだのだ。
交通事故だと言っていた。
私はひたすら泣いた。ただ泣いた。普通の事だと思う。ただそれだけだと思う。声を上げて泣いた。
母の葬式の時、もう一度私は泣いた。今度は静かに。笑顔で。
けど……
現実は…………
残酷だった。
葬式から2週間が経とうとしてた頃。
仕事から帰ってきた父に話があると言われた。
何事かと思い、少しだけ不安を抱く私。
そしてゆっくりと……話された。
「再婚することになった」と。
どうやら既に子供がいるらしい。しかも私の二つ下だけの妹が。
つまり父は浮気をしていたという事だ。ずっと前から。
私は聞きながら蒼白になっていったのだと思う。
父の言葉を聞いて母を思い出し、その父の裏切りに気付かなかった私と。その知りたくなかった事実と。
それだけだったらまだ耐えられたかもしれなかった。
その義母となる人にはもう一人の息子がいるらしい。
その名前を聞いて私は…………
「星野流名……」
私はそのまま呆然と何かを見つめていた。
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1話約1000文字です
01章――バトル無し・下準備回
02章――冒険の始まり・死に続ける
03章――『超越者』・騎士の国へ
04章――森の守護獣・イベント参加
05章――ダンジョン・未知との遭遇
06章──仙人の街・帝国の進撃
07章──強さを求めて・錬金の王
08章──魔族の侵略・魔王との邂逅
09章──匠天の証明・眠る機械龍
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