天晴珍語〜歯科医

dragon49

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歯科医

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 日本人の愛する羊羹や汁粉、道明寺の類は既に江戸時代には完成しており、懐に余裕ができた旗本の子息が虫歯で悩んでたという記録がございます。

 その頃には勿論歯医者なんてものはいませんで、ヤットコみたいな大工道具で病んだ歯を抜いたってんですから、たまったもんじゃありません。
  
 さて時代がずーっと下がりまして現代の話。日本は言わずと知れたスイーツ大国になりました。日本人の労働はキツイ上に長時間を強いられます。疲労した身体には甘いもんが何かよりの慰めなんでしょう。

 甘いものを沢山食べると虫歯になる。それが昔と違うのは、歯医者が都市部に集中するようになったことです。但し麻酔付きで。

  東京都下のM区で歯科クリニックを営んでいるA先生。昔ながらの商店街の親父とは十数年来の付き合いです。

親父「先生、十日ばかりクリニックを閉めてたけど、どっか息抜きにでも行ってたんですかい?」

A医師「あー、ちょっと南都の方にね行っていたんだ」

親父「流石は先生だ、景気いいや。こちとら大手スーパーの台頭で青色吐息だってのにね」

A「こう雨後のタケノコみたいに歯科クリニックがあちこちにできたら患者の取り合いになるよ。医は仁術とは言っても算術で辻褄があわなくては駄目だから、息抜きに行ったのさ」

親父「でもなんでまた奈良なんかに?伊香保でも鬼怒川でもいいじゃない?」

A「だからさっき言ったろ。シカばかりって」
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