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2. 検非違使
河原人さぶ
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「右衛門様の宿命星に女星の陰なる力が働いておりまする。ただ雲のかかりて見えにくいのが気がかり」
陰陽師の妙見は、検非違使の佐藤頼任の屋敷で天体観測の結果を申し立てた。
「ほう、それは新年早々の吉報じゃ」
頼任は目を細め、妙見の注ぐ屠蘇に口を付けた。
「失礼します。玄関に河原人の女ミクと申す者が来ております」
使用人の男が取り次いだ。
「何用だ?もう犬の刻も過ぎように」
右衛門はさもうんざりした様子で応えた。
「今朝、河原人のさぶが解体した牛から牛黄が出たよしに御座います」
右衛門と妙見は直ぐに気色ばんだ。
「あれ程、牛黄が出たらすぐに報告するよう言っておいたはずだが、さぶの奴」
右衛門は、ミクに幾ばくかのゼニを与えるよう指示して、明朝からの捕縛を画策した。
翌朝、黎明の頃になると右衛門は帯刀し、妙見を帯同してさぶの小屋を急襲した。
さぶとシノは半裸の状態で寝床の中であった。
「さぶ!牛黄を出せ。隠し立てするとただでは済まぬぞ!」
右衛門が踏み込んでまくし立てた。
さぶは牛黄が惜しく、棚の奥にから燃料用に乾燥しておいた牛糞の塊を右衛門に渡した。
右衛門は、臭気が強いのを訝しがり、それを小屋の外に待たせている妙見に検分させた。
「これは牛黄ではござりませぬ。牛糞にございます」
妙見の答えに右衛門は烈火の如く怒り、さぶを小屋の外に引きずり出すとその場で首をはねてしまった。
妙見が小屋に入ると、棚の奥に小さな道祖神が祀られており、そこに牛黄の玉が供えられていた。
「ちっ、河原人の血で身が穢れたわ!」
返り血を浴びた右衛門は、さぶの首を河原に晒せと河原人に指示し、牛黄をせしめると意気揚々と屋敷に引き返した。
その後、さぶの首と胴体は河原人らの手によって丁重に葬られ、河原に晒されることはなかった。右衛門が河原人を尋問しても誰もその行方を答える者は無かったが、牛黄の利益により、この件は不問にふされた。
完了
陰陽師の妙見は、検非違使の佐藤頼任の屋敷で天体観測の結果を申し立てた。
「ほう、それは新年早々の吉報じゃ」
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翌朝、黎明の頃になると右衛門は帯刀し、妙見を帯同してさぶの小屋を急襲した。
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右衛門が踏み込んでまくし立てた。
さぶは牛黄が惜しく、棚の奥にから燃料用に乾燥しておいた牛糞の塊を右衛門に渡した。
右衛門は、臭気が強いのを訝しがり、それを小屋の外に待たせている妙見に検分させた。
「これは牛黄ではござりませぬ。牛糞にございます」
妙見の答えに右衛門は烈火の如く怒り、さぶを小屋の外に引きずり出すとその場で首をはねてしまった。
妙見が小屋に入ると、棚の奥に小さな道祖神が祀られており、そこに牛黄の玉が供えられていた。
「ちっ、河原人の血で身が穢れたわ!」
返り血を浴びた右衛門は、さぶの首を河原に晒せと河原人に指示し、牛黄をせしめると意気揚々と屋敷に引き返した。
その後、さぶの首と胴体は河原人らの手によって丁重に葬られ、河原に晒されることはなかった。右衛門が河原人を尋問しても誰もその行方を答える者は無かったが、牛黄の利益により、この件は不問にふされた。
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