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04 一朝事あらば
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翌日、麹町で三色餅を買い求めた半四郎は、それを持って竹橋の藩邸に出仕した。
「半四郎、久し振りではないか~、江戸煩いと聴いたがもう随分とようなったのか?」、留守居役の水野は存外上機嫌であった。
少しさがって上司の橋本はハラハラしながら様子を伺って居る。
「はい、江戸詰となってからというもの、何か気鬱で手足に力が入らんのです」、半四郎が俯いた。「それはいかん。江戸患いには練馬の大根がいいそうだぞ。おっ、そうじゃ今江戸には高明な学者が集まって来ておる。しばらくの間、学問に身を入れてみてはどうじゃ」。
「それは良いお考えに御座います」、橋本が半四郎に目配せした。「どのような高名な先生がいらっしゃるんでしょうか?」、半四郎が合わせたくない調子を合わせた。
「和算の関先生、おぬしは勘定方ではないから直接は関係ないのう....おっそうじゃ神田の裏手に塾を構えとる軍学者は何と言ったかの、橋本?」、「確か由井正雪と申しておりました」、橋本が即答した。
「半四郎、深川からここまでの道すがら疲れたであろう、正午から非番とするから、橋本に由井正雪先生の塾に案内して貰いなさい」。半四郎が手土産を渡すと水野は大袈裟に喜んだ、「なんだただの田舎侍と思うたら、ちゃんと気が効くでないか、橋本」、半四郎は何か釈然としないものを感じていた。
半四郎が退室すると、橋本が水野ににじり寄って訊いた、「既に由井正雪の所には、わが紀州藩の手練れの藩士数名が密偵として送り込まれて居ります。今更、半四郎のようなうつけ者を送る必要がありましょうか?」。
水野は神田の方角を見つめていた、「それがいかんのじゃ、それでは相手が用心して、よう本音と企みを見せん。しかし相手が凡庸な田舎侍だったらどうじゃ?」、水野が横目で橋本を見た。
橋本は、半四郎が既に藩邸の捨て駒になってしまっているのではと訝しがった。
(続く)
「半四郎、久し振りではないか~、江戸煩いと聴いたがもう随分とようなったのか?」、留守居役の水野は存外上機嫌であった。
少しさがって上司の橋本はハラハラしながら様子を伺って居る。
「はい、江戸詰となってからというもの、何か気鬱で手足に力が入らんのです」、半四郎が俯いた。「それはいかん。江戸患いには練馬の大根がいいそうだぞ。おっ、そうじゃ今江戸には高明な学者が集まって来ておる。しばらくの間、学問に身を入れてみてはどうじゃ」。
「それは良いお考えに御座います」、橋本が半四郎に目配せした。「どのような高名な先生がいらっしゃるんでしょうか?」、半四郎が合わせたくない調子を合わせた。
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(続く)
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