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Phase 1 生まれ変わってもブラック会社に勤めていた迷宮探索者の憂鬱
第41話 アポロと探索
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「ココロちゃんってお姫様だったの?」
「うん。でもこの街よりもずっとちっちゃい国だよ」
「でもすごい!あこがれちゃう」
「えー、毎日習い事とかばっかで全然楽しくないよ」
「そうなんだ。お姫様も楽じゃないのね」
「そうだよ。迷宮探索者の方が楽しいよ」
「おーい。アポロの登録が終わったぞー」
アポロの迷宮探索者登録をしに行っている間、アルマとココロが雑談をしながら待っていると、ロキとアポロが登録を終えて帰ってきた。
「ところでアポロ、お前は何ができるんだ?」
「これだ」
アポロはそう言って荷物からショートボウを取り出す。
「私は弓を使える。それと土魔法だな」
「え?土魔法使えるの?すごい!教えてくれよ」
「教えるのは構わないが、適性がないと使えないぞ」
「土魔法も適性あるんだけど、教えてくれる人がいなくてさ」
「土魔法も?まさかきさま複数適性持ちか?」
「まあそうだけど……」
「くっ、体格が良いからただの戦士だと思っていたが……」
「ロキはいろいろできるよ」
ココロにそう言われて、アポロは悔しそうにロキを睨みつける。
「今の会話に何か怒りに触れるようなことがあったか?」
「あのね、私たちの国ではいろいろできる人が尊敬されるんだよ。アポロは弓も使えて土魔法も使えて得意なことが二つあるからすごいんだよ。でもロキは剣も使えて魔法もいろいろできるからもっとすごくて、アポロ悔しいんだよ」
ココロの説明に苦虫をかみ潰したような顔になるアポロ。
ロキは困ったような表情を浮かべて取り繕う。
「俺は逆に一つの事を極めた人間の方がすごいと思うけどね。そういう奴には絶対勝てないって思うよ」
「じゃあ二つ得意なアポロは大したことないね!アハハ!」
フォローしたつもりがココロの言葉で台無しになってしまい、気まずくなってしまった。
仕方ない。
ココロだけが楽しそうに笑っている。
「それで、今日はどの階層を探索するんですか?」
「ああ、それだけど、さっき聞いたんだけど昨日28階層でまたリマップが発見されたらしい。特に真新しい発見は無かったみたいだけど、もしかしたら前みたいに見落としがあるかもしれない。だからそこへ行ってみようと思う」
「はい!」
「アポロはどれくらいできるか分かんないけど、危ないと思ったら無理すんなよ!」
「バカにするな!」
「自信ありそうだな?それじゃ行くか!」
★★★★★★★★
「これが迷宮の中か……、まるで何かの遺跡のようだな」
初めて迷宮に入ったアポロが呟く。
「ここらは遺跡タイプのフィールドだけど、30階層より下は洞窟のようになっているし、階層によっていろいろあるんだけどな」
「そうなのか……、それにしても不思議だ。一体迷宮とは誰が何の目的のために作ったのだ?」
「分からないけど、元の世界とは違う異次元空間じゃないかって説も聞いたことがあるな」
「私、迷宮は女神が作ったっていう説があるって聞いたことがあります」
「女神?」
「そうです。神様が作ったこの世界に、女神が魔法とか迷宮とかを付け足して作ったらしいです」
「もしかして魔物も?」
「そうですそうです!動物や人間は神様が作って、魔物はあとから女神が作ったらしいんです」
「へえ~。そういう神話ってどこにでもあるな。ハーフリングの国ではどんな神話があるんだ?」
「どんなって、一緒だが?」
「そうなの?」
「そうだ。神がこの世界を作り、人間も作った。そして神が作った女神が魔法や魔物をこの世界に作ったに決まってるだろう?」
「おんなじなんだ?もっと国によっていろいろな神話があってもいいと思ったんだけど」
「何でだ?真実は一つだろう?」
「いや、そうじゃなくて、確かに魔法も魔物も存在するけどさ……」
「女神だって存在するじゃないか」
「えっ?そうなの?」
「現に、この人間の王国に現れた勇者だって、女神が連れてきたのだろう?」
「え?何それ知らなかった」
「ロキ、魔物いるよ」
ロキたちが神と女神の話をしていると、その間もしっかりと索敵をしていたココロが魔物を発見した。
むだ話を途中で切り上げ、意識を迷宮探索に戻す。
「どこだ?」
「あそこ」
目を凝らすと、ずいぶん先の天井に大コウモリがぶら下がっているのが分かった。
「あれくらいなら私の矢で落とせるだろう」
「え?ちょっと遠いだろう?」
アポロの言葉にロキが驚いていると、アポロは弓を構えた。
「ん?」
「どうした?」
「弓から魔力を感じない……」
「魔力?その弓はマジックアイテムか?!今はアルマの結界の中だから機能しないんだな。アルマ、ちょっと下がってくれ」
「はい」
そう言うとアルマとココロは少し後ろへと下がる。
「どうぞ!」
「今度は大丈夫だろう?」
「ん?魔力が戻った?」
アポロは不思議そうにするが、気を取り直して弓を構えて放つ。
矢が的中した大コウモリは、ギャー!という声を上げて天井から落下。すぐに煙となって消えた。
「見たか?」
「すごいなその弓」
「弓だけじゃない!私の技術もだ!」
「ああ。短弓だから長距離用じゃないと思ってたけど、あんなに遠くまで当てることができるんだな。すげえよ」
「しかし、さっきのは何だったんだ?この『疾風の弓』が持つ矢を加速させる風の魔力が消えていたのだが」
「それはアルマの結界内だったから」
「結界とは何だ?」
「魔物が近寄って来ないように、アルマが常時見えない結界を張ってるんだ」
「初めて聞いた魔法だな。それは何系統の魔法なんだ?」
「いや、精霊魔法じゃないから……」
「なんだと?じゃあ何なんだ?」
「いや、まあ何でもいいじゃないか。とにかくアルマの結界の中だと、魔物は寄って来れないけど魔法も使えないんで気を付けてくれ」
「それはつまり女神が作ったものを全て拒絶しているということか?」
「ああ、なるほど。そうなのかもしれない」
「なんだそれは?それじゃ、まるで神の力じゃないか?」
「ああ、そっち系統かも」
「どういうことだ?」
「いや、これは俺たちレギオンの秘密なんで、他言無用で頼む」
「そ、それはいいが……」
アポロは驚いた顔で、ニコニコしているアルマを見ていた。
「さあ、この調子で進もうか!」
「うん。でもこの街よりもずっとちっちゃい国だよ」
「でもすごい!あこがれちゃう」
「えー、毎日習い事とかばっかで全然楽しくないよ」
「そうなんだ。お姫様も楽じゃないのね」
「そうだよ。迷宮探索者の方が楽しいよ」
「おーい。アポロの登録が終わったぞー」
アポロの迷宮探索者登録をしに行っている間、アルマとココロが雑談をしながら待っていると、ロキとアポロが登録を終えて帰ってきた。
「ところでアポロ、お前は何ができるんだ?」
「これだ」
アポロはそう言って荷物からショートボウを取り出す。
「私は弓を使える。それと土魔法だな」
「え?土魔法使えるの?すごい!教えてくれよ」
「教えるのは構わないが、適性がないと使えないぞ」
「土魔法も適性あるんだけど、教えてくれる人がいなくてさ」
「土魔法も?まさかきさま複数適性持ちか?」
「まあそうだけど……」
「くっ、体格が良いからただの戦士だと思っていたが……」
「ロキはいろいろできるよ」
ココロにそう言われて、アポロは悔しそうにロキを睨みつける。
「今の会話に何か怒りに触れるようなことがあったか?」
「あのね、私たちの国ではいろいろできる人が尊敬されるんだよ。アポロは弓も使えて土魔法も使えて得意なことが二つあるからすごいんだよ。でもロキは剣も使えて魔法もいろいろできるからもっとすごくて、アポロ悔しいんだよ」
ココロの説明に苦虫をかみ潰したような顔になるアポロ。
ロキは困ったような表情を浮かべて取り繕う。
「俺は逆に一つの事を極めた人間の方がすごいと思うけどね。そういう奴には絶対勝てないって思うよ」
「じゃあ二つ得意なアポロは大したことないね!アハハ!」
フォローしたつもりがココロの言葉で台無しになってしまい、気まずくなってしまった。
仕方ない。
ココロだけが楽しそうに笑っている。
「それで、今日はどの階層を探索するんですか?」
「ああ、それだけど、さっき聞いたんだけど昨日28階層でまたリマップが発見されたらしい。特に真新しい発見は無かったみたいだけど、もしかしたら前みたいに見落としがあるかもしれない。だからそこへ行ってみようと思う」
「はい!」
「アポロはどれくらいできるか分かんないけど、危ないと思ったら無理すんなよ!」
「バカにするな!」
「自信ありそうだな?それじゃ行くか!」
★★★★★★★★
「これが迷宮の中か……、まるで何かの遺跡のようだな」
初めて迷宮に入ったアポロが呟く。
「ここらは遺跡タイプのフィールドだけど、30階層より下は洞窟のようになっているし、階層によっていろいろあるんだけどな」
「そうなのか……、それにしても不思議だ。一体迷宮とは誰が何の目的のために作ったのだ?」
「分からないけど、元の世界とは違う異次元空間じゃないかって説も聞いたことがあるな」
「私、迷宮は女神が作ったっていう説があるって聞いたことがあります」
「女神?」
「そうです。神様が作ったこの世界に、女神が魔法とか迷宮とかを付け足して作ったらしいです」
「もしかして魔物も?」
「そうですそうです!動物や人間は神様が作って、魔物はあとから女神が作ったらしいんです」
「へえ~。そういう神話ってどこにでもあるな。ハーフリングの国ではどんな神話があるんだ?」
「どんなって、一緒だが?」
「そうなの?」
「そうだ。神がこの世界を作り、人間も作った。そして神が作った女神が魔法や魔物をこの世界に作ったに決まってるだろう?」
「おんなじなんだ?もっと国によっていろいろな神話があってもいいと思ったんだけど」
「何でだ?真実は一つだろう?」
「いや、そうじゃなくて、確かに魔法も魔物も存在するけどさ……」
「女神だって存在するじゃないか」
「えっ?そうなの?」
「現に、この人間の王国に現れた勇者だって、女神が連れてきたのだろう?」
「え?何それ知らなかった」
「ロキ、魔物いるよ」
ロキたちが神と女神の話をしていると、その間もしっかりと索敵をしていたココロが魔物を発見した。
むだ話を途中で切り上げ、意識を迷宮探索に戻す。
「どこだ?」
「あそこ」
目を凝らすと、ずいぶん先の天井に大コウモリがぶら下がっているのが分かった。
「あれくらいなら私の矢で落とせるだろう」
「え?ちょっと遠いだろう?」
アポロの言葉にロキが驚いていると、アポロは弓を構えた。
「ん?」
「どうした?」
「弓から魔力を感じない……」
「魔力?その弓はマジックアイテムか?!今はアルマの結界の中だから機能しないんだな。アルマ、ちょっと下がってくれ」
「はい」
そう言うとアルマとココロは少し後ろへと下がる。
「どうぞ!」
「今度は大丈夫だろう?」
「ん?魔力が戻った?」
アポロは不思議そうにするが、気を取り直して弓を構えて放つ。
矢が的中した大コウモリは、ギャー!という声を上げて天井から落下。すぐに煙となって消えた。
「見たか?」
「すごいなその弓」
「弓だけじゃない!私の技術もだ!」
「ああ。短弓だから長距離用じゃないと思ってたけど、あんなに遠くまで当てることができるんだな。すげえよ」
「しかし、さっきのは何だったんだ?この『疾風の弓』が持つ矢を加速させる風の魔力が消えていたのだが」
「それはアルマの結界内だったから」
「結界とは何だ?」
「魔物が近寄って来ないように、アルマが常時見えない結界を張ってるんだ」
「初めて聞いた魔法だな。それは何系統の魔法なんだ?」
「いや、精霊魔法じゃないから……」
「なんだと?じゃあ何なんだ?」
「いや、まあ何でもいいじゃないか。とにかくアルマの結界の中だと、魔物は寄って来れないけど魔法も使えないんで気を付けてくれ」
「それはつまり女神が作ったものを全て拒絶しているということか?」
「ああ、なるほど。そうなのかもしれない」
「なんだそれは?それじゃ、まるで神の力じゃないか?」
「ああ、そっち系統かも」
「どういうことだ?」
「いや、これは俺たちレギオンの秘密なんで、他言無用で頼む」
「そ、それはいいが……」
アポロは驚いた顔で、ニコニコしているアルマを見ていた。
「さあ、この調子で進もうか!」
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