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Phase 2 なぜか世界の命運を担うことになった迷宮探索者の憂鬱
第104話 それぞれの未来
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その部屋から国王が出て行った後、ロキは両手を広げ大きく伸びをすると、大きく息を吐いた。
「ふぅ、これでやっと全部終わったな」
その言葉に仲間たちが全員納得し、そして穏やかな笑みを浮かべてロキを見守っていた。
ロキは周りにいる仲間たちを見回し、ひとりひとり確認をする。
「アルマはもう、両親に胸を張って言える立派な探索者になれただろ」
「はい!」
「ココロも、俺たちと一緒に迷宮探索をすることに楽しさを感じてくれているんだよな」
「うん!」
「アポロは、ココロさえ一緒なら何でもいいみたいだから置いといて……」
「おい!」
「レオンの望んだ、ダイジローが起こすはずだった侵略戦争の回避もできたし」
「そうだな」
「そしてルナさん。今までやりたいようにやっていた大司教が失脚して、これからの神殿は組織が入れ替わります。今までのような過酷な長時間労働や、ルナさんのやりたくなかった健康な貴族たちへの治癒魔法も、これからはしなくていいんです。もっと働きやすくなるはずです」
「ロキさん、私のこともそこまで考えてくれて……ありがとうございます!」
レオーネに礼を言われ、まんざらでもないという表情で笑みを浮かべるロキ。
そして再び全員を見回し、
「ついに、みんなのブラックな労働環境は改善できたな!これで明日からは俺の目指していたホワイトな環境での迷宮探索ができるな!」
右手で握りこぶしを掲げ、満面のドヤ顔でそう言ったロキのことを、仲間たちは何を言っているのかと怪訝な目で見つめていた。
「ど……どうした?」
「ロキさん、また迷宮探索をするつもりなんですか?」
「え?そ、そのつもりだけど……?」
「俺は里に帰るつもりだったんだが、ロキがそう言うなら俺は探索に付き合うが」
「えっ?レオン、おまえもう探索者引退するつもりだったの?」
「いや、だって……」
「ロキさん。私も一度実家に帰って近況を報告してこようと思ってたんですけど……」
「アルマまで俺を見捨てるつもりか?!」
「見捨てるだなんてそんなこと。一旦帰ったらまた戻ってきますから」
「そうか、それなら良かった。もうアルマがいない迷宮探索なんて不安で仕方ないぜ」
「そうは言いますけど、私が回復魔法使う機会なんてほとんどないですよね?」
そんなアルマの一言に、レオンも同意する。
「確かに今日はおまえがケガしてるところを久しぶりに見たな。おまえ油断しただろ?」
「あれは出会いがしらの事故というか、それが致命傷になりかけたというか……。じゃなくて、アルマが後ろにいれば何かあったらすぐに治してもらえるっていう安心感があるから、アルマがいない迷宮探索なんて考えられないんだよ」
「そういうもんですかね?」
「ココロとアポロは、これからも俺と一緒に迷宮探索してくれるよな?」
「えーっと……」
「姫様、そろそろ一度国へ帰られて、久しぶりに国王陛下にもお会いされてはどうですか?」
「そうだね」
「えっ?!」
「そういうわけだロキ。迷宮探索したいのなら、お前ひとりで行け」
「アポロてめえ!」
「まあまあ……」
怒ったロキをアルマがなだめる。
「そんなことよりもロキさん。多分今回の件も含めて、私たちには王様からたくさんのご褒美をもらえると思うんですよね。特にロキさんには一生遊んで暮らせるくらいのお金をくれるんじゃないですか?」
「えっ、そうかな?」
「だから敢えてまた迷宮探索をする必要はないんじゃないでしょうか?」
「えっ?そうなの?」
「……」
そんなことにも考えが至らなかったのかと、仲間たちの冷たい視線が刺さる。
いつも冷静沈着で先の事を考えているロキだが、時々抜けているところがある。
「俺はみんながホワイトな環境でストレスなく迷宮探索できるようにがんばってきたのに、その結果迷宮探索しなくてよくなってしまったなんて……」
どうやらロキはショックを受けているようだ。
そんなロキに呆れて、仲間たちは噴き出してしまった。
「わ、笑うなよ!俺は真剣なんだよ!」
仲間たちの笑い声に包まれる。
「それにロキ、お前国王陛下からいろいろ手伝ってほしいって言われてただろ?公共事業のことやら平民向けの学校設立ことやら」
「それは……そうだけど……」
「だとしたらこれからそれで忙しくなるだろ?迷宮探索なんてしてる暇はないんじゃないか?」
「むむむ……」
「でもたまにならどこかの迷宮に探索しに行ってもいいんじゃないですか?趣味程度になら……」
「カカカ!趣味が迷宮探索!聞いたことねえなそんな奴!」
レオンの言葉に、再び一同笑い声を上げる。
笑っていないのはロキだけだ。
「くっそー、バカにしやがって……」
ロキの仲間であるレオン、アルマ、ココロ、アポロだけでなく、一緒に部屋にいたレオーネ、ケースケ、モールたちも笑っていた。
その笑い声は、以前まであった未来への不安がなくなった、心の底からの笑い声だった。
「ふぅ、これでやっと全部終わったな」
その言葉に仲間たちが全員納得し、そして穏やかな笑みを浮かべてロキを見守っていた。
ロキは周りにいる仲間たちを見回し、ひとりひとり確認をする。
「アルマはもう、両親に胸を張って言える立派な探索者になれただろ」
「はい!」
「ココロも、俺たちと一緒に迷宮探索をすることに楽しさを感じてくれているんだよな」
「うん!」
「アポロは、ココロさえ一緒なら何でもいいみたいだから置いといて……」
「おい!」
「レオンの望んだ、ダイジローが起こすはずだった侵略戦争の回避もできたし」
「そうだな」
「そしてルナさん。今までやりたいようにやっていた大司教が失脚して、これからの神殿は組織が入れ替わります。今までのような過酷な長時間労働や、ルナさんのやりたくなかった健康な貴族たちへの治癒魔法も、これからはしなくていいんです。もっと働きやすくなるはずです」
「ロキさん、私のこともそこまで考えてくれて……ありがとうございます!」
レオーネに礼を言われ、まんざらでもないという表情で笑みを浮かべるロキ。
そして再び全員を見回し、
「ついに、みんなのブラックな労働環境は改善できたな!これで明日からは俺の目指していたホワイトな環境での迷宮探索ができるな!」
右手で握りこぶしを掲げ、満面のドヤ顔でそう言ったロキのことを、仲間たちは何を言っているのかと怪訝な目で見つめていた。
「ど……どうした?」
「ロキさん、また迷宮探索をするつもりなんですか?」
「え?そ、そのつもりだけど……?」
「俺は里に帰るつもりだったんだが、ロキがそう言うなら俺は探索に付き合うが」
「えっ?レオン、おまえもう探索者引退するつもりだったの?」
「いや、だって……」
「ロキさん。私も一度実家に帰って近況を報告してこようと思ってたんですけど……」
「アルマまで俺を見捨てるつもりか?!」
「見捨てるだなんてそんなこと。一旦帰ったらまた戻ってきますから」
「そうか、それなら良かった。もうアルマがいない迷宮探索なんて不安で仕方ないぜ」
「そうは言いますけど、私が回復魔法使う機会なんてほとんどないですよね?」
そんなアルマの一言に、レオンも同意する。
「確かに今日はおまえがケガしてるところを久しぶりに見たな。おまえ油断しただろ?」
「あれは出会いがしらの事故というか、それが致命傷になりかけたというか……。じゃなくて、アルマが後ろにいれば何かあったらすぐに治してもらえるっていう安心感があるから、アルマがいない迷宮探索なんて考えられないんだよ」
「そういうもんですかね?」
「ココロとアポロは、これからも俺と一緒に迷宮探索してくれるよな?」
「えーっと……」
「姫様、そろそろ一度国へ帰られて、久しぶりに国王陛下にもお会いされてはどうですか?」
「そうだね」
「えっ?!」
「そういうわけだロキ。迷宮探索したいのなら、お前ひとりで行け」
「アポロてめえ!」
「まあまあ……」
怒ったロキをアルマがなだめる。
「そんなことよりもロキさん。多分今回の件も含めて、私たちには王様からたくさんのご褒美をもらえると思うんですよね。特にロキさんには一生遊んで暮らせるくらいのお金をくれるんじゃないですか?」
「えっ、そうかな?」
「だから敢えてまた迷宮探索をする必要はないんじゃないでしょうか?」
「えっ?そうなの?」
「……」
そんなことにも考えが至らなかったのかと、仲間たちの冷たい視線が刺さる。
いつも冷静沈着で先の事を考えているロキだが、時々抜けているところがある。
「俺はみんながホワイトな環境でストレスなく迷宮探索できるようにがんばってきたのに、その結果迷宮探索しなくてよくなってしまったなんて……」
どうやらロキはショックを受けているようだ。
そんなロキに呆れて、仲間たちは噴き出してしまった。
「わ、笑うなよ!俺は真剣なんだよ!」
仲間たちの笑い声に包まれる。
「それにロキ、お前国王陛下からいろいろ手伝ってほしいって言われてただろ?公共事業のことやら平民向けの学校設立ことやら」
「それは……そうだけど……」
「だとしたらこれからそれで忙しくなるだろ?迷宮探索なんてしてる暇はないんじゃないか?」
「むむむ……」
「でもたまにならどこかの迷宮に探索しに行ってもいいんじゃないですか?趣味程度になら……」
「カカカ!趣味が迷宮探索!聞いたことねえなそんな奴!」
レオンの言葉に、再び一同笑い声を上げる。
笑っていないのはロキだけだ。
「くっそー、バカにしやがって……」
ロキの仲間であるレオン、アルマ、ココロ、アポロだけでなく、一緒に部屋にいたレオーネ、ケースケ、モールたちも笑っていた。
その笑い声は、以前まであった未来への不安がなくなった、心の底からの笑い声だった。
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