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第50話 学生、夢に挫折する
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おらの名前はヨンタ。歴史あるこのシンソ魔法学園の学生だ。
おらは生まれは、この街からずっと離れた田舎の農家の出身だ。
おらは生まつき魔力が強く、村では神童なんて呼ばれていた。少し前までのおらは、みんなに言われてその気になっていて、将来大魔法使いになるというのが夢だった。
大魔法使いになるためには、まずはこのシンソ魔法学園に入って魔法の勉強をする必要があった。でも貧しいおらの家にはそんなお金はない。
でもおらはくじけなかった。生まれ持った魔力を有効活用して、おらは冒険者の魔道具や魔石そのものに魔力を注ぐアルバイトをしてお金を貯めたんだ。
そしてついにこの春、この学園に進学することができたんだ。
憧れの魔法学園に入園したからには、これからは大都会を満喫し、生まれ持ったこの才能を生かして大魔法使いになってやる。そんなバラ色の日々が待っていると信じておらは上京してきたんだが、実際そんなうまくはいかなかった。
この学園は全寮制で、学園の外に出る事は基本的に認められていない。何か理由がないと外出の許可ももらえない。三年間勉学だけに励まなきゃいけないみたいだ。
そして何より一番の誤算だったのは、おらに精霊魔法の才能がなかったということだ。
魔法はおおまかに分けて、精霊魔法、魔力魔法、信仰魔法、古代魔法などの種類がある。他にも召喚魔法とか特殊な魔法もあるようだ。人間界で主流なのは、精霊魔法と信仰魔法で、信仰魔法はそれぞれの神様に仕える神官になる必要がある。つまり一般的に魔法を習うというと精霊魔法のことで、この学校で教えているのも基本それだ。
これは誰でも知っている事だが、精霊魔法は主に四種のエレメントに分類される。火、水、風、土だ。光や闇などの特殊なエレメントもあるみたいだが、詳しくは分かっていない。
入園直後に、全生徒の魔力測定が行われた。元々村で一番と言われていたおらが持ってる魔力は、この学園内でも一番だという事が分かった。その情報は瞬く間に学園内に知れ渡り、入学直後は大魔法使いの卵と噂され、一躍注目の的だった。おらに対し憧れの視線を送ってくるかわいい同級生とかもいて、その時のおらは有頂天だったなあ。
でも最初の授業で、適正のある精霊を診断するという時に、そんなおらの栄光は終わりを告げたんだ。全く短い栄光だった。
みんなそれぞれ適正のある精霊が判明していって、中には二つの精霊に適性がある子もいた。だけどおらにはいつまでたってもどの精霊にも適性が表れなかったんだ。そして先生が最初に気付いて、言いにくそうにおらに告げた。おらには精霊魔法の才能はないんだって。
その噂は瞬時に学園内に広まり、次の日からおらはみんなからバカにされるようになったんだ。
身体能力はすごいのに運動神経がゼロみたいなもんだって。
だけどおらは全く魔法を使えないというわけじゃなかった。魔力魔法なら使えることが分かったんだ。
みんなが≪火球≫や≪氷槍≫などの強力な魔法を覚えてゆく中、おらもついに魔力魔法≪魔法の矢≫を使えるようになった。
だが魔力魔法というのは自分の魔力分の効果しか出ない。みんなが使う精霊魔法は、精霊の力を借りてより強力な魔法へと進化をする。つまりおらの魔法は、おらより魔力の弱いみんなの魔法よりも断然劣るんだ。
それからはさらにバカにされるようになった。魔力の持ち腐れと言われた。
正直おらが思い描いていた夢は、既に崩れ去った事は分かっていた。
ぼんやりと思っていたのは、この学園を卒業したらまた魔力補充の仕事をして生きていくしかないかなあということだ。それでも家の農業を継ぐより断然良い収入を得ることができる。ただ魔法学園を卒業した者たちの中では底辺だという事だ。そしたらもういっそ早い段階で中退してしまった方がいいのかなあ。
最近は毎日そんなことばかり考えていた。
学園の敷地内には、魔法を練習する為の広い平地がある。
そしてその一角には、かつての大魔法使いハララを称える石碑と、ハララ様の魔法の杖がある。
魔法の杖は大きな岩に突き刺さっていて、ハララ様と同じレベルの魔法使いなら引き抜けるよう封印されているのだそうだ。
この学園に入ったら、誰もがみんなそれを引き抜こうと挑戦するが、教員を含めて誰一人その杖の封印を解けた者はいない。
ハララ様は、この国の伝説的な大魔法使いだ。約四十年前に隣のシャンダライズ王国で召喚されたと言う勇者タイゾーが邪神を倒すために海の向こうへ旅立った後、それを知ったハララ様は勇者タイゾーを助けるために後を追って旅立ったと言う。
この魔法の杖は、後継者を残せなかったハララ様が、このシンソ魔法学園から自分のような大魔法使いを輩出することを願って残していったと言われている。
おらはハララ様に憧れてこの学園に入ったようなものだ。だから落ち込むといつもここに来て、石碑と杖を眺めている。おらがこの杖を抜くことができるようになったら、その時精霊魔法に目覚めるのだろうか?そしたらおらのことをバカにした奴らに目にものを見せてやれるのに。
そんな事を思いながら今日もハララ様の杖を抜こうと試みる。
相変わらずびくともしない。もしかして岩と一体になってるんじゃないか?そんなふうにも思えてくる。だがこの杖からは強い魔力を感じるし、魔法の杖である事は間違いないのだ。
ふとおらは気付く。今日は誰も魔法の練習をしていないなあという事に。ハララの石碑の前から練習場を見ると、だだっ広い土地に人影は全くなかった。
一時間くらいおらはここでいじけていたため、その時は避難命令が出ていたなんてことを知らずに取り残されていたんだ。
そういえば今日は遠くで何か地響きのような音が続いているな。
おらは自分の身に迫ろうとしている災害に、気付けずにいた。
そう。今この街では、古代巨獣ゴモラが侵入し、街並みを破壊しながらこのシンソ魔法学園の敷地へと進んでいるところだった。
おらは生まれは、この街からずっと離れた田舎の農家の出身だ。
おらは生まつき魔力が強く、村では神童なんて呼ばれていた。少し前までのおらは、みんなに言われてその気になっていて、将来大魔法使いになるというのが夢だった。
大魔法使いになるためには、まずはこのシンソ魔法学園に入って魔法の勉強をする必要があった。でも貧しいおらの家にはそんなお金はない。
でもおらはくじけなかった。生まれ持った魔力を有効活用して、おらは冒険者の魔道具や魔石そのものに魔力を注ぐアルバイトをしてお金を貯めたんだ。
そしてついにこの春、この学園に進学することができたんだ。
憧れの魔法学園に入園したからには、これからは大都会を満喫し、生まれ持ったこの才能を生かして大魔法使いになってやる。そんなバラ色の日々が待っていると信じておらは上京してきたんだが、実際そんなうまくはいかなかった。
この学園は全寮制で、学園の外に出る事は基本的に認められていない。何か理由がないと外出の許可ももらえない。三年間勉学だけに励まなきゃいけないみたいだ。
そして何より一番の誤算だったのは、おらに精霊魔法の才能がなかったということだ。
魔法はおおまかに分けて、精霊魔法、魔力魔法、信仰魔法、古代魔法などの種類がある。他にも召喚魔法とか特殊な魔法もあるようだ。人間界で主流なのは、精霊魔法と信仰魔法で、信仰魔法はそれぞれの神様に仕える神官になる必要がある。つまり一般的に魔法を習うというと精霊魔法のことで、この学校で教えているのも基本それだ。
これは誰でも知っている事だが、精霊魔法は主に四種のエレメントに分類される。火、水、風、土だ。光や闇などの特殊なエレメントもあるみたいだが、詳しくは分かっていない。
入園直後に、全生徒の魔力測定が行われた。元々村で一番と言われていたおらが持ってる魔力は、この学園内でも一番だという事が分かった。その情報は瞬く間に学園内に知れ渡り、入学直後は大魔法使いの卵と噂され、一躍注目の的だった。おらに対し憧れの視線を送ってくるかわいい同級生とかもいて、その時のおらは有頂天だったなあ。
でも最初の授業で、適正のある精霊を診断するという時に、そんなおらの栄光は終わりを告げたんだ。全く短い栄光だった。
みんなそれぞれ適正のある精霊が判明していって、中には二つの精霊に適性がある子もいた。だけどおらにはいつまでたってもどの精霊にも適性が表れなかったんだ。そして先生が最初に気付いて、言いにくそうにおらに告げた。おらには精霊魔法の才能はないんだって。
その噂は瞬時に学園内に広まり、次の日からおらはみんなからバカにされるようになったんだ。
身体能力はすごいのに運動神経がゼロみたいなもんだって。
だけどおらは全く魔法を使えないというわけじゃなかった。魔力魔法なら使えることが分かったんだ。
みんなが≪火球≫や≪氷槍≫などの強力な魔法を覚えてゆく中、おらもついに魔力魔法≪魔法の矢≫を使えるようになった。
だが魔力魔法というのは自分の魔力分の効果しか出ない。みんなが使う精霊魔法は、精霊の力を借りてより強力な魔法へと進化をする。つまりおらの魔法は、おらより魔力の弱いみんなの魔法よりも断然劣るんだ。
それからはさらにバカにされるようになった。魔力の持ち腐れと言われた。
正直おらが思い描いていた夢は、既に崩れ去った事は分かっていた。
ぼんやりと思っていたのは、この学園を卒業したらまた魔力補充の仕事をして生きていくしかないかなあということだ。それでも家の農業を継ぐより断然良い収入を得ることができる。ただ魔法学園を卒業した者たちの中では底辺だという事だ。そしたらもういっそ早い段階で中退してしまった方がいいのかなあ。
最近は毎日そんなことばかり考えていた。
学園の敷地内には、魔法を練習する為の広い平地がある。
そしてその一角には、かつての大魔法使いハララを称える石碑と、ハララ様の魔法の杖がある。
魔法の杖は大きな岩に突き刺さっていて、ハララ様と同じレベルの魔法使いなら引き抜けるよう封印されているのだそうだ。
この学園に入ったら、誰もがみんなそれを引き抜こうと挑戦するが、教員を含めて誰一人その杖の封印を解けた者はいない。
ハララ様は、この国の伝説的な大魔法使いだ。約四十年前に隣のシャンダライズ王国で召喚されたと言う勇者タイゾーが邪神を倒すために海の向こうへ旅立った後、それを知ったハララ様は勇者タイゾーを助けるために後を追って旅立ったと言う。
この魔法の杖は、後継者を残せなかったハララ様が、このシンソ魔法学園から自分のような大魔法使いを輩出することを願って残していったと言われている。
おらはハララ様に憧れてこの学園に入ったようなものだ。だから落ち込むといつもここに来て、石碑と杖を眺めている。おらがこの杖を抜くことができるようになったら、その時精霊魔法に目覚めるのだろうか?そしたらおらのことをバカにした奴らに目にものを見せてやれるのに。
そんな事を思いながら今日もハララ様の杖を抜こうと試みる。
相変わらずびくともしない。もしかして岩と一体になってるんじゃないか?そんなふうにも思えてくる。だがこの杖からは強い魔力を感じるし、魔法の杖である事は間違いないのだ。
ふとおらは気付く。今日は誰も魔法の練習をしていないなあという事に。ハララの石碑の前から練習場を見ると、だだっ広い土地に人影は全くなかった。
一時間くらいおらはここでいじけていたため、その時は避難命令が出ていたなんてことを知らずに取り残されていたんだ。
そういえば今日は遠くで何か地響きのような音が続いているな。
おらは自分の身に迫ろうとしている災害に、気付けずにいた。
そう。今この街では、古代巨獣ゴモラが侵入し、街並みを破壊しながらこのシンソ魔法学園の敷地へと進んでいるところだった。
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