魔王転生→失敗?(勇者に殺された魔王が転生したら人間になった)

焔咲 仄火

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第98話 勇者、再会

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――時間は、ユウが日本へと帰った頃に遡る。

 古代語魔法使いと出会い、等価交換の古代語魔法によって異世界に行きたがっていたサトルと日本へと帰りたかったユウの入れ替えを行い、ユウは無事に日本へと帰って来ることができた。

 日本に帰ったユウがまっすぐに向かったのは、恋人ユイの家だった。
 ユウがどうしても日本に帰らなければならなかった理由。それがユイだ。
 ユイとは学生時代から交際していた。
 ユウが就職をした事をきっかけに、二人は遂に結婚式を挙げることになった。
 しかし結婚式を挙げる前に、仕事中のユウは突然オーテウス教によって召喚され、あっちの世界へと行ってしまった。
 何も事情を伝える事ができずに、いなくなってしまった自分。
 どれだけユイを不安にさせてしまっただろうか?それを考える度にユウは、ユイに対して申し訳ない気持ちで胸がいっぱいになっていた。
 しかし遂に日本へと帰って来た。
 どんな顔をして会えばいいのだろう?黙って消えた事をどう謝罪すればいいのだろう?
 そんな若干の不安と同時に、やっとユイに会えるという喜びを胸にユウは走った。

 『廣瀬』と書かれた表札の前で、ユウは深呼吸をすると、呼び出しのブザーのボタンを押す。

『はい?』

「あ、杉本ですけど、唯さんはいますか?」※ユウの本名=杉本勇

『え?ユウ君?ちょっと待って、由衣!由衣ー!』

 恋人ユイの母が慌ててそう騒ぐのを笑ってしまいながら、ユウは静かに玄関前で待つ。
 まもなくして玄関の扉が開くと、そこには最愛の恋人の姿があった。

「……よう!」

 何と切り出してよりか分からず、照れ隠しをしながら片手を軽く上げて挨拶をするユウ。
 するとユイはその両目に涙を溜めながら、ユウに向かって駆け出した。

「ユウ!」

 玄関の奥から覗いている母親の視線も気にせずに、ユイはユウに抱き着く。
 ユウは驚きながらも、優しく抱き返した。

「悪かったな」

「半年間もどこいってたのよ!」

 怒っているのか泣いているのか、それとも再会を喜んでいるのか分からない複雑な表情を浮かべる恋人からの質問に、ユウは簡単には説明することが出来ずに苦笑いしていた。

「話せば長くなるというか……。俺の事は何て伝わってたんだ?」

「私の家にも警察が来ていろいろ聞かれたんだよ。仕事中に突然消えたっていうけど、どこにも証拠が残ってなくて、失踪したって事になってる」

「そうか。後で店長にも謝りに行かなきゃな」

 そしてユウはユイの家に入れてもらい、事情を説明するのだった。

「それは大変だったわね~」

 ユイの母はお茶を出しながら、ユウにそう言った。

「俺の話を信じてくれるんですか?」

「もう!お母さんあっちに行っててよ!」

「いいじゃない、私だって心配してたんだから」

 ユイの母は当然のようにユイの横に腰掛けて呟く。

「ユウ君の今の格好見れば、納得するしかないわよね」

 そう言われて、ユウははっとして自分の服装を確認する。
 革の胸当てに腰から下げた剣。
 まるでコスプレしているかのような恰好で、ここまで町中を走って来た事を思うと恥ずかしくなってくる。

「わ、悪い、着替えとかあるかな?」

「お父さんの服を持ってくるわね」

 そう言ってユイの母が再び席を立った。

「すいません!」

 ユウは再びユイの母に頭を下げる。
 事情を話し終えたユウは、ユイが何と言うのか気になって顔を覗き込むと、ユイは悲しそうな表情を浮かべていた。

「本当に、何も連絡できずに消えて悪かった。でも連絡する方法が何もなかったんだ」

「ううん、心配したけど事情は分かったし、信じてたから大丈夫。ユウの方こそ大変だったんだね。戻って来てくれてありがと」

「ああ」

 自分の話した、異世界に呼び出されて魔王と戦っていたという荒唐無稽な話を、ユイは黙って信じてくれた。
 そして半年間連絡もできずに行方不明になっていた自分に対し、怒る事もなく受け入れてくれたことに、ユウはほっと安堵のため息を漏らすのであった。

「ユウ……」

「あ?何だ?」

「ごめんなさい、実は、結婚式場をキャンセルしちゃったの……」

「ああ、そうか。半年も行方不明になってたんだから、そりゃあ仕方ないよな。また落ち着いてから予約しなおそう」

「うん」

「ところでユイ。ちょっと頼みがあるんだけど……」

「何?」

「インターネットでちょっと調べものをしてくれないか?確か四十三年前って聞いたんだけど、突然消滅した学校があったかどうかを。古びた校舎だったから、山奥の廃校とかかもしれない。それと同時に行方不明になった人がいないか。そしてその男が無事に見つかったかどうか」

「やけに具体的なのね?」

「ああ。会って話を聞いてみたいんだ。俺と同じように向こうに呼び出された先輩みたいだから」

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