夏フェス行ったら異世界に迷い込んだ

焔咲 仄火

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第2章

第15話 異世界のお城で姫の病状の診断をする

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 呼ばれていた部屋に着くと、ファランさんもクロエも先に来ていた。
 俺がついてすぐに、キツネ目の部屋にいた坊主頭の医者ゴライアスも来た。ちょっと気まずい。

「それでは行きましょうか」

 全員来たのを確認すると、王家の侍医ミハエルさんが王女の部屋へと案内する。
 俺がさっきのキツネ目との事をファランさんに報告したかったが、後でタイミング見てからの方がよさそうだ。

 コンコン!
 ミハエルさんがドアをノックすると、部屋の中にいたメイドが扉を開けて出迎える。

 俺たちはミハエルさんを先頭に、王女の部屋へと入る。
 部屋の中には、王女以外に、扉を開けてくれたメイド、先に来ていた王太子の姿があった。

「姫様、薬草医ファラン殿をお連れしました」

「この度王女殿下のご病気を診察させていただく事になりました、ファランです。よろしくお願いします。こちらの二人は私の弟子のカイとクロエです」

 俺たちはファランさんと一緒に王女の前で礼をする。

 王女は、天蓋付きのベッドの上に横になっていた。

「エリス・グリセリアです。ファラン先生、よろしくお願いします」

 かすれるような声で挨拶をしたその人は、肌は青白く、頬はこけ、目の下にはクマができている。
 王太子もキツネ目も、王女はかつて国一番の美少女だったと言っていたけれど、今は気の毒になるほどのやつれようだった。

「姫様、ステータスプレートに手を」

 そう言ってミハエルさんがテーブルの上に置いたステータスプレートに、王女は手を差し出す。
 プレートの上に、王女のステータスが現れる。

名前:エリス・グリセリア
年齢:18
性別:女
職業:王女 LV5/30
HP:5/15
MP:4/4
力:2
早:5
賢:20
スキル:なし
状態:病気

 ファランさんたちと一緒に俺も王女のステータスを確認する。
 HPが低い。寝ているのに回復しないのは病気のせいだろう。
 王女は特にスキルは持っていないようだ。
 それと状態の項目が、病気となっていた。
 詳しい病名とかは、ステータスだけでは分からないようだ。だからこそ医者の出番なのだろう。

「それではファラン殿、診断をお願いします」

「はい。王女様、失礼します。≪診断≫」

 ファランさんはステータスに向けて診断と呟いた。鑑定のような、人間の病気を調べるバージョンのスキルなのだろう。
 ファランさんは、俺には見えない情報を確認した後、一言「なるほど……」と、呟いた。

「カイさん、クロエ。貴方たちも確認してみてください」

「え?でも俺診断はできないですけど」

「ステータスの病気のところを≪鑑定≫すれば、診断ほどではありませんが状態が分かります」

「あ、そんな便利な応用法があったんですね」

 さっそくファランさんの指示通り≪鑑定≫してみる。
 それを見て俺は言葉を失った。

状態:病気
病名:癌(末期)
詳細:癌全身転移。余命1か月前後

「ファランさん!!!」

「落ち着いて。患者を驚かせないで」

 俺はつい声を荒げてしまい、ファランさんに注意される。

「す、すいません……」

 いつも明るいクロエも表情が暗い。
 まさか王女の病気がここまでひどかったなんて。もう本当に手遅れじゃないか。
 ファランさんを王都に呼ぶのもやけに慌てていると思ったが、ここまで切羽詰まった状態だったのか。

 俺たちだけでなく、ミハエルさんも≪診断≫を行っていた。
 ≪診断≫で見えているのであろう様々な数値を、細かくカルテに書き写している。

 冷静にいつものように患者と接するミハエルさんとファランさんを横目に、俺はさすがにもう手の施しようがないのではないかと絶望していた。

「食欲はどうですか?」

「あまり……」

 ファランさんの質問に答える声もか細い。

「最近では流動食しか口にされていません」

 メイドが王女に代わって答える。
 その後もファランさんより、痛いところはあるかとか、淡々と問診が行われていた。

「なるほど。わかりました。それではこれから王女様にご用意する薬について話し合ってきます。薬よりも大切なのはご本人の治ろうとする気持ちです。私たちはそれを手助けすることしかできません。どうか心を強く持ってくださいね」

 ファランさんは王女に優しく話しかける。
 王女はそれに深く頷いた。
 その時だった。

 バタン、と急に扉が強く開かれ、例の男が現れた。
 キツネ目こと、ヴェゼル王子だ。

「おやおや先生、診察はどうですか?王女の病気は治りそうですか~?」







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