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第2章
第16話 異世界のお城で王太子がヤバい
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俺たちが王女の寝室で診察をしていると、突然キツネ目男ことヴェゼル王子が部屋へと乱入して来た。
「ヴェゼル様、今は王女様の診察中です。お控えください」
そう言って王女のメイドが退室を求めたが、メイドの静止も聞かず、奴はズケズケと部屋の中へと入って来た。
「婚約者の部屋に入って何が悪い?」
これには、さすがのロデリック王太子も不快そうな顔をしている。
それにしても、何をしにここへ来たんだ?恐らくこいつは医療の事はほとんど分からないはず。邪魔をしにきたのか?それともさっきのこいつの王女の陰口を聞いた俺に対して、何かしに来たのか?
「ヴェゼル殿、妹は病気なのだ。静かにしてもらえないか?」
ロデリック王太子が不愉快なのを我慢しながら、キツネ目に注意をする。
キツネ目は悪びれる様子もない。
「いえね、ここに盗み聞きをするネズミの臭いがしましてね」
やっぱり俺に対して邪魔をしにきたみたいだコイツ。
「何の話だ?」
ロデリック王太子はその言葉の意味を分からず、キツネ目に尋ねる。
こいつに勝手にしゃべらせておくと、何を言われるか分かったもんじゃない。俺は自ら伝えることにした。
「ロデリックさん、すいません。先ほどヴェゼル王子の部屋の前を通った時に話し声が聞こえてきたのでつい……」
「つい、で勝手に王族の部屋に飛び込んできてもいいと思ってるのか?ロデリック王太子。こいつは王族に対する礼儀がなっておりません。こんな奴に王女の治療をさせてはなりません。即刻ここから追い出しましょう」
「それは本当か、カイ?」
うわー!キツネ目ムカつくー!
ロデリック王太子は急に怖い表情になり、俺の顔を見る。
「カイ、そなたがいくら礼儀作法を知らぬからと言っても、そのような事は許されるものではないぞ?」
「いや、違うんです!そいつが王女の悪口を言ってたんで、つい……」
「妹の……?」
ロデリック王太子の顔がさらに怖くなる。
言い訳したのがいけなかったのだろうか?
キツネ目はさらに調子に乗って俺を責める。
「田舎者め!どんな言い訳をしようとも、無礼は許されるものではないわ!」
「妹の何を話していたのだ?」
ロデリック王子のひたいには血管が浮かび上がっている。これはやばい。
「すいません!王女の事をブスだなんて言う声が聞こえてきたんで、思わず腹が立っちゃって……すいません」
俺がそう言った直後だった。
突然ロデリック王太子はヴェゼル王子の襟元を掴むと、何も言わず部屋の外に連れ出したのだ。
「ちょっ……苦し……」
首元が締め付けられ苦しそうにするヴェゼルを引きずるように、ロデリックが部屋の外に消えると、静かに扉が絞められた。
一体何が起きたのだろうか?
俺がキョトンとしていると、王女が突然声を上げた。
「すいません!兄を止めてください!」
何かやばい!
慌てて俺と坊主頭医師ゴライアスの二人は、二人の王子を追って部屋の外に飛び出した。
部屋の外に出ると、二人は廊下の突きあたりにいた。ロデリックがヴェゼルの襟を持って壁に押し付けている。あまりの力にヴェゼルの身体は浮いている。
「貴様、妹の事をブスと言ったのか?」
「違います王太子、病気のせいで醜くなったと……」
俺が止めに入る前に、ロデリックに殴られたヴェゼルは、宙を舞っていた。
「ぐええ!!!」
鼻から盛大に血を流しながら、ヴェゼルは地面に激突した。
俺は内心、ナイス!と思いつつ、さすがに止めなきゃまずいと思ってロデリックの胴体にタックルをする。
しかしロデリックの鍛えられた肉体は、俺のタックルを食らっても揺るがない。
「例え俺の悪口をいくら言おうとも許そう。百歩譲って国王への悪口も言ったとしても許そう。だがな……。妹の悪口を言う奴は、誰だろうと許さん!!!」
この人ヤバい!
「な、何をする?!血迷ったか!」
「大丈夫ですか?ヴェゼル王子?」
ゴライアスはヴェゼル王子に駆け寄ると、鼻に手をかざす。まもなくして鼻血は止まっていた。
「ええい!もういいわ!ブス王女の治療は中止だゴライアス!国へ帰らせてもらうぞ!」
「こちらこそ貴様に妹の事は任せられん!出て行け!婚約など取りやめだ!」
うっわー!ロデリック王太子が王女の悪口聞いて完全にキレちゃったよ。この人温厚そうだったのに、こんなに簡単にキレるの?
俺が引き金になっちゃっただけに、なんだかやらかした感がハンパない。
「帰るぞゴライアス!」
立ち上がったヴェゼルがそう言うと、なんと坊主医師は反抗をした。
「ヴェゼル様、申し訳ございません。私も医師のはしくれ、ここまで診て来た患者を途中で見捨てるわけにはまいりません。あと少しだけここに残ることをお許しください。ロデリック王太子殿下、後ろで見させてもらうだけでも構いません。なにとぞ私を、ミハエル様、ファラン様と一緒に、王女様の治療に最後までお付き合いさせてください」
おそらくだが、この人も王女がもう先は長くないことを知っているはずだ。だから途中で見捨てて逃げるのではなく、最後を看取りたいと思ったんじゃなかろうか?
ヴェゼルと違って、とても仕事に真摯な人のようだ。第一印象は怖い人だったけど、どうやら実際にはとてもまじめな人っぽい。
「分かった。ゴライアス。妹の事を頼む」
頭を下げたゴライアスに、ロデリックは王女の治療を頼む。
ヴェゼルはそのやり取りを見ていると、舌打ちをして、そしてその場を去った。
「ヴェゼル様、今は王女様の診察中です。お控えください」
そう言って王女のメイドが退室を求めたが、メイドの静止も聞かず、奴はズケズケと部屋の中へと入って来た。
「婚約者の部屋に入って何が悪い?」
これには、さすがのロデリック王太子も不快そうな顔をしている。
それにしても、何をしにここへ来たんだ?恐らくこいつは医療の事はほとんど分からないはず。邪魔をしにきたのか?それともさっきのこいつの王女の陰口を聞いた俺に対して、何かしに来たのか?
「ヴェゼル殿、妹は病気なのだ。静かにしてもらえないか?」
ロデリック王太子が不愉快なのを我慢しながら、キツネ目に注意をする。
キツネ目は悪びれる様子もない。
「いえね、ここに盗み聞きをするネズミの臭いがしましてね」
やっぱり俺に対して邪魔をしにきたみたいだコイツ。
「何の話だ?」
ロデリック王太子はその言葉の意味を分からず、キツネ目に尋ねる。
こいつに勝手にしゃべらせておくと、何を言われるか分かったもんじゃない。俺は自ら伝えることにした。
「ロデリックさん、すいません。先ほどヴェゼル王子の部屋の前を通った時に話し声が聞こえてきたのでつい……」
「つい、で勝手に王族の部屋に飛び込んできてもいいと思ってるのか?ロデリック王太子。こいつは王族に対する礼儀がなっておりません。こんな奴に王女の治療をさせてはなりません。即刻ここから追い出しましょう」
「それは本当か、カイ?」
うわー!キツネ目ムカつくー!
ロデリック王太子は急に怖い表情になり、俺の顔を見る。
「カイ、そなたがいくら礼儀作法を知らぬからと言っても、そのような事は許されるものではないぞ?」
「いや、違うんです!そいつが王女の悪口を言ってたんで、つい……」
「妹の……?」
ロデリック王太子の顔がさらに怖くなる。
言い訳したのがいけなかったのだろうか?
キツネ目はさらに調子に乗って俺を責める。
「田舎者め!どんな言い訳をしようとも、無礼は許されるものではないわ!」
「妹の何を話していたのだ?」
ロデリック王子のひたいには血管が浮かび上がっている。これはやばい。
「すいません!王女の事をブスだなんて言う声が聞こえてきたんで、思わず腹が立っちゃって……すいません」
俺がそう言った直後だった。
突然ロデリック王太子はヴェゼル王子の襟元を掴むと、何も言わず部屋の外に連れ出したのだ。
「ちょっ……苦し……」
首元が締め付けられ苦しそうにするヴェゼルを引きずるように、ロデリックが部屋の外に消えると、静かに扉が絞められた。
一体何が起きたのだろうか?
俺がキョトンとしていると、王女が突然声を上げた。
「すいません!兄を止めてください!」
何かやばい!
慌てて俺と坊主頭医師ゴライアスの二人は、二人の王子を追って部屋の外に飛び出した。
部屋の外に出ると、二人は廊下の突きあたりにいた。ロデリックがヴェゼルの襟を持って壁に押し付けている。あまりの力にヴェゼルの身体は浮いている。
「貴様、妹の事をブスと言ったのか?」
「違います王太子、病気のせいで醜くなったと……」
俺が止めに入る前に、ロデリックに殴られたヴェゼルは、宙を舞っていた。
「ぐええ!!!」
鼻から盛大に血を流しながら、ヴェゼルは地面に激突した。
俺は内心、ナイス!と思いつつ、さすがに止めなきゃまずいと思ってロデリックの胴体にタックルをする。
しかしロデリックの鍛えられた肉体は、俺のタックルを食らっても揺るがない。
「例え俺の悪口をいくら言おうとも許そう。百歩譲って国王への悪口も言ったとしても許そう。だがな……。妹の悪口を言う奴は、誰だろうと許さん!!!」
この人ヤバい!
「な、何をする?!血迷ったか!」
「大丈夫ですか?ヴェゼル王子?」
ゴライアスはヴェゼル王子に駆け寄ると、鼻に手をかざす。まもなくして鼻血は止まっていた。
「ええい!もういいわ!ブス王女の治療は中止だゴライアス!国へ帰らせてもらうぞ!」
「こちらこそ貴様に妹の事は任せられん!出て行け!婚約など取りやめだ!」
うっわー!ロデリック王太子が王女の悪口聞いて完全にキレちゃったよ。この人温厚そうだったのに、こんなに簡単にキレるの?
俺が引き金になっちゃっただけに、なんだかやらかした感がハンパない。
「帰るぞゴライアス!」
立ち上がったヴェゼルがそう言うと、なんと坊主医師は反抗をした。
「ヴェゼル様、申し訳ございません。私も医師のはしくれ、ここまで診て来た患者を途中で見捨てるわけにはまいりません。あと少しだけここに残ることをお許しください。ロデリック王太子殿下、後ろで見させてもらうだけでも構いません。なにとぞ私を、ミハエル様、ファラン様と一緒に、王女様の治療に最後までお付き合いさせてください」
おそらくだが、この人も王女がもう先は長くないことを知っているはずだ。だから途中で見捨てて逃げるのではなく、最後を看取りたいと思ったんじゃなかろうか?
ヴェゼルと違って、とても仕事に真摯な人のようだ。第一印象は怖い人だったけど、どうやら実際にはとてもまじめな人っぽい。
「分かった。ゴライアス。妹の事を頼む」
頭を下げたゴライアスに、ロデリックは王女の治療を頼む。
ヴェゼルはそのやり取りを見ていると、舌打ちをして、そしてその場を去った。
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