先生、おねがい。

あん

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 (え……?)

 何を言われているのかいまいち理解できない。でもきっと、俺には戸塚君と仲良くする資格がないって言っているんだろうって。
 俺は、どこまでいっても要らない子だから──

 (あ、どうしよ……泣きそ……)

 そう思ったとき。

 「やめろっつってんだろうが‼︎」

 部屋中に大きな声が響いた。ハッとしたときにはもう、戸塚君がお母さんの胸ぐらを掴んでいて、自然と涙が引っ込んでしまった俺は慌てて駆け寄った。

 「と、戸塚君っ、俺は大丈夫だから!」
 「んなわけあるかよアホが!」

 あまりの剣幕に流石のお母さんもたじろいでいる。

 「いつもいつも人のことを見下して、そんなに楽しいかよ!」

 戸塚君が本気で怒ってるのを見たのは二回目。一回目は去年の夏祭り。でも今回は、その比じゃなかった。
 いつだって戸塚君は、俺のために怒ってくれる。

 「だいたい、今さらてめえに指図される覚えはねえんだよ!」
 「だ、誰がここの家賃払ってると……」
 「親父だろ!お前はただあの人の横で機嫌とってるだけだ!」
 「っ!そ、そうよ!だからあの人にこのこと言ったら──」
 「親父は俺が町を出てくつったら大喜びだったんだから、今さら家賃がどうのこうのなんて小せえこと抜かさねえよ!」
 「……っ」
 「だいたいあの人は、町の奴らに知られなきゃ俺が成績落とそうが大学落ちようが、どうだって良いんだよ!あんたと違って、あの人にとっては“アイツ”も自分の子どもなんだからな!」
 「〰︎〰︎!」

 戸塚君の最後の言葉が気に障ったのか、お母さんは戸塚君のほっぺを思い切り平手で叩いた。俯いた戸塚君の表情は、前髪に隠れて見えない。

 「もう二度とお前の道具にはならねえ。帰れ」
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