先生、おねがい。

あん

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番外編 酔っ払い心くん②

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 「心?」
 「んぅ……なんかあつい……」
 「ちょ、こら!ここで脱ごうとしちゃ駄目!」


 躊躇いもなくシャツを捲りあげようとした心を慌てて止める。

 焦って少しキツい言い方をしてしまったから、心はびっくりしたのか、シュンと眉を下げた。


 「……怒った?心のこと、嫌いになった?」
 「えっ、ち、違う違う。嫌いなわけないだろ」


 うるうると上目遣いをしてくる心に狼狽えつつ、しっかりと否定したが、心はまだ不安そうな顔でコテンと首を傾げた。


 「じゃあ、好き?」
 「っ、好きだよ。大好き」
 「えへへ……あのね、心も先生のことだいすき」
 「んんんっ」


 表情を一転させてにぱっと笑う心に、胸が波打ち、俺は顔を押さえて悶絶した。

 普段はお利口さんな心が少しわがままな感じで絡んでくるのが可愛いし、自分のことを名前で呼んでるのもずっと昔に会った幼い頃の心みたいで、ものすごく可愛い。

 
 (ああもう、なんでこんなに可愛いかなぁ……)


 今すぐにでも唇を奪って、ベッドに連れ込んで、めちゃくちゃに甘やかしてやりたい。

 そんな欲望のままに顔を寄せ、危うく二人の世界に入りそうになった時──強い痛みが足を襲った。


 「痛っ⁉︎」


 驚いて我にかえると、戸塚くんが般若ばりの恐ろしい顔で俺のことを睨みつけていた。

 どうやら俺は、戸塚くんに思いっきり足を踏まれたらしい。というか、今もグリグリと踏まれ続けているので、痛みは継続中だ。


 「と、戸塚くん……痛いんだけど……」
 「黙れ淫行教師」
 「ご、ごめんって……」
 「別に?アンタに謝られる権利なんて俺にはねえし?」


 と言いつつも、ものすごく不機嫌そうな戸塚くんは、俺と心を強引に引き離し、心に軽いデコピンをした。

 心は「ぴゃっ!」と声をあげ、ぱちぱちと目を瞬きながら不思議そうに戸塚くんを見つめている。その現状を理解できていない感じの様子がこれまた可愛いのなんの。


 「戸塚くん……?」
 「俺帰るけど、あんまりソイツを調子乗らせんなよ」
 「ふぇ?戸塚くん、泊まってかないの?」
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