【完結】東京異世界派遣 ーー現場はいろんな異世界!依頼を受けて、職業、スキル設定して派遣でGO!

大濠泉

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第二章 白鳥雛派遣:魔法使い編

◆50 大魔法使いヒナの智謀?

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 男爵家子息アレックは、ターニャ王女の寝室に潜んで、寝込みを襲い、既成事実を作り上げて強引に婚約者になろうとたくらんでいた。
 だが、正当な婚約者である公爵家子息レオナルドに、その企みが露見し、王女からは嫌われてしまった。
 かくなるうえは、決闘によってレオナルドを討ち果たし、王女をさらうまでーー。

 王女の寝室で、アレックは剣を構え、叫んだ。

「俺は、ドロレス王権代理を、味方に引きれてるんだ。
 レオナルド、貴様を殺しさえすれば、解決する。
 姫の寝室に入り込んだ悪漢を成敗した、という筋書きにしてもらう。
 そうすれば、俺様は晴れて王女の婚約者となって、いずれは王に即位してみせよう!」

 レオナルドは呆れて首を振ってから、低い声を出した。

「愚かな男だな。君は。
 そんなことをしても、ターニャ王女殿下の御心は奪えないぞ!」

「黙れ!
 こっちには、王妃ドロレス様と魔法使いヒナがついているんだ。
 貴様を殺して、二人に俺の潔白の証人になってもらうさ。
 誰も文句のつけようがないだろう」

 この発言には、レオナルドばかりでなく、ターニャ姫も顔色を変えた。
 ここでヒナの名前が出て来るとは、思いもしなかったからだ。

王妃義母はあなたの味方でしょうけど、ヒナさんは違います。
 私はヒナさんのお言葉によって、レオナルド様と結ばれることになったのですから」

「なに!? そんな馬鹿な。
 あの魔法使いは、俺にメロメロだ。
 どうとでも操れる、俺の駒だ」

 レオナルドはしばらく思案した後、得心とくしんが入ったように、頭を縦に振った。

「今、わかったよ、アレック。
 君がこのような場所で、無様に身をさらすに至ったわけを。
 そうか。すべてヒナさんのおかげだったんだ。
 君のその口振りからすると、ヒナさんを信じてこの場にやって来たのだろう?
 残念だったな。
 彼女は君がーーいや、僕らが想像していたよりも、ずっと優秀なーー頭の切れる護衛役だったんだ。
 たんに敵からの襲撃を防ぐばかりではなく、水面下でうごめく悪党を引きり出して、白日の下にさらしてしまうとはね」

「な、なんだと。あのバカ女が!?
 俺を引き摺り出しただと?
 違う。アレはすっかり俺にのぼせて、今も俺がやって来るのを居酒屋で待っているーー」

 ターニャ姫は真面目な顔で、話を引き継ぐ。

「異世界から父王様おとうさまがわざわざお招きくださった女性が、貴方のような男性になびくと、本気でお思いになって?」

「そ、そんなーーあれが演技だというのか!?
 信じられぬ。いつからだ。
 いつから俺は、あのオンナに出し抜かれたんだ!?」

 アレックは、不意をつかれた思いがした。
 胸にキリを刺されたように痛んだ。

「この俺がずっと、あのバカ女に騙されていたというのか?」

 じつはアレックにも、思い当たることがあった。

(そういえば、俺の居場所がわかるとかいう魔法をかけていやがった……)

「これをご覧になって」

 ターニャ姫は、ヒナが預けた魔法の指輪を見せる。

「宝石商を名乗る貴方でも、おそらく初めて見るモノでしょう。
 魔力が込められた魔石がめられているのですけど、恐ろしいほど多機能なの。
 防御魔法のみならず、通信機能もついているんです」

「通信機能?」

「ヒナさんが耳にする音声と、目にした映像が、ことごとく〈ナノマシン〉という精霊によって、この指輪に伝えられてたの。
 この指輪を嵌めていた私には、すべてが筒抜けだったのよ。
 望めば好きな場面が、頭の中で音声と共に映し出されたわ。
 こうして、映像を空中に映し出すこともできるのよ」

 ターニャ姫が紫に光る指輪を掲げると、空中に様々な映像が映し出された。
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