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【第一章】一部

【呼び出されし者】14.ボス登場 ~フレイム・ソフトウェア式~

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轟音と共に玄武岩から突き出る黒く太い筋肉質な腕。どう見ても人間の倍はある長さと太さ。
ゆっくりと腕が引っ込んでいく。


「えー、またまたいきなりボス来ちゃった的な?」

あんなもん見たから背中は冷や汗でびっしょりだ。
マンティコアに続き、俺、イベントボス戦しかしてないじゃないですかね?
おかしいなラノベならここは俺強ぇぇぇぇの無双するシーンだと思うんですよ。ええ

しかも玄武岩ぶち抜くって、喰らったら間違いなく一発終了のお知らせです。

すかさず叫ぶ。

「ダラ!クミンを抱えて逃げろぉぉぉぉぉぉ!! 」

傍に居るナタルゥに目配せして叫ぶ。

「ナタルゥ、お前も今すぐ逃げろ!!」


もうこれはまともに戦う相手じゃない。逃げたって逃げ切れるか厳しいところだが、遠距離からの攻撃と回復ができる俺だけなら少しは時間を稼げるかもしれない。


あれは人間がどうこう出来るもんじゃない。

「玄武岩キューブ!」

時間稼ぎのために真空ヴァキュームキューブから真空を外した玄武岩の檻の魔術を作り今ある奴の居る玄武岩のブロックの外側ぴったり包み込むように発動する。先程より厚みを3倍にした。あの腕の長さならこれで暫くは時間が稼げるはずだ。
ネーミングセンス無いのはわかってるよ!

ゴーーーン
ゴーーーン

ゴーーーン



固まったままのダラ達に再度叫ぶ。

「ダラ、クミンを頼む!! 頼むからクミンを連れて逃げてくれ!!」

ナタルゥの固まったままなので平手打ちをしてこちらを向かせ、目を見つめて叫ぶ。

「ナタルゥもすぐに逃げるんだ。分かったな? 今すぐ行け、行けよ!!」


それでも動けないダラの目の前にファイアを発動するとやっと我に返ったようでこちらを見つめる。再度叫ぶ。

「ダラ!!クミンを連れて逃げてくれ」
しかし反応は鈍い。

「魔人・・・族」

隣でナタルゥが震える声で呟いた。
ナタルゥの方を見るとガクガクと膝が笑い動けないでいる。そしてペタンと尻餅をついてしまう。
ナタルゥの正面に回り込み両肩を掴んで揺すりながら問い掛ける。

「ナタルゥ、しっかりしろ!」
「ダメ、逃げられない。強過ぎる、魔力、腰、抜けた」


ドガーーーーン

えっもうかよ?こっちはまだMPは回復しきっていないぞ。
玄武岩合計60cmをもうぶち破ったてことかよ。

ダラやナタルゥが立ち直れないとなるともう逃げている余裕はない。

「オメガブラックウォール」

ダラたちの傍の奴側に障壁代わりの壁が出現する。俺はナタルゥを抱えてなんとか走り壁の陰まで辿り着くと下ろす。

「皆ここに隠れててくれ。動けるようになったら逃げてくれ。俺は往ってくる」
「ダイン殿!」
「せめてクミンだけでも逃がしてやってくれ。頼む」
ダラに抱き抱えられ小刻みに震えるクミンを見て、笑顔を作り頭を撫でる。
立ち上がるとゆっくり歩きだす。
穴の空いた玄武岩の正面に距離を取り待ち構える。
対抗手段?なんも浮かばん。真空状態でも活動可能とかどこの戦闘民族だよ。

魔力感知を発動すると穴から赤黒い紫とでもいうような霧が猛烈な勢いで吹き出して辺りに立ち込めているのがわかる。辺り一帯はその霧に覆われておりナタルゥが腰抜かしたのはそのせいなのだろう。
ナタルゥが呼び出していた闇の精霊?とも違う何故か禍々しいと感じるそのうねる霧は精霊と交信するナタルゥには恐怖を齎すのかもしれない。

先程までは玄武岩の塊で遮られていたが、この吹き出す霧すべてが奴の魔力だとするならとんでもない魔物ということだ。

「ライト!」

闇なら光だなという安直な思い付きで上空に光量と持続時間を増やしたライトを放つ。
辺り一帯が昼間よりも眩しく照らし出される。
魔力感知で確認してみると立ち込めた霧が赤紫に変色している。
なんかしらの影響は与えていそうだが霧が晴れたわけじゃあない。

「もういっちょ、ライト」

今度は穴の中へライトを打ち込む。

「うおっ眩しっ! うがぁぁぁぁぁ、小賢しいわ!」

ドコーーーーン

「キャンセル!」

飛び散る玄武岩が炸裂弾と化して飛んでくるのを魔術キャンセルで消滅させる。
予想をしていたのでなんとか間に合った。
あっぶねぇ自分の魔術で死ぬとか流石に情けないことは回避した。

現れたのはデビルカ○ヤの胸に縦に開いた大きな目玉をくっつけたようなやつだった。









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