水晶龍といっしょ ~ダンジョン巡って魔王の種もぎ~(仮題)

眠り草

文字の大きさ
19 / 47
【第一章】一部

【呼び出されし者】15.引き出す

しおりを挟む
「うおっ眩し!」

「いや、それもういいから」
思わず突っ込みを入れてしまう。

自動翻訳のせいなのかどこかの掲示板で使われているネタを喋る悪魔とかシュール過ぎて口を吐いてしまった。

現れたデビルカ○ヤの胸に縦に開いた大きな目玉をくっつけたようなやつが、目を細めながら右腕を上げて顔に当たる光を遮るように掲げている。左手は光から胸の目玉を守るようにしている。

身長は人間の倍はあるだろう人型に蝙蝠の羽を備えた悪魔然とした存在。全身は蟇のようにぼつぼつした嫌悪感を覚える質感で青黒い皮膚に被われている。
昼間よりも明るい光を浴びて皮膚から白い煙を上げている。

「ふん、貴公が我の眠りを妨げた愚か者か」

貴公と聞いて脳裏に浮かぶうさぎさんヘルメット
いやいやそうじゃなくて、会話が成り立つなら時間が稼げる。
今はMPの回復をしないことにはどうにもならない。

「それは失礼。貴殿の部下による扱いがあまりにも酷かったためちょっとお灸を据えていたところなのですよ。良くできた部下をお持ちのようで羨ましい限りです」

ラノベで得た皮肉を混ぜる貴族という体で会話をする。
さてどうこの状況を打開する?
とりあえすアナライズ。


ギュベリュマ(正式発音表記不可)
魔人族種(騎士級)
ダンジョンシード寄生
推定HP 280/280(270+10)
推定MP 1009/1200(200+1000)
弱点 水 (光) 
意識被支配
憑代強化
身体強化

ダンジョンシード
推定HP 10/10
推定MP 1000/1000
弱点 光
寄生中

色々突っ込み処はあるけど、ダンジョンシード寄生中?
あのあからさまな胸のでかい目の下にダンジョンシードと表示されている。
寄生されているギュベリュマはMP俺よりも低いじゃないの。ダンジョンシードを引き剥がせば可能性あるかもしれない。ダンジョンシードもHP10ならばワンチャン有り得るぞ。
少し希望が見えてきたかも。問題はすべて推定って付いてることだ。今までこんなことは無かったから一抹の不安を覚える。

そんなことを考えながら次の言葉を探る。

「私はダイン・ジ・アースフレイム。魔術師です。貴殿はダンジョンマスターとお見受けしたがお間違いないか?」

適当な偽名を名乗り話を引き延ばすことにした。

「これは失礼した。我は魔人族騎士爵がギュベリュマ。如何にも我はダンジョンマスターである。さて此度は我が配下が礼を欠いたようだな。謝罪として礼節を欠いた愚昧な配下に代わり我の配下となることを許そう」

それ、今死んだ奴等の代わりが欲しいってだけだろ。
冗談じゃない。が、奴が何を目的で奴等に何をやらせようとしていたのかは探っておきたい。

「配下になるにしても何をすればよろしいのかな?」
「この世界に召喚された稀人まれびと狩りだ」
あ、これ、俺のことじゃない?
「稀人ですか?どのように見分けるか方法があるのですか?手当たり次第というのは無理がありますが」

見分ける手段が判れば対策が取れるかもしれない。居場所駄々漏れとか最悪だからな。

「稀人は、奴等が聖域と呼ばれる場所に呼び出される。だからそこから出てくる者を捕らえて来れば良い」
「全員ですか?出てくるのをひたすら待つだけなのでしょうか?それとも出てくる時期はわかるのですか?」
「時期は分かる。そこに連れてきた獣人の巫女が神託を受け聖域に赴く時だ」

そう言いながらギュベリュマは鉄格子の方を緩く曲げた人差し指で指差す。
獣人の巫女てのはクミンのことか

「なるほど、それで我々ですか。我々の中に稀人が居るのでしょうか?」
もう俺しか居ないじゃんとか冷や汗止まらん。バレバレやん。

「稀人は強固なマナを所有している。そう貴公のようにな」

にやにやとこちらの顔を睨め付ける。
あーやっぱりな。さてまだ会話で引き出せるか一応稀人こと俺への目的はなんなのか聞いておきたいところだ。

「ふむ、私が稀人だとして稀人へのご用件とはなんなのでしょう?」
「用向きは簡単なことよ。我のダンジョンの礎になってもらうことだ」

なるほど、苗床とか男なので勘弁です!こいつも律儀に答えずに餌で釣るというずる賢さを持ち合わせて居ない辺り脳筋気味だな。俺としては助かるけど。

「礎になると稀人にはメリットがあるのでしょうか?」
「礎となる者は、我らが主と一体になり永劫の快楽を得ることとなろう。大変な誉れよ」

ギュベリュマは両目を瞑り少し上を向き恍惚の表情を浮かべている。悪魔のうっとり顔とか誰得?
それに、それはつまり魔王様に吸収される流れだろ。

「ところで一つ確認。何故神託の巫女まで連れて来てあまつさえ殺そうとしたのですか?
稀人は一人とは限らないのですよね?
ここで殺してしまったら次からの時期が分からなくなるのでは?」

クミンを瀕死の重傷を負わせ放置して殺そうとした意味が分からない。

「稀人は情に厚い者が選ばれる。つまりは稀人を見付ける餌だ」

まんまと引っ掛かりましたぁぁぁぁぁ、畜生めぇぇぇぇぇ
最初からバレてたのね。

「我は貴公を歓迎しようぞ」


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

異世界ビルメン~清掃スキルで召喚された俺、役立たずと蔑まれ投獄されたが、実は光の女神の使徒でした~

松永 恭
ファンタジー
三十三歳のビルメン、白石恭真(しらいし きょうま)。 異世界に召喚されたが、与えられたスキルは「清掃」。 「役立たず」と蔑まれ、牢獄に放り込まれる。 だがモップひと振りで汚れも瘴気も消す“浄化スキル”は規格外。 牢獄を光で満たした結果、強制釈放されることに。 やがて彼は知らされる。 その力は偶然ではなく、光の女神に選ばれし“使徒”の証だと――。 金髪エルフやクセ者たちと繰り広げる、 戦闘より掃除が多い異世界ライフ。 ──これは、汚れと戦いながら世界を救う、 笑えて、ときにシリアスなおじさん清掃員の奮闘記である。

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。

タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。 しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。 ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。 激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

処理中です...