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第一章 領地でぬくぬく編
第08話 女神、マジでアレがアレでアレすぎる
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家族会議。
二週間も経たずして再び開催される運びとなり、フォックスマン家の面々が食堂で一堂に会する。前回仲間外れだったラルフ然り、メイド長のマリナも給仕をしながらだが、参加している。
「陛下に報告したらどうなってしまうのかしら」
第一声を放ったのは、経緯を聞いて事の重大性を悟ったセナだった。透き通るブルーの瞳に不安の色を浮かべている。
「当然、聖女様に鑑定していただくことになるだろうな」
セナの疑問にさも当然といった調子のダリル。
(聖女様? 聖女様ってあの聖女よね……嫌だわそれは、だって、ねぇ。あの娘、人間じゃないし)
聖女の正体を知っているローラだが、それを言っても絶対信じてもらえる訳がない。このまま任せていたら、本当に鑑定されることになるので、しっかりと意思表示をする。
「それはいやっ」
ただそう簡単にローラの意見が受け入れられる訳もない。
「嫌と言ってもだな。ラルフはどう思う?」
「私としては、今すぐに報告をする必要は無いと思います。今は、勇者様たちが召喚されてそれなりに善戦していると聞いておりますし」
(おっ、はじめて勇者の状況を聞けたけど、なんとも歯切れが悪いわね)
ラルフの言葉を聞いたローラが、セナとは違った意味でその無垢な顔を不安の色に染める。そんなローラを他所に、ダリルがラルフの揚げ足を取る発言をする。
「善戦と言っても負けていないだけで勝ててはいないではないか。伝承によると、勇者は無類の強さを誇り、魔族なんてちぎっては投げちぎっては投げの状態だったと聞くではないか」
ヤレヤレと言った様子のダリルが、隣に立っているラルフを見上げて呆れ顔をしている。
「あのー」
勇者の話を聞けたことは嬉しかったが、ローラとしては神眼の扱いがどうなるのか気になって仕方がない。どうにか帝都に報告がいかないようにお願いをするべく、ダリルに向かって声を掛ける。
「そもそも前回の召喚は一〇〇年以上も前という話ではないですか。恐らく誇張して伝えられたか、今代の魔王が強いのかもしれませんよ」
「あのー」
「逆に勇者たちが弱いのかもしれんぞ」
違う方向に白熱しはじめたダリルとラルフには、ローラの声が耳に入らない様子。一方、俯いて目を瞑ったローラが、わなわなと震えはじめる。
(ぬぐぐぅ、わたしのことを無視するなんて許せないわっ!)
「きいてよ!」
ばんっと、テーブルを叩いてローラが大声を上げる。
「「うお」」
ギョッとしてダリルとラルフが目を見開いてローラを見た。なにもそれは二人に限ったことではなく、食堂にいた全員の視線がローラへと集中した。
「わたしはどうすればいいの……」
ポツリと悲しげに俯いてローラがそう呟いたが、心中はとんでもない。既に、大人たちを出し抜く算段をはじめていた。ぐすんと鼻を啜ってからローラが、盛大な泣き真似をして大人たちを困らせてやった。
ダリルとラルフがセナにこっぴどく絞られたのは、言うまでもない。
「あなたたちいい加減にしなさい!」
と普段大人しく可憐な雰囲気のセナからは想像もできないような、厳しい叱責だった。
母親おそるべし……とローラが思ったとか思わなかったとか。
そうこうしているうちに、ローラが魔法眼のスキルを持っていると勘違いした大人たちが、話し合って皇帝陛下への報告をしないことに決めた。
我が子が可愛いくて義務よりも私情を優先したのだった。
帝国に使える貴族としては大問題であったが、ダリルは帝国の元近衛騎士団長。セナは騎士ではなかったが、宮廷魔法士の中でも補助魔法士として随一の実力者だったとか。その二人は、愛娘を戦場へ送り出すくらいなら、再び自分が戦場へ赴くことでその義務を果たす心構えを見せたのだ。魔王が魔獣を操り、魔族との争いが絶えない世界であるが故、才能のある者は冒険者ギルドではなく、国に士官させてお抱えとするのが通例らしい。ローラからしたら冒険者になって自由気ままにさせてもらえた方が、魔王討伐が早くできると考えている。
(国のお抱えになどなったら好きに行動できなくなるじゃない!)
親の心子知らず、ではないが、それがローラの本音だった。その他の要因として異世界より召喚された勇者たちがいることもあり、幼いローラを国に捧げることを躊躇したというのもある。
が、
その願いも虚しく、その家族会議から二年が経ち、ローラが七歳になろうかという年の冬。勇者パーティーが魔族との戦闘で全滅してしまった。
それを聞いたローラは、
「勇者呆気なくてマジでアレがアレでアレすぎるわよ」
と、呆れたのだった。
とにかく、その情報が全世界を震撼させ、再び混沌の世界へと突入するのではないかと噂され始めているらしい。
当然、ローラは、
いやー、そりゃあそうよね。
勇者がどんだけ強いかはわたしからしたら微妙だけど、この世界のヒューマンよりは強いのは確かだしね。
って、待って! となるとわたしは帝国に売り飛ばされちゃうのかしら!
え? それは、もしかしたらヤバくないかしら……
いやいや、もしかしなくてもヤバいじゃないの!
もう! だから異世界召喚なんて無駄だって言ったじゃない!
それにしても、もう少し頑張りなさいよ!
勇者のバカぁぁぁあああー!
まだ、この程度の能力じゃ死んじゃう!
ヤバいよぉぉぉおおおー!
と、その知らせを聞いたローラは、語彙力が低下するほどに、焦りに焦りまっくたのである。
帝国への報告を見送ったローラが五歳の時は、勇者が健在だったこともあり、ローラのスキルを帝国に報告しなかった節があるとローラは考えていた。更に、そんな訳はないのだが、最前線に送られるとも勘違いしていた。
そう考えると、ローラの方が思い違いが激しくマジでアレがアレでアレすぎる……
ローラの頭の中はさておき、フォックスマン家は、再び決断の時を迫られたのであった。
二週間も経たずして再び開催される運びとなり、フォックスマン家の面々が食堂で一堂に会する。前回仲間外れだったラルフ然り、メイド長のマリナも給仕をしながらだが、参加している。
「陛下に報告したらどうなってしまうのかしら」
第一声を放ったのは、経緯を聞いて事の重大性を悟ったセナだった。透き通るブルーの瞳に不安の色を浮かべている。
「当然、聖女様に鑑定していただくことになるだろうな」
セナの疑問にさも当然といった調子のダリル。
(聖女様? 聖女様ってあの聖女よね……嫌だわそれは、だって、ねぇ。あの娘、人間じゃないし)
聖女の正体を知っているローラだが、それを言っても絶対信じてもらえる訳がない。このまま任せていたら、本当に鑑定されることになるので、しっかりと意思表示をする。
「それはいやっ」
ただそう簡単にローラの意見が受け入れられる訳もない。
「嫌と言ってもだな。ラルフはどう思う?」
「私としては、今すぐに報告をする必要は無いと思います。今は、勇者様たちが召喚されてそれなりに善戦していると聞いておりますし」
(おっ、はじめて勇者の状況を聞けたけど、なんとも歯切れが悪いわね)
ラルフの言葉を聞いたローラが、セナとは違った意味でその無垢な顔を不安の色に染める。そんなローラを他所に、ダリルがラルフの揚げ足を取る発言をする。
「善戦と言っても負けていないだけで勝ててはいないではないか。伝承によると、勇者は無類の強さを誇り、魔族なんてちぎっては投げちぎっては投げの状態だったと聞くではないか」
ヤレヤレと言った様子のダリルが、隣に立っているラルフを見上げて呆れ顔をしている。
「あのー」
勇者の話を聞けたことは嬉しかったが、ローラとしては神眼の扱いがどうなるのか気になって仕方がない。どうにか帝都に報告がいかないようにお願いをするべく、ダリルに向かって声を掛ける。
「そもそも前回の召喚は一〇〇年以上も前という話ではないですか。恐らく誇張して伝えられたか、今代の魔王が強いのかもしれませんよ」
「あのー」
「逆に勇者たちが弱いのかもしれんぞ」
違う方向に白熱しはじめたダリルとラルフには、ローラの声が耳に入らない様子。一方、俯いて目を瞑ったローラが、わなわなと震えはじめる。
(ぬぐぐぅ、わたしのことを無視するなんて許せないわっ!)
「きいてよ!」
ばんっと、テーブルを叩いてローラが大声を上げる。
「「うお」」
ギョッとしてダリルとラルフが目を見開いてローラを見た。なにもそれは二人に限ったことではなく、食堂にいた全員の視線がローラへと集中した。
「わたしはどうすればいいの……」
ポツリと悲しげに俯いてローラがそう呟いたが、心中はとんでもない。既に、大人たちを出し抜く算段をはじめていた。ぐすんと鼻を啜ってからローラが、盛大な泣き真似をして大人たちを困らせてやった。
ダリルとラルフがセナにこっぴどく絞られたのは、言うまでもない。
「あなたたちいい加減にしなさい!」
と普段大人しく可憐な雰囲気のセナからは想像もできないような、厳しい叱責だった。
母親おそるべし……とローラが思ったとか思わなかったとか。
そうこうしているうちに、ローラが魔法眼のスキルを持っていると勘違いした大人たちが、話し合って皇帝陛下への報告をしないことに決めた。
我が子が可愛いくて義務よりも私情を優先したのだった。
帝国に使える貴族としては大問題であったが、ダリルは帝国の元近衛騎士団長。セナは騎士ではなかったが、宮廷魔法士の中でも補助魔法士として随一の実力者だったとか。その二人は、愛娘を戦場へ送り出すくらいなら、再び自分が戦場へ赴くことでその義務を果たす心構えを見せたのだ。魔王が魔獣を操り、魔族との争いが絶えない世界であるが故、才能のある者は冒険者ギルドではなく、国に士官させてお抱えとするのが通例らしい。ローラからしたら冒険者になって自由気ままにさせてもらえた方が、魔王討伐が早くできると考えている。
(国のお抱えになどなったら好きに行動できなくなるじゃない!)
親の心子知らず、ではないが、それがローラの本音だった。その他の要因として異世界より召喚された勇者たちがいることもあり、幼いローラを国に捧げることを躊躇したというのもある。
が、
その願いも虚しく、その家族会議から二年が経ち、ローラが七歳になろうかという年の冬。勇者パーティーが魔族との戦闘で全滅してしまった。
それを聞いたローラは、
「勇者呆気なくてマジでアレがアレでアレすぎるわよ」
と、呆れたのだった。
とにかく、その情報が全世界を震撼させ、再び混沌の世界へと突入するのではないかと噂され始めているらしい。
当然、ローラは、
いやー、そりゃあそうよね。
勇者がどんだけ強いかはわたしからしたら微妙だけど、この世界のヒューマンよりは強いのは確かだしね。
って、待って! となるとわたしは帝国に売り飛ばされちゃうのかしら!
え? それは、もしかしたらヤバくないかしら……
いやいや、もしかしなくてもヤバいじゃないの!
もう! だから異世界召喚なんて無駄だって言ったじゃない!
それにしても、もう少し頑張りなさいよ!
勇者のバカぁぁぁあああー!
まだ、この程度の能力じゃ死んじゃう!
ヤバいよぉぉぉおおおー!
と、その知らせを聞いたローラは、語彙力が低下するほどに、焦りに焦りまっくたのである。
帝国への報告を見送ったローラが五歳の時は、勇者が健在だったこともあり、ローラのスキルを帝国に報告しなかった節があるとローラは考えていた。更に、そんな訳はないのだが、最前線に送られるとも勘違いしていた。
そう考えると、ローラの方が思い違いが激しくマジでアレがアレでアレすぎる……
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