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22.愛おしくてたまらなくなる
しおりを挟む(また寝ちゃった。)
目を覚ますと、レオはいなくなっていた。
私はレオナから貰った金色の宝石をぎゅっと抱きしめる。
(絶対に、守るんだ。)
そのためには、情報を集めなくてはならない。どうしたらこの部屋からでて、レオを救えるのか。
私は部屋を見渡した。部屋は外側から鍵がかけられていて抜け出せそうな場所はない。
だが、隣接するお手洗いの天井には通気孔がある。どうやらこの隠し部屋は、かつての王が愛人を囲っていた部屋だったらしい。愛人が生きられるよう、お手洗いが隣接されているのだ。
(いざというときのために、抜け出せるドアが隠されてるんじゃないかしら。)
私は部屋中を調査することにした。
ベット、壁、床、、。
(この部屋の中には何もないわね。)
続いて、お手洗いのスペースを調査する。綺麗に掃除されたその場所には人が使った痕跡はない。
(きっとレオ様は、ここを使ってなかったんだ。)
つい、口元が緩んだ。
壁と床を入念に調査するも、変わったところはない。
(だめか、、、。)
部屋に戻ろうとしたとき。
「うわっっ。」
私はお手洗い床のタイルにひっかかって、思いきり倒れ込んだ。
ドンッ
と大きい音がなり、床に穴が空いてしまった。一箇所だけ、タイルが壊れやすくなっていたのだ。
(これは、、、!)
壊れたタオルの下に隠されていたのは、銀色のハンドル。
私は恐る恐るそのハンドルを握った。
(何が、起こるんだろう、、、?)
ゆっくりと、ハンドルを引く。
すると
ガシャーン!
と、音がして天井の通気孔からはしごが降りてきた。
(嘘、、、。)
私は座り込んでそのはしごを見つめる。きっと、あのはしごはこの部屋に隠された愛人を何処かに連れて行くための仕掛けだ。
私はゴクリとつばを飲み込んだ。
(どこに、通じているんだろう?)
この部屋にいればきっと、レオが私を守ってくれる。だけど、私にはレオを守れない。
「進むのよ。オリビア。」
私は自分に言い聞かせる。
(レオ様を守るんでしょう。)
私は立ち上がって、はしごに手をかけた。一歩、足をかけようとしたとき。
カシャン
と、部屋のドアが開く音がした。
(このはしごの存在をレオ様に知られるわけにはいかない!)
私は急いでお手洗いの扉を閉めると、ベットの中に潜り込んだ。
「オリビア?晩御飯を持ってきたんだが、食べれるか?」
私はゆっくりと、布団から顔を出す。お手洗いのはしごはそのままだ。
(気づかれませんように。)
そう思いながら、私は大きく頷いた。
「食べます!」
もうすでにお腹はペコペコである。
「一緒に食べよう。」
レオはにっこりと笑った。
(ああ、だめだ。)
レオの笑顔を見てると、愛おしくてたまらなくなってしまう。ずっとこの部屋にいて、レオと時を過ごしていたいと望んでしまう。
◇◇◇
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