【完結】婚約破棄を望む王子様にお飾りの正妃にして欲しいと頼んだはずですが、なぜか溺愛されています!

五月ふう

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30.俺は王になります

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「父に、父に会わせてくれ!!」

王の間を出たレオはカルクがいる部屋の前に来た。

「だめだと言ったでしょう?」

フローレンスが部屋の前に立ちはだかる。

「そこを避けろ。」

レオは剣を抜き、フローレンスに向けた。

「きゃあ!!」

フローレンスが悲鳴を上げる。

(なんと言われようと構わない。オリビアを助けなければ。)

あの通路は父カルクの寝室へと続いている。オリビアがフローレンスを見つけてしまう前に、なんとしてもオリビアを見つけなければならない。

「父上!!」

扉を開けるとそこには、生気のないカルクが横たわっている。

その姿を見てレオは呆然と立ち尽くした。

(本当に、、いなくなってしまうのか。)

レオはカルクの枕元に駆け寄り、その手を強く握った。

「レオ、、、。」

カルクが微かに目を開け、レオを呼んだ。レオはその口元に耳を寄せる。

「オリビアに、会ったよ、、、。」

「そう、なのですね!」

カルクは少しだけ笑みを浮かべた。

「オリビアは、、もうここには、、いない、、わかるな?」

レオは大きく頷いた。

(湖への道だ。)

かつて、レオがレオナとしてこっそり抜け出していた道。

「幸せに、なれよ、、、。逃げても、いいんだ、、レオ、、、幸せに、、、。」

そう言って、カルクは目を閉じた。

「父上!!」

レオは唇を噛んで立ち上がった。

(俺は、、何をしていたのだ。)

レオは震える手をぎゅっと握りしめた。

カルクはずっと、自分を信じてくれていた。フローレンスに打ち勝ち、レオが立派な王になることを望んでいたはずだ。

(どんな思いで、、逃げろと言ったのか、、、。)

レオは涙を拭って立ち上がった。

(ずっと、戦うことから逃げてたんだ。)

「俺は、、王になります、父上。」

フローレンスに聞こえたとしても構わない。

「父のような、立派な王になります。」

レオの言葉を聞いて、カルクは少し微笑んだように見えた。




   ◇◇◇

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