【完結】婚約破棄を望む王子様にお飾りの正妃にして欲しいと頼んだはずですが、なぜか溺愛されています!

五月ふう

文字の大きさ
29 / 34

29.レオは、レオナなの?

しおりを挟む
その頃、オリビアはハリバート城の隠し通路の中にいた。

『この通路を進めば、外に出られる。』

カルク様はそう言って私を送り出してくれた。

カルク様の部屋から、誰にも見つからずに外に出られるらしい。

(絶対に、この手紙を皆に届けてみせます。カルク様。)

私はカルク様から預かった手紙達をぎゅっと強く抱きしめた。

隠し部屋が行き止まりはしごがかかっている。そこを登り扉を開けた。

(ここは、、、!)

そこは、ハリバート城裏の森。
大きくて青い湖が広がっていた。

2日ぶりの外の空気を大きく吸い込む。

(懐かしいなぁ。)

その湖は私とレオナの思い出の場所だった。

幼い頃、私はこの森に迷い込んだのだ。そして、そこでレオナに出会った。

(レオはレオナなんだろうか、、、。)

湖の隣を歩きながら、私は考える。

皇太子と、王様しか知らない隠し通路の先にある湖。

レオナはなぜ、この湖のそばにいたの?
どんなに探しても見つからなかったレオナ。

考えれば考えるほど、レオナはレオなんじゃないかと思えてくる。

私は首を振った。

(どっちだって関係ないよ。)

私は手紙を抱きしめ、街へと急いだ。


   ◇◇◇


「この手紙、伝書鳩で送ってください!!」

ハリバート国には、伝書鳩による伝達手段が発達している。伝書鳩を利用すれば、早ければ今日の夜までには手紙を届けることができる。

「良いけど、お嬢ちゃんお金持ってる?」

伝書鳩屋さんの店長が、頬杖をついたまま私に尋ねる。伝書鳩は便利だが、高額なのだ。

「これでお願いします!」

私はカルク様から配達代にと貰ってきた宝石を、店長に渡した。

「最速で届けてください!!」

「あ、ああ」


  ◇◇◇


それから私は印刷屋さんに向かった。この印刷屋さんも高額なのだが、このためにカルク様の宝石を残しておいたのだ。

「あの、これを5000枚印刷してください!!」

帽子を被った印刷屋のおじさんは、目を大きく見開いた。

「ご、五千枚?!」

私は大きく頷いた。

(五千枚でも足りないくらいだ。)

「お願いします!お金ならあるのです!」

印刷をお願いしたのは一枚の手紙。

(本当はこんなことしちゃいけないんだと思うんだけども。)

その手紙の送り主はカルクで宛先はレオ。

カルクからレオに当てた謝罪と愛情を示した手紙。

部屋を出る直前に、カルク様が渡してくれたものだった。

(これを読んだら、皆きっと信じてくれるはずよ、、、!)

大量の紙を荷車に載せてもらい、私は街を見渡した。

(問題はこれを、どうやって配るかってことなんだけど。)

あまり遅くなっては、レオに私がいないことを気づかれてしまう。

(とにかく、配るしかない!)

そう、覚悟を決めたとき。

「オリビア?」

振り返るとそこにはいたのは、

「皆!!」

大陸移動医療団の仲間。私の家族だった。

「オリビアーー!!!」

「また会えるなんて、、!オリビア!!」

皆は、元気な私の姿を見て泣いて喜んでくれた。

(そっか。私は死んだことになっていたんだものね。)

「皆、聞いて。」

再会を喜びたいところだけど、私にそんな時間はない。

「どうしても手伝ってほしいことがあるの!!」

私は医療団のメンバーを見渡した。

「なんだい?」

医療団のリーダーは優しく尋ねた。

「この手紙を街の人に届けたいの!!」

手紙を読んだリーダーは少し顔を歪めた。

「オリビア、これは、あまりにも危険な内容だよ。」

リーダーの顔は、手紙の内容を疑っているのだ。私が皇太子レオに騙されているのではないかと、心配になっている。

(私だって、レオ様に会う前は彼を恐ろしい人だって思ってた。だけど、、一回でも話をすればそんな人じゃないって分かるのに。)

「この手紙の内容は、本当よ!ねぇ、お願い。このままだと、レオ様はフローレンスに殺されちゃう!」

(しかもレオは、フローレンスから逃げる気がないんだもの。)

きっとあの頑固な男は戦いを望まず、逃げることもしない。

「レオ様をどうしても助けたいの!!」

私はリーダーに必死で訴えた。リーダーが了承しなければ、きっと皆に手伝って貰えない。

リーダーが腕を組んで、難しい顔をしたとき。

「オリビアの話は本当だぜ。リーダー。」

現れたのは、ルイスだった。

「皇太子レオは、噂に聞く残酷な男じゃない。あいつはさ、、、不器用で優しすぎる男だよ。」

「ルイス、、、!」

ルイスはリーダーを真っ直ぐ見て言った。

「俺も、あの皇太子を助けたい。」

リーダーは私とルイスを交互に見て、それからにっこり笑った。

「二人に頼まれちゃあ、できんとは言えないなぁ。さあ、皆。手紙を配ろう。

そして、レオ皇太子の無実を訴えるんだ。」



   ◇◇◇


    
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

白い結婚で結構ですわ。殿下より、私の自由のほうが大事ですので

鍛高譚
恋愛
「第二王子との婚約? でも殿下には平民の恋人がいるらしいんですけど? ――なら、私たち“白い結婚”で結構ですわ。お好きになさってくださいな、殿下」 自由気ままに読書とお茶を楽しむのがモットーの侯爵令嬢・ルージュ。 ある日、突然“第二王子リオネルとの政略結婚”を押しつけられてしまう。 ところが当の殿下は平民の恋人に夢中で、 「形式上の夫婦だから干渉しないでほしい」などと言い出す始末。 むしろ好都合とばかりに、ルージュは優雅な“独身気分”を満喫するはずが…… いつしか、リナという愛人と妙に仲良くなり、 彼女を巡る宮廷スキャンダルに巻き込まれ、 しまいには婚約が白紙になってしまって――!? けれどこれは、ルージュが本当の幸せを掴む始まりにすぎなかった。 自分を心から大切にしてくれる“新しい旦那様”候補が現れて、 さあ、思い切り自由に愛されましょう! ……そして、かの王子様の結末は“ざまぁ”なのか“自業自得”なのか? 自由気ままな侯爵令嬢が切り開く、 “白い結婚破談”からの痛快ざまぁ&本当の恋愛譚、はじまります。

お前を愛することはないと言われたので、愛人を作りましょうか

碧井 汐桜香
恋愛
結婚初夜に“お前を愛することはない”と言われたシャーリー。 いや、おたくの子爵家の負債事業を買い取る契約に基づく結婚なのですが、と言うこともなく、結婚生活についての契約条項を詰めていく。 どんな契約よりも強いという誓約魔法を使って、全てを取り決めた5年後……。

お前は要らない、ですか。そうですか、分かりました。では私は去りますね。あ、私、こう見えても人気があるので、次の相手もすぐに見つかりますよ。

四季
恋愛
お前は要らない、ですか。 そうですか、分かりました。 では私は去りますね。

私を捨てた婚約者へ――あなたのおかげで幸せです

有賀冬馬
恋愛
「役立たずは消えろ」 理不尽な理由で婚約を破棄された伯爵令嬢アンナ。 涙の底で彼女を救ったのは、かつて密かに想いを寄せてくれた完璧すぎる男性―― 名門貴族、セシル・グラスフィット。 美しさ、強さ、優しさ、すべてを兼ね備えた彼に愛され、 アンナはようやく本当の幸せを手に入れる。 そんな中、落ちぶれた元婚約者が復縁を迫ってくるけれど―― 心優しき令嬢が報われ、誰よりも愛される、ざまぁ&スカッと恋愛ファンタジー

貴方が望むなら死んであげる。でも、後に何があっても、後悔しないで。

四季
恋愛
私は人の本心を読むことができる。 だから婚約者が私に「死んでほしい」と思っていることも知っている。

愛人を選んだ夫を捨てたら、元婚約者の公爵に捕まりました

由香
恋愛
伯爵夫人リュシエンヌは、夫が公然と愛人を囲う結婚生活を送っていた。 尽くしても感謝されず、妻としての役割だけを求められる日々。 けれど彼女は、泣きわめくことも縋ることもなく、静かに離婚を選ぶ。 そうして“捨てられた妻”になったはずの彼女の前に現れたのは、かつて婚約していた元婚約者――冷静沈着で有能な公爵セドリックだった。 再会とともに始まるのは、彼女の価値を正しく理解し、決して手放さない男による溺愛の日々。 一方、彼女を失った元夫は、妻が担っていたすべてを失い、社会的にも転落していく。 “尽くすだけの妻”から、“選ばれ、守られる女性”へ。 静かに離婚しただけなのに、 なぜか元婚約者の公爵に捕まりました。

そんなに優しいメイドが恋しいなら、どうぞ彼女の元に行ってください。私は、弟達と幸せに暮らしますので。

木山楽斗
恋愛
アルムナ・メルスードは、レバデイン王国に暮らす公爵令嬢である。 彼女は、王国の第三王子であるスルーガと婚約していた。しかし、彼は自身に仕えているメイドに思いを寄せていた。 スルーガは、ことあるごとにメイドと比較して、アルムナを罵倒してくる。そんな日々に耐えられなくなったアルムナは、彼と婚約破棄することにした。 婚約破棄したアルムナは、義弟達の誰かと婚約することになった。新しい婚約者が見つからなかったため、身内と結ばれることになったのである。 父親の計らいで、選択権はアルムナに与えられた。こうして、アルムナは弟の内誰と婚約するか、悩むことになるのだった。 ※下記の関連作品を読むと、より楽しめると思います。

他の人を好きになったあなたを、私は愛することができません

天宮有
恋愛
 公爵令嬢の私シーラの婚約者レヴォク第二王子が、伯爵令嬢ソフィーを好きになった。    第三王子ゼロアから聞いていたけど、私はレヴォクを信じてしまった。  その結果レヴォクに協力した国王に冤罪をかけられて、私は婚約破棄と国外追放を言い渡されてしまう。  追放された私は他国に行き、数日後ゼロアと再会する。  ゼロアは私を追放した国王を嫌い、国を捨てたようだ。  私はゼロアと新しい生活を送って――元婚約者レヴォクは、後悔することとなる。

処理中です...