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27. 好きと伝える前に
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ミラント軍が迫ってきていることに気づいたルカは、馬車の運転手に向かって叫ぶ。
「馬車を止めろ!!このままだと追い付かれる…!逃げるぞ!!」
ガタン!!!
馬車が急に停止し、体が大きく揺れた。
「っぅう。」
その衝撃で、気を失っていたココは目を覚ます。
ーーー私、なぜ?ルカの境遇を聞いていたら、突然衝撃が走って……。ルカに殴られたんだわ。
「くっそ。このタイミングで…!」
ルカはココを乱暴に持ち上げて、馬車を飛びだす。
「何をするの!!おろして!!」
「…うるさい!」
ずっと気を失っていたココ。お腹が空いて力がでない。ルカがひどく焦った顔をしているのが見える。
ーーーステフの言うことを聞いていれば、こんなことにはならなかったのに……。
ドッドッドッドッドッド
―――馬の足音?
「---コ!!」
どこからか、ステフの声が聞こえた。
ーーー嘘……
「ステフ―――――!!」
ココは力の限り、最愛の人の名前を叫んだ。
ーーーねえ、ステフ。もう会えないのかと思ったわ
「黙れ!」
ルカはココを担ぎ上げ、森の中を走って逃げている。彼から逃れようと必死で暴れるも、ルカはびくともしない。
「ココ―――!!」
今度ははっきりと、ステフの声が聞こえた。
―――死ぬかもしれないって思ったら、どうしても貴方に会いたかった
後方にステフの姿が見える。
「待てー!!ルカ・ザイラス!!ココを離せ!!!」
ルカは大勢の兵士と共に、こちらに向かってくる。
「くそっ!」
森を利用して隠れようとしたルカだが、ついに追い込まれてしまった。
ピュウウウ
強い風が吹きつけて、ルカの体が一瞬よろめく。
一方後ろは崖。ルカが足を踏み外せば、ココもろとも真っ逆さまに落ちてしまう。
「近づくな!もし、動けば……この女の命はない!」
ルカは無表情で、兵士達に叫ぶ。
ーーールカねえ、貴方は私と似てる。なんで気づいてあげられなかったのかしら
「ココ……!」
ステフが青白い顔で、ココを見つめている。
「ステフーー!」
ーーーステフ、貴方にに好きと言わずに側を去ろうとするなんて、私は馬鹿だったわ
「馬車を止めろ!!このままだと追い付かれる…!逃げるぞ!!」
ガタン!!!
馬車が急に停止し、体が大きく揺れた。
「っぅう。」
その衝撃で、気を失っていたココは目を覚ます。
ーーー私、なぜ?ルカの境遇を聞いていたら、突然衝撃が走って……。ルカに殴られたんだわ。
「くっそ。このタイミングで…!」
ルカはココを乱暴に持ち上げて、馬車を飛びだす。
「何をするの!!おろして!!」
「…うるさい!」
ずっと気を失っていたココ。お腹が空いて力がでない。ルカがひどく焦った顔をしているのが見える。
ーーーステフの言うことを聞いていれば、こんなことにはならなかったのに……。
ドッドッドッドッドッド
―――馬の足音?
「---コ!!」
どこからか、ステフの声が聞こえた。
ーーー嘘……
「ステフ―――――!!」
ココは力の限り、最愛の人の名前を叫んだ。
ーーーねえ、ステフ。もう会えないのかと思ったわ
「黙れ!」
ルカはココを担ぎ上げ、森の中を走って逃げている。彼から逃れようと必死で暴れるも、ルカはびくともしない。
「ココ―――!!」
今度ははっきりと、ステフの声が聞こえた。
―――死ぬかもしれないって思ったら、どうしても貴方に会いたかった
後方にステフの姿が見える。
「待てー!!ルカ・ザイラス!!ココを離せ!!!」
ルカは大勢の兵士と共に、こちらに向かってくる。
「くそっ!」
森を利用して隠れようとしたルカだが、ついに追い込まれてしまった。
ピュウウウ
強い風が吹きつけて、ルカの体が一瞬よろめく。
一方後ろは崖。ルカが足を踏み外せば、ココもろとも真っ逆さまに落ちてしまう。
「近づくな!もし、動けば……この女の命はない!」
ルカは無表情で、兵士達に叫ぶ。
ーーールカねえ、貴方は私と似てる。なんで気づいてあげられなかったのかしら
「ココ……!」
ステフが青白い顔で、ココを見つめている。
「ステフーー!」
ーーーステフ、貴方にに好きと言わずに側を去ろうとするなんて、私は馬鹿だったわ
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