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5 結婚式は中止とする
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(アトラスは一体何を言っているの?!)
「何をいうの?!私は一度も裏切ったことなどないわ!」
私をずっと裏切っていたのはアトラスだ。史上最悪のクソ野郎王子。
「では、昨日の夜、どこに行っていたのだ?男と手を繋いでいたところを、見たものがいるのだぞ?」
「それは、、、!」
手を繋いでいたわけじゃない。心配したレブロムが私を引き止めてくれただけだ。事情を説明しようとあたりを見渡すも、レブロムの姿は見当たらなかった。
「手を繋いでいたわけじゃないわ!」
誰に見られていたんだろう。
「ふん。だとしても俺と婚約する前に他の男と逢引していたわけか?」
「違うわ!外の空気を空きたくて、部屋の外に出ただけよ!」
私の手を引いた相手がレブロムと言うことはアトラスに気づかれていないようだ。
(どうする?相手がレブロムだということを正直に話すべきなの?でもそうしたら、レブロムに迷惑がかかってしまうかもしれない、、、。)
「怪しいな。見ろ!皆のもの!いつもなんでも率直であるサクラか口籠っている!これこそ不貞の証拠だ!」
アトラスが、広場の人間によびかけた。
「違うわ!貴方こそ、、、!昨日の夜、部屋にその女を連れ込んで浮気していたじゃない!!」
ついに我慢しきれなくなった私は、大声で叫んだ。私が浮気したように仕立て上げるなんて、信じられない。あれだけ浮気し続けてよく平然と嘘がつけるものだ。
「ふん。昨日ヒィナには、傷の治療をしてもらっただけ。だが、サクラ。お前の言葉を誰が信じると言うのだ。お前は不貞を働いたのだ。」
「ふふふふ。」
アトラスの隣に立つヒィナは、口元を押さえて笑った。広場の人々が私を見る表情は同情から疑惑に変わっていた。その様子を満足げに眺めたアトラスは広場を見渡して宣言した。
「俺とサクラの結婚式は中止とする。サクラとの婚約破棄も、そう遠くないうちに発表されるだろう。」
「そんな!!!」
目の前がぐらりと揺れて、私はその場に倒れ込んだ。
「父はヒィナの力によって、救われるだろう。お前たちがヒィナが聖女なのか疑うのは勝手だが、その事実はすぐに明らかになるさ。」
薄れゆく意識の中で、アトラスの声が聞こえた。
「サクラを捕えろ!その女がこれ以上不貞を重ねないよう、監禁しておくのだ!」
◇◇◇
「何をいうの?!私は一度も裏切ったことなどないわ!」
私をずっと裏切っていたのはアトラスだ。史上最悪のクソ野郎王子。
「では、昨日の夜、どこに行っていたのだ?男と手を繋いでいたところを、見たものがいるのだぞ?」
「それは、、、!」
手を繋いでいたわけじゃない。心配したレブロムが私を引き止めてくれただけだ。事情を説明しようとあたりを見渡すも、レブロムの姿は見当たらなかった。
「手を繋いでいたわけじゃないわ!」
誰に見られていたんだろう。
「ふん。だとしても俺と婚約する前に他の男と逢引していたわけか?」
「違うわ!外の空気を空きたくて、部屋の外に出ただけよ!」
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(どうする?相手がレブロムだということを正直に話すべきなの?でもそうしたら、レブロムに迷惑がかかってしまうかもしれない、、、。)
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アトラスが、広場の人間によびかけた。
「違うわ!貴方こそ、、、!昨日の夜、部屋にその女を連れ込んで浮気していたじゃない!!」
ついに我慢しきれなくなった私は、大声で叫んだ。私が浮気したように仕立て上げるなんて、信じられない。あれだけ浮気し続けてよく平然と嘘がつけるものだ。
「ふん。昨日ヒィナには、傷の治療をしてもらっただけ。だが、サクラ。お前の言葉を誰が信じると言うのだ。お前は不貞を働いたのだ。」
「ふふふふ。」
アトラスの隣に立つヒィナは、口元を押さえて笑った。広場の人々が私を見る表情は同情から疑惑に変わっていた。その様子を満足げに眺めたアトラスは広場を見渡して宣言した。
「俺とサクラの結婚式は中止とする。サクラとの婚約破棄も、そう遠くないうちに発表されるだろう。」
「そんな!!!」
目の前がぐらりと揺れて、私はその場に倒れ込んだ。
「父はヒィナの力によって、救われるだろう。お前たちがヒィナが聖女なのか疑うのは勝手だが、その事実はすぐに明らかになるさ。」
薄れゆく意識の中で、アトラスの声が聞こえた。
「サクラを捕えろ!その女がこれ以上不貞を重ねないよう、監禁しておくのだ!」
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