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13 最後の言い訳を聞こう
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「そこまでだ!アトラス!ヒィナ!」
そこに現れたのは、レブロムに肩を支えられたドノバル様だった。
「父上!体調はよろしいのですか、、、?」
「本来ならば少しづつ弱って死んでいくはずの父がこうして立っているのがそんなに驚きか?」
ドノバル様はアトラスを睨みつけて言った。
「いえ、まさか、、そんなことはありません!」
アトラスはヒィナを振り返った。毒入りの食事をきちんと入れていたのか、尋ねたかったのだろう。
「儂には分かっておるのだ。ヒィナが祈祷と偽って、儂の食事に少しずつ体が弱る毒を混ぜていたことをな!」
「そんな!!誰にそんな嘘を吹き込まれたのですか?!第一父上は、ヒィナの祈祷のお陰でこうして元気になったではありませんか?」
アトラスは必死で訴えたが、その顔色は驚くほど悪い。
「残念だが儂は、ヒィナから受け取った食事を口にしておらん。儂はアトラス、お前の食事とこっそり交換しておったのだ。気づいていなかったか?」
「そん、、な!!」
アトラスは膝から崩れ落ち、大きく咳き込んだ。ヒィナがドノバル様に仕込むはずだった毒は、確かにアトラスを蝕んでいたのだ。
「アトラス様!!」
駆け寄ったヒィナの手をアトラスは弾いた。
「お前のせいで!!」
ドノバル王は悲しい目でアトラスを見下ろした。
「最後に聞こう。アトラス。お前は本当に、ヒィナの企みを知らなかったのか?」
「私は!!何も知りませんでした。父上!!全てヒィナの責任です。」
「そうか。」
ドノバル王はゆっくりとアトラスに背を向け、兵に命じた。
「アトラスを地下牢に連れて行け。」
ドノバル王が待っていたのは、アトラスの謝罪だけであった。最後までドノバル王は自分を殺そうとした息子を信じたかったが、アトラスはそれを裏切ったのである。
◇◇◇
その後、ドノバル王はアトラスを地下牢に閉じ込めた。
「本当のことを話すならば、解毒剤を処方する。」
数日間、アトラスは何も言わなかったが、徐々に蝕まれる体に恐れを成したのだろう。王の食事に毒をいれ殺そうとしたことを白状した。もちろん、それは全てヒィナのしわざであるとアトラスは主張していた。だが、後日毒の入手にアトラスが関与する証拠が見つかり、アトラスがドノバル王を殺そうとしたことは動かぬ事実となった。
「わたくしは何もしていません!!」
王の殺人を企んだとして処罰されることを恐れたヒィナは、こっそり城から逃げ出そうとしたが、王の騎士によって捕まった。これから彼女は長い裁判にかけられる。少なくとも一生牢屋化出ることは無いだろう。
「廃太子だなんて、、、!父上!!全てはヒィナ一人の企みです!」
アトラスは罪を全てヒィナに被せることで、なんとか罰から逃れようとしたが、ドノバル王は息子に重い罪をくだした。
ドノバル王はアトラスを廃太子とした上で罪人としてヒィナと同じ終身刑を命じたのだ。
そして、新しい皇太子にはレブロムがなった。誰に対しても優しく優秀なレブロムが皇太子になったニュースは、城のみんなを喜ばせたという。
◇◇◇
そこに現れたのは、レブロムに肩を支えられたドノバル様だった。
「父上!体調はよろしいのですか、、、?」
「本来ならば少しづつ弱って死んでいくはずの父がこうして立っているのがそんなに驚きか?」
ドノバル様はアトラスを睨みつけて言った。
「いえ、まさか、、そんなことはありません!」
アトラスはヒィナを振り返った。毒入りの食事をきちんと入れていたのか、尋ねたかったのだろう。
「儂には分かっておるのだ。ヒィナが祈祷と偽って、儂の食事に少しずつ体が弱る毒を混ぜていたことをな!」
「そんな!!誰にそんな嘘を吹き込まれたのですか?!第一父上は、ヒィナの祈祷のお陰でこうして元気になったではありませんか?」
アトラスは必死で訴えたが、その顔色は驚くほど悪い。
「残念だが儂は、ヒィナから受け取った食事を口にしておらん。儂はアトラス、お前の食事とこっそり交換しておったのだ。気づいていなかったか?」
「そん、、な!!」
アトラスは膝から崩れ落ち、大きく咳き込んだ。ヒィナがドノバル様に仕込むはずだった毒は、確かにアトラスを蝕んでいたのだ。
「アトラス様!!」
駆け寄ったヒィナの手をアトラスは弾いた。
「お前のせいで!!」
ドノバル王は悲しい目でアトラスを見下ろした。
「最後に聞こう。アトラス。お前は本当に、ヒィナの企みを知らなかったのか?」
「私は!!何も知りませんでした。父上!!全てヒィナの責任です。」
「そうか。」
ドノバル王はゆっくりとアトラスに背を向け、兵に命じた。
「アトラスを地下牢に連れて行け。」
ドノバル王が待っていたのは、アトラスの謝罪だけであった。最後までドノバル王は自分を殺そうとした息子を信じたかったが、アトラスはそれを裏切ったのである。
◇◇◇
その後、ドノバル王はアトラスを地下牢に閉じ込めた。
「本当のことを話すならば、解毒剤を処方する。」
数日間、アトラスは何も言わなかったが、徐々に蝕まれる体に恐れを成したのだろう。王の食事に毒をいれ殺そうとしたことを白状した。もちろん、それは全てヒィナのしわざであるとアトラスは主張していた。だが、後日毒の入手にアトラスが関与する証拠が見つかり、アトラスがドノバル王を殺そうとしたことは動かぬ事実となった。
「わたくしは何もしていません!!」
王の殺人を企んだとして処罰されることを恐れたヒィナは、こっそり城から逃げ出そうとしたが、王の騎士によって捕まった。これから彼女は長い裁判にかけられる。少なくとも一生牢屋化出ることは無いだろう。
「廃太子だなんて、、、!父上!!全てはヒィナ一人の企みです!」
アトラスは罪を全てヒィナに被せることで、なんとか罰から逃れようとしたが、ドノバル王は息子に重い罪をくだした。
ドノバル王はアトラスを廃太子とした上で罪人としてヒィナと同じ終身刑を命じたのだ。
そして、新しい皇太子にはレブロムがなった。誰に対しても優しく優秀なレブロムが皇太子になったニュースは、城のみんなを喜ばせたという。
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