12 / 14
12 見つかっちゃった、、、
しおりを挟む
ドノバル様とアトラスの食事を交換し始めてから7日が過ぎた。
「よいしょっと。」
いつも通りドノバル様の枕元から、お汁物を回収し、アトラスのお汁物を乗せる。これを急いでアトラスの食事係に渡すのだ。お汁物だけだとお腹がすくだろうから、他の食べ物もドノバル様に渡している。
「体調はどうですか?ドノバル様?」
「すこぶる良い。もう起き上がれそうだ。」
ここ数日、ドノバル様の調子はどんどん回復していた。ヒィナが祈祷したとかいう食事を食べなくなると、ドノバル王の症状の悪化は見事に止まった。
また私がお医者さんに頼み解毒剤を処方してもらったのだ。やはり、ヒィナは祈祷と偽ってお汁物に毒を混ぜていた。
「もう少しだけ、ヒィナの前で苦しいふりをしてくださいね。」
私がドノバル様に頼んだことは、体調が回復してきたとしても、暫く元気がないふりをしていてもらうこと、である。
きっとこのお汁物に含まれている毒は、少しづつ体を蝕むものだろう。だとしたら、アトラスに効いてくるのに時間がかかるかもしれない。
「ああ。」
ドノバル様が元気になってきて、本当に良かった。私はその嬉しさのあまり、油断していたのだ。
「サクラ!!お前はそこで何をしているのだ?!」
見つかった、、、。私に向かって叫んだのはアトラスだった。
「あの女を捕らえろ!!!」
私が何をしていたか、バレてしまっては全ての計画はおじゃんだ。私はお汁物を机の下に隠し逃げ出した。
だが、もちろん逃げ切れるはずもなく私は呆気なく捕まった。
◇◇◇
「父の側で何をしていたのだ?!」
アトラスは私に剣を突きつけて叫んだ。脅したって無駄よ。私は何も言わないわ。それより随分顔色が悪いじゃない?
「なにもしていないわ!ドノバル様が心配でお見舞いをしていただけよ!!」
「いいや、お前は何か企んでいる、、、。そもそも父の部屋になぜお前が入り込めたのだ?!」
隠し通路の存在をアトラスに教えるわけにはいかない。
「正面からよ!兵に頼んで入れてもらったの!」
「いいや、、それはありえない。なぜならばこの部屋の前を、俺がずっと見張っていたからだ!」
「貴方の目が、節穴なんでしょ?! 」
なんとか、この場を凌ぐ手段は無いの、、、?騒ぎを聞きつけて、ヒィナがアトラスの側に寄ってきた。
「正直に言え!!そうでなければ、今からでもお前を極刑に処す!!」
そんな、、、。
私がその場に座り込んだ時。
「そこまでだ!!」
◇◇◇
「よいしょっと。」
いつも通りドノバル様の枕元から、お汁物を回収し、アトラスのお汁物を乗せる。これを急いでアトラスの食事係に渡すのだ。お汁物だけだとお腹がすくだろうから、他の食べ物もドノバル様に渡している。
「体調はどうですか?ドノバル様?」
「すこぶる良い。もう起き上がれそうだ。」
ここ数日、ドノバル様の調子はどんどん回復していた。ヒィナが祈祷したとかいう食事を食べなくなると、ドノバル王の症状の悪化は見事に止まった。
また私がお医者さんに頼み解毒剤を処方してもらったのだ。やはり、ヒィナは祈祷と偽ってお汁物に毒を混ぜていた。
「もう少しだけ、ヒィナの前で苦しいふりをしてくださいね。」
私がドノバル様に頼んだことは、体調が回復してきたとしても、暫く元気がないふりをしていてもらうこと、である。
きっとこのお汁物に含まれている毒は、少しづつ体を蝕むものだろう。だとしたら、アトラスに効いてくるのに時間がかかるかもしれない。
「ああ。」
ドノバル様が元気になってきて、本当に良かった。私はその嬉しさのあまり、油断していたのだ。
「サクラ!!お前はそこで何をしているのだ?!」
見つかった、、、。私に向かって叫んだのはアトラスだった。
「あの女を捕らえろ!!!」
私が何をしていたか、バレてしまっては全ての計画はおじゃんだ。私はお汁物を机の下に隠し逃げ出した。
だが、もちろん逃げ切れるはずもなく私は呆気なく捕まった。
◇◇◇
「父の側で何をしていたのだ?!」
アトラスは私に剣を突きつけて叫んだ。脅したって無駄よ。私は何も言わないわ。それより随分顔色が悪いじゃない?
「なにもしていないわ!ドノバル様が心配でお見舞いをしていただけよ!!」
「いいや、お前は何か企んでいる、、、。そもそも父の部屋になぜお前が入り込めたのだ?!」
隠し通路の存在をアトラスに教えるわけにはいかない。
「正面からよ!兵に頼んで入れてもらったの!」
「いいや、、それはありえない。なぜならばこの部屋の前を、俺がずっと見張っていたからだ!」
「貴方の目が、節穴なんでしょ?! 」
なんとか、この場を凌ぐ手段は無いの、、、?騒ぎを聞きつけて、ヒィナがアトラスの側に寄ってきた。
「正直に言え!!そうでなければ、今からでもお前を極刑に処す!!」
そんな、、、。
私がその場に座り込んだ時。
「そこまでだ!!」
◇◇◇
48
あなたにおすすめの小説
だから聖女はいなくなった
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
「聖女ラティアーナよ。君との婚約を破棄することをここに宣言する」
レオンクル王国の王太子であるキンバリーが婚約破棄を告げた相手は聖女ラティアーナである。
彼女はその婚約破棄を黙って受け入れた。さらに彼女は、新たにキンバリーと婚約したアイニスに聖女の証である首飾りを手渡すと姿を消した。
だが、ラティアーナがいなくなってから彼女のありがたみに気づいたキンバリーだが、すでにその姿はどこにもない。
キンバリーの弟であるサディアスが、兄のためにもラティアーナを探し始める。だが、彼女を探していくうちに、なぜ彼女がキンバリーとの婚約破棄を受け入れ、聖女という地位を退いたのかの理由を知る――。
※7万字程度の中編です。
婚約者が妹と結婚したいと言ってきたので、私は身を引こうと決めました
日下奈緒
恋愛
アーリンは皇太子・クリフと婚約をし幸せな生活をしていた。
だがある日、クリフが妹のセシリーと結婚したいと言ってきた。
もしかして、婚約破棄⁉
私は王子の婚約者にはなりたくありません。
黒蜜きな粉
恋愛
公爵令嬢との婚約を破棄し、異世界からやってきた聖女と結ばれた王子。
愛を誓い合い仲睦まじく過ごす二人。しかし、そのままハッピーエンドとはならなかった。
いつからか二人はすれ違い、愛はすっかり冷めてしまった。
そんな中、主人公のメリッサは留学先の学校の長期休暇で帰国。
父と共に招かれた夜会に顔を出すと、そこでなぜか王子に見染められてしまった。
しかも、公衆の面前で王子にキスをされ逃げられない状況になってしまう。
なんとしてもメリッサを新たな婚約者にしたい王子。
さっさと留学先に戻りたいメリッサ。
そこへ聖女があらわれて――
婚約破棄のその後に起きる物語
【完結】真の聖女だった私は死にました。あなたたちのせいですよ?
時
恋愛
聖女として国のために尽くしてきたフローラ。
しかしその力を妬むカリアによって聖女の座を奪われ、顔に傷をつけられたあげく、さらには聖女を騙った罪で追放、彼女を称えていたはずの王太子からは婚約破棄を突きつけられてしまう。
追放が正式に決まった日、絶望した彼女はふたりの目の前で死ぬことを選んだ。
フローラの亡骸は水葬されるが、奇跡的に一命を取り留めていた彼女は船に乗っていた他国の騎士団長に拾われる。
ラピスと名乗った青年はフローラを気に入って自分の屋敷に居候させる。
記憶喪失と顔の傷を抱えながらも前向きに生きるフローラを周りは愛し、やがてその愛情に応えるように彼女のほんとうの力が目覚めて……。
一方、真の聖女がいなくなった国は滅びへと向かっていた──
※小説家になろうにも投稿しています
いいねやエール嬉しいです!ありがとうございます!
殿下、私の身体だけが目当てなんですね!
石河 翠
恋愛
「片付け」の加護を持つ聖女アンネマリーは、出来損ないの聖女として蔑まれつつ、毎日楽しく過ごしている。「治癒」「結界」「武運」など、利益の大きい加護持ちの聖女たちに辛く当たられたところで、一切気にしていない。
それどころか彼女は毎日嬉々として、王太子にファンサを求める始末。王太子にポンコツ扱いされても、王太子と会話を交わせるだけでアンネマリーは満足なのだ。そんなある日、お城でアンネマリー以外の聖女たちが決闘騒ぎを引き起こして……。
ちゃらんぽらんで何も考えていないように見えて、実は意外と真面目なヒロインと、おバカな言動と行動に頭を痛めているはずなのに、どうしてもヒロインから目を離すことができないヒーローの恋物語。
ハッピーエンドです。
この作品は他サイトにも投稿しております。
表紙絵は写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID29505542)をお借りしております。
偽りの呪いで追放された聖女です。辺境で薬屋を開いたら、国一番の不運な王子様に拾われ「幸運の女神」と溺愛されています
黒崎隼人
ファンタジー
「君に触れると、不幸が起きるんだ」――偽りの呪いをかけられ、聖女の座を追われた少女、ルナ。
彼女は正体を隠し、辺境のミモザ村で薬師として静かな暮らしを始める。
ようやく手に入れた穏やかな日々。
しかし、そんな彼女の前に現れたのは、「王国一の不運王子」リオネスだった。
彼が歩けば嵐が起き、彼が触れば物が壊れる。
そんな王子が、なぜか彼女の薬草店の前で派手に転倒し、大怪我を負ってしまう。
「私の呪いのせいです!」と青ざめるルナに、王子は笑った。
「いつものことだから、君のせいじゃないよ」
これは、自分を不幸だと思い込む元聖女と、天性の不運をものともしない王子の、勘違いから始まる癒やしと幸運の物語。
二人が出会う時、本当の奇跡が目を覚ます。
心温まるスローライフ・ラブファンタジー、ここに開幕。
出来損ないと言われて、国を追い出されました。魔物避けの効果も失われるので、魔物が押し寄せてきますが、頑張って倒してくださいね
猿喰 森繁
恋愛
「婚約破棄だ!」
広間に高らかに響く声。
私の婚約者であり、この国の王子である。
「そうですか」
「貴様は、魔法の一つもろくに使えないと聞く。そんな出来損ないは、俺にふさわしくない」
「… … …」
「よって、婚約は破棄だ!」
私は、周りを見渡す。
私を見下し、気持ち悪そうに見ているもの、冷ややかな笑いを浮かべているもの、私を守ってくれそうな人は、いないようだ。
「王様も同じ意見ということで、よろしいでしょうか?」
私のその言葉に王は言葉を返すでもなく、ただ一つ頷いた。それを確認して、私はため息をついた。たしかに私は魔法を使えない。魔力というものを持っていないからだ。
なにやら勘違いしているようだが、聖女は魔法なんて使えませんよ。
婚約破棄された聖女は、愛する恋人との思い出を消すことにした。
石河 翠
恋愛
婚約者である王太子に興味がないと評判の聖女ダナは、冷たい女との結婚は無理だと婚約破棄されてしまう。国外追放となった彼女を助けたのは、美貌の魔術師サリバンだった。
やがて恋人同士になった二人。ある夜、改まったサリバンに呼び出され求婚かと期待したが、彼はダナに自分の願いを叶えてほしいと言ってきた。彼は、ダナが大事な思い出と引き換えに願いを叶えることができる聖女だと知っていたのだ。
失望したダナは思い出を捨てるためにサリバンの願いを叶えることにする。ところがサリバンの願いの内容を知った彼女は彼を幸せにするため賭けに出る。
愛するひとの幸せを願ったヒロインと、世界の平和を願ったヒーローの恋物語。
ハッピーエンドです。
この作品は、他サイトにも投稿しております。
表紙絵は写真ACより、チョコラテさまの作品(写真のID:4463267)をお借りしています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる