婚約者に騙されて婚約破棄することになりました。

五月ふう

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婚約破棄までが仕事なので。

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「婚約破棄までが、


 仕事なので。」


私の婚約者であるロンは

そう呟いた。




「王女様には、


 申し訳ないことをしたと



 思っています。」   



嘘でしょ、、

私は言葉を失って座り込んだ。



私、アスナは
 
この国の第二王女である。



下級貴族の息子であるロンと

運命的な恋をして、
 
来月、結婚する予定だった。




ロンに会ったのは、

半年前。


その時

私には

ロンではない婚約者がいた。



だがロンを好きになり、

親の反対を押し切って

婚約破棄をした。



そしてようやく、一週間前

ロンと結婚できることになったのだ。




だが、   

今朝

ロンは突然言った。




「アスナ様と、


 婚約破棄します。」




待ってよ!!


私、

貴方と婚約するために

必死だったのよ、、!




「な、なんで?!」



アプローチしてきたのは、

貴方からだったはず、、、。



なんでいきなり?




「アスナ様と、

 元婚約者であるイルファ様を


 婚約破棄させることが、



 私の仕事でした。」


ロンは

淡々と答えた。




仕事、て、、。



「仕事、で


 私に近づいたの?」




「そうです。」




「私のこと、


 愛していなかったの?」



ロンは、

小さく笑った。



「当然ではないですか。」



信じられない。



私はロンの頬を思い切り

ぶった。




「最低!!」 



私がそう言うと、

ロンは私の目を見つめて言った。



かつて、

私を好きだと言った瞳と

同じ瞳で。



「その、通りですよ。



 アスナ様。」



------------------------------------


「婚約破棄までが


 仕事なので。」





僕、ロンは

アスナ様にそう告げた。




アスナ様は

大きな目を見開いて

僕を見つめた。




そう、

なるよな。



僕が頼まれた仕事は、

この国の第二王女であるアスナ様と


婚約者であったイルファ様を

婚約破棄させることだった。





仕事を受けた理由は単純。

金、だった。





まさかこんなに

上手くいくとは、ね。




何が、

良かったのか

自分でもよく分からないが、

アスナ様は

僕を愛してくれた。



「僕に騙された、


 アスナ様のせいですよ。」



なぜ、

僕なんかに


騙されてしまったのですか?




「私のせい?



 貴方の言葉を信じたのは



 私のせいだっていうの?」




貴方が

あまりにも純粋で真っ直ぐだから。





「全部、


 演技だったことに、


 気が付かなかったですか?」



貴方のことなんて、

少しも好きでは無かった。



「私は、


 貴方を愛していたのに!」



僕は、

貴方を見ていると


苦しくて嫌でした。



僕に仕事を頼んだのは、

この国と敵対する隣国の王子。



アスナ様、

貴方はきっとそのうち


彼の妻になるでしょう。



「僕は、

 貴方のことなんて


 どうでも良かったのです。」




最後まで、

貴方を見ていると、

苦しかった。



「許せないわ。


 あなた、


 私の気持ちを弄んだのね!」



そうですよ。

貴方を、弄びました。




「もう、


 会うことも無いでしょう。」


もしも、

次に会うときがあれば、



「もう二度と、

 貴方の顔を見たくないわ!」




僕への恨みを
 
少しでも覚えていてくれると

嬉しいです。




「僕は貴方を


 明日にでも忘れると


 思います。」



一生、

貴方を忘れません。
















    
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