【完結】婚約破棄した元婚約者の愛人に訴えられました。元婚約者には私以外に愛する人がいたようです。

五月ふう

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私は幸せになるのです

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(ざまあみろ、ですね。)

トット国に連行されたミランダは、詐欺の罪で逮捕されました。ミランダは多くの人を騙していたので、それだけ重い刑罰が下るそうです。少なくとも後30年は牢屋から出られないだろうと聞きました。

「レイニャさん。君の両親がトット国に来たいと言っているのですが、どうしたいですか?」

私がトット国に来てから一ヶ月が経った頃、アストロ王子が私に言いました。

アストロ王子によるミランダの逮捕はサルティ国で大変話題になりました。新聞はミランダ逮捕の経緯を事細かく人々に知らせました。その中で私を酷い態度で追い出した父はミランダに並ぶ悪役として都で嫌われているらしいのです。

両親はその状況に耐えかねて、トット国に来て私に養ってもらおうとしています。

「無視してください。私は彼らと共に暮らすつもりはありません。」

どんなに都で大変な思いをしていたとしても、知ったことではありません。だって両親は私のことをずっと無視し続けていたのですから。

私を婚約破棄したロペスも同様に、今では都の嫌われものになったと聞きました。ロペスにも、同情の気持ちは湧いてきません。私がどれほど悲しかったか思い知ってほしいのです。

  ◇◇◇

半年後。私はアストロ様の秘書としてトット国で元気にはたらいていました。

「レイニャ!!ご飯食べに行こ!」

城での仕事を終えたアイリさんが私の仕事場に顔を出しました。アイリさんとはすっかり親友になりました。

「ちょっとまってください。アイリさん!もう少しでこの書類が片付くんです!」

私は急いで書類に目を通しました。私の仕事は主に、アストロ王子に来るサルティ国とチリア国の文書を翻訳することです。海外からお客様が来たときは、通訳としても働いています。

「ちょっとまってください、アイリさん!今日はだめです!」

アストロ王子はアイリさんに言いました。

「なんでよ?」

アイリさんはアストロ王子の言葉に首をかしげました。アイリさんはトット国の女騎士として城で働いています。初めは全くトット語を話せなかったアイリさんも、今ではかなり上達しました。

「今日は、、、僕がレイニャさんをご飯に誘うつもりだったんです。」

アストロ王子は神妙な顔でアイリさんに言いました。確かに最近は、アストロ王子にさそわれて、私とアストロ王子の二人でご飯を食べに行っています。

ですがこのようにアイリさんの約束に割り込むようなことは、これまでしなかったはずですが?

「おお?そうなのか?ならしょうがないな。明日またレイニャを誘いに来るよ。」

アイリさんはにやりと笑い口元を抑えました。がんばれよ、そう言ってアイリさんはポンポンとアストロの肩を叩きました。

「ありがとう。ごめんなさい。レイニャさん。順番がおかしかったですね。今日俺と、ご飯を食べにいってくれませんか?」

アストロ王子はこわばった顔で私に言いました。なぜアストロ王子はそんなに緊張しているのでしょう?いままで私がアストロ王子の誘いを断ったことは一度もありません。

「はい。是非、行きましょう。」


   ◇◇◇


「これは、どういうことでしょう?」

仕事が終わると、私は何故か綺麗にドレスアップされました。正装に着替えたアストロ王子は私の手を取って言いました。

「何も聞かないでください。行きましょう。レイニャさん。」

アストロ王子が私を連れて行ったのは、恐ろしいほど高級なレストランでした。私のような平凡な人間が来ていい場所ではない気がします。

私は緊張してきました。何が起こるのやらさっぱりわかりません。そして何より、アストロ王子が酷く緊張しています。

これから何が起こるのかと何度かアストロ王子に尋ねても、曖昧な返答ばかりで答えてくれません。

(どうしたらいいのでしょう?)

別に何が起こるわけでもなく、美味しい料理を二人で黙々と食べました。私達の口数が少ないのはいつものことですが、今日は特別静かでした。

デザートを食べ終わった後、アストロ王子は私を真っ直ぐに見つめました。

「レイニャさん。」

アストロ王子に名前を呼ばれて、私の胸はときめきました。最近はずっとそうです。彼の存在は私の心を幸せにするのです。

「僕と、結婚してください。」

私はゆっくりと口を押さえました。大きな声を出すのを防ぐためです。全く、予想していませんでした。そんなことありえないと思っていたのです。

「私で、、良いのですか?」

私は確かにアストロ王子に恋をしていましたが、叶わぬ恋だと思っていました。王子である彼が私を好きになるわけがないと思い込んでいました。

「僕は、、レイニャさんが好きなのです。貴女とずっと一緒にいられるのなら、どれほど幸せでしょうか。」

アストロ王子の瞳に私が映っていました。優雅な音楽がレストランに流れています。

「よろこんでお受けいたします。アストロ王子。」

こんな日が来るなんて、思ってもみませんでした。勉強ばかりして、誰にも相手にされなかった私が、王子に求婚されているのですから。

ああ、私は幸せになるのです。
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