私に告白してきた奴はだいたい事故で死ぬけど、こいつだけはなかなか死なない

ゆみのり

文字の大きさ
11 / 24

11 事故死の条件

しおりを挟む
「いやぁ、それにしても本当危なかったね」

 カズ君は嬉しそうに私に話しかける。公園で告白したあと、事故死を回避してからの帰り道での会話だった。

「数ミリズレてたら、大怪我してたかも?いや、死んでたかもしれない」

「うん。ほんと、奇跡だね」

 私は安心した表情を作り、内心めちゃくちゃ焦っていた。こんな事は初めてだ。事故を回避するなんて……

 でも、まてよと思う。もしかしたら、もう一度事故があるかも?そうだ。タイムラグがあるのだろう。きっとそうだ。

「あ、家まで送るよ」

 カズ君はいつもの分かれ道で私にそう言った。私は「じゃあ、お願いしようかな」と、アパートに向かい歩き出す。カズ君は横に付き、ずっと笑顔だった。

「この道、たまに通るよ」と言ったカズ君は、遠くを指さして、「あっちに中学校がある」と教えてくれる。

「モモちゃんは、中学のときは部活は何してたの?」

「え?」

 不意の質問に部活についての記憶が飛び出てくる。

「友達と、サッカー部のマネージャーやってたかな」

「へぇ、そうなんだ」

 カズ君はそう言って、笑顔を向けてくる。しかし、どこかスッキリしない表情をしていた。

「どうしたの?」

「いや……きっと、モモちゃんはモテたんだろうなぁって……当時の生徒達にちょっと嫉妬」

「いや、私……そこまでモテなかったよ」

 それは本当だった。一緒に入った友達のほうがモテてたし、その友達は部員の先輩と付き合っていた。私のことを好きになってくれる男子も何人かはいたが、その子は部活中に野球部の打ったボールが頭に当たって死んだのである。

 それは、私に告白した直後の出来事だった。そして、悲しむ私に言い寄ってきた男子も、事故死したのである。

 どちらも私が近くに居た事から、私といると死んでしまうという噂が流れて、それからの学校生活はずっと1人だった。でも、何となくその時に自分の能力に気付いて、私は人と距離を取るようにしていたのだ。

 嫌な事を思い出してしまったな……と私は暗い顔をする。

「あれ?ごめん。なんか、嫌な事聞いちゃったかな?」

「ううん、大丈夫」

 そうこうしている内に、アパートに到着する。結局、二度目の事故は無かった。仕方ない……とりあえず一晩考えて、どうするか決めよう。

「ありがとう。カズ君、気を付けて帰ってね」

 私がそう言うと、カズ君は「ありがとう」と笑顔を見せる。そして、「モモちゃん、好き。またね!」と自転車に跨がった。

 二度目の告白か?そう思った瞬間、建物の角から猛スピードでトラックが出てきてカズ君に迫る。

 きた!二度目だ!今度こそ本当に……!

 そう思ったが、カズ君はハンドルをきってトラックを避けた。そして、道路横の溝にハマる。また……回避した?どうなってんの?

「危ねーだろ!」

 トラックの運転手は止まり、カズ君に怒鳴りつける。危ない運転してるのはアンタだろ、と思いつつ私はカズ君に駆け寄った。

「か、カズ君、大丈夫?!」

「あはは」とカズ君は笑い、「なんか、今日は変だな」と溝から自転車を引き上げる。

「あ、危なかったね」

 私は心配しながらカズ君の身体に触れて言った。そして、「気を付けてね」と声をかける。

「うん!ありがとう!」

 カズ君は満面の笑みでそう返事をする。そして、再び自転車に跨がり「じゃあ、またね!」と走り去って行った。トラックの運転手もいつの間にか居ない。

 これは、やっぱりこのまま付き合う事になるのか?

 でも、分かった事がある。私に好きと言った瞬間、事故が訪れるようだ。もしかしたら、今までの人は回避能力が無かったから死んだのか?ならば、何度も好きと言わせて、回避を失敗させるしかない。

 カズ君とは、長い付き合いになりそうだ。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

不遇な令嬢は次期組長の秘めたる溺愛に絡め取られる。

翼 うみ
恋愛
父の会社を立て直す交換条件のため、ほぼ家族に身売りされた形で関東最大級の極道・桜花組の次期組長に嫁入りしたジェシカ。しかし母を亡くして以降、義母と義妹に虐げられていたジェシカは実家を出られるなら、と前向きだった。夫となる和仁には「君を愛することはない」と冷たく突き放される。それでもジェシカは傷つくことはなく、自分にできることを探して楽しんでいた。 和仁には辛い過去がありそれ故に誰のことも愛さないと決めていたが、純真で健気なジェシカに段々と惹かれてゆき――。 政略結婚から始まる溺愛シンデレラストーリー。

身体の繋がりしかない関係

詩織
恋愛
会社の飲み会の帰り、たまたま同じ帰りが方向だった3つ年下の後輩。 その後勢いで身体の関係になった。

【完結】妻の日記を読んでしまった結果

たちばな立花
恋愛
政略結婚で美しい妻を貰って一年。二人の距離は縮まらない。 そんなとき、アレクトは妻の日記を読んでしまう。

黒瀬部長は部下を溺愛したい

桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。 人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど! 好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。 部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。 スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。

【完結】離婚を切り出したら私に不干渉だったはずの夫が激甘に豹変しました

雨宮羽那
恋愛
 結婚して5年。リディアは悩んでいた。  夫のレナードが仕事で忙しく、夫婦らしいことが何一つないことに。  ある日「私、離婚しようと思うの」と義妹に相談すると、とある薬を渡される。  どうやらそれは、『ちょーっとだけ本音がでちゃう薬』のよう。  そうしてやってきた離婚の話を告げる場で、リディアはつい好奇心に負けて、夫へ薬を飲ませてしまう。  すると、あら不思議。  いつもは浮ついた言葉なんて口にしない夫が、とんでもなく甘い言葉を口にしはじめたのだ。 「どうか離婚だなんて言わないでください。私のスイートハニーは君だけなんです」 (誰ですかあなた) ◇◇◇◇ ※全3話。 ※コメディ重視のお話です。深く考えちゃダメです!少しでも笑っていただけますと幸いです(*_ _))*゜

処理中です...