17 / 24
17 重くて硬く、そして鋭く尖っている。
しおりを挟む
公園に到着し、ベンチに座りカズ君を待つ。その間も私は刑事の事が気になり辺りをキョロキョロと見る。すると、「どうしたの?キョロキョロして」とカズ君に声をかけられた。
「ひゃあ!」
私はビックリして今まであまり出した事のない声を出す。
「お、お疲れ様、カズ君」
「ありがとう」
カズ君はそう言って、自転車から降りて私の隣に座った。そして、私の顔を見る。
「えっと、それで、どうしたの?」
さて、なんと言ったものか……結局どうするかちゃんと決まっていない。とりあえず、「あのね……」と悩みを抱えているのをアピールする。
「何があったのか、言ってみてよ」
言ったらどうなるだろう?私のことを避けられるのではないか?そのような心配が頭の中をグルグルと回り、あまりにも考え過ぎて私の脳はオーバーヒートした。
ええい!もういいや!と私は勢いに任せる事にする。あとはどうにでもなれだ!
「実は今日、警察が部屋に来たの」
カズ君は目を見開き、「け、警察?」と聞き返してきた。
「何か聞き込みにきたの?周りで事件とかあったのかな……」
決して私自身を疑わない姿勢に、心が痛む。ごめんなさい……ほんと、ごめんなさい……
「ううん。私が疑われてるの」
「な、なんで?何かしたの?」
「私、過去に何人かと付き合う事になってたんだけど……」
と、言ったところでカズ君は複雑な表情をする。あまり過去の男関係は知りたくないのだろう。
「その人達全員が……事故で亡くなってるんだ」
言ってしまった……さて、カズ君はどんな反応をする?
「そうなんだ……」
カズ君は返事に困っているようだった。今まで自分の身に降りかかってきた危険を思い返しているのだろうか?
「それで、警察はね、私が事故で殺してるんじゃないかって疑ってるみたいなの」
カズ君はしばらく考えて口を開く。
「偶然でしょ?」
「もちろん!」
偶然だ。私に告白した人は事故死するという偶然が積み重なっているだけだ。私が事故を作っているわけじゃない。勝手に事故が起きるだけ。それを私は利用して……私は……
私は俯き、酷く自分が惨めな気持ちになってきた。最低な女だ。その能力を利用して金儲けに使って……
なのに、誰かに助けてほしいと願っている。自己中心的で、救われない女だ……
「モモちゃん?」
カズ君は心配そうに私を見る。私は、このままカズ君といるわけにはいかないと思った。もうきっと、依頼も達成することができない気がする。もしもここで事故が起きて死ねば、更に私は疑われるし、事故が起きなかったら、このまま嘘の関係がズルズルと続いてしまう。だったら、もういいじゃん。この依頼から手を引いて、大人しく暮せば……
「カズ君、別れよっか」
私は自然とその言葉を放っていた。ふわりと舞うそのセリフは、重くて硬く、そして鋭く尖っている。それがカズ君の胸に突き刺さったのを実感した。
彼は涙を流し、「やだよ」と言う。私なんかのために泣く必要はない。いや、別れたくないっていう、自分のために泣いているのか?
「モモちゃんと、別れたくない……」
本気で放たれたその言葉を私はどう受け止めればいいのだろうか?
「ひゃあ!」
私はビックリして今まであまり出した事のない声を出す。
「お、お疲れ様、カズ君」
「ありがとう」
カズ君はそう言って、自転車から降りて私の隣に座った。そして、私の顔を見る。
「えっと、それで、どうしたの?」
さて、なんと言ったものか……結局どうするかちゃんと決まっていない。とりあえず、「あのね……」と悩みを抱えているのをアピールする。
「何があったのか、言ってみてよ」
言ったらどうなるだろう?私のことを避けられるのではないか?そのような心配が頭の中をグルグルと回り、あまりにも考え過ぎて私の脳はオーバーヒートした。
ええい!もういいや!と私は勢いに任せる事にする。あとはどうにでもなれだ!
「実は今日、警察が部屋に来たの」
カズ君は目を見開き、「け、警察?」と聞き返してきた。
「何か聞き込みにきたの?周りで事件とかあったのかな……」
決して私自身を疑わない姿勢に、心が痛む。ごめんなさい……ほんと、ごめんなさい……
「ううん。私が疑われてるの」
「な、なんで?何かしたの?」
「私、過去に何人かと付き合う事になってたんだけど……」
と、言ったところでカズ君は複雑な表情をする。あまり過去の男関係は知りたくないのだろう。
「その人達全員が……事故で亡くなってるんだ」
言ってしまった……さて、カズ君はどんな反応をする?
「そうなんだ……」
カズ君は返事に困っているようだった。今まで自分の身に降りかかってきた危険を思い返しているのだろうか?
「それで、警察はね、私が事故で殺してるんじゃないかって疑ってるみたいなの」
カズ君はしばらく考えて口を開く。
「偶然でしょ?」
「もちろん!」
偶然だ。私に告白した人は事故死するという偶然が積み重なっているだけだ。私が事故を作っているわけじゃない。勝手に事故が起きるだけ。それを私は利用して……私は……
私は俯き、酷く自分が惨めな気持ちになってきた。最低な女だ。その能力を利用して金儲けに使って……
なのに、誰かに助けてほしいと願っている。自己中心的で、救われない女だ……
「モモちゃん?」
カズ君は心配そうに私を見る。私は、このままカズ君といるわけにはいかないと思った。もうきっと、依頼も達成することができない気がする。もしもここで事故が起きて死ねば、更に私は疑われるし、事故が起きなかったら、このまま嘘の関係がズルズルと続いてしまう。だったら、もういいじゃん。この依頼から手を引いて、大人しく暮せば……
「カズ君、別れよっか」
私は自然とその言葉を放っていた。ふわりと舞うそのセリフは、重くて硬く、そして鋭く尖っている。それがカズ君の胸に突き刺さったのを実感した。
彼は涙を流し、「やだよ」と言う。私なんかのために泣く必要はない。いや、別れたくないっていう、自分のために泣いているのか?
「モモちゃんと、別れたくない……」
本気で放たれたその言葉を私はどう受け止めればいいのだろうか?
0
あなたにおすすめの小説
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳主婦のカレンはインスタグラムで20歳大学生の晴人と知り合う。親密な関係となった3度目のデートのときに、晴人が実は17歳の高校2年生だと知る。
カレンと晴人はその後、どうなる?
不遇な令嬢は次期組長の秘めたる溺愛に絡め取られる。
翼 うみ
恋愛
父の会社を立て直す交換条件のため、ほぼ家族に身売りされた形で関東最大級の極道・桜花組の次期組長に嫁入りしたジェシカ。しかし母を亡くして以降、義母と義妹に虐げられていたジェシカは実家を出られるなら、と前向きだった。夫となる和仁には「君を愛することはない」と冷たく突き放される。それでもジェシカは傷つくことはなく、自分にできることを探して楽しんでいた。
和仁には辛い過去がありそれ故に誰のことも愛さないと決めていたが、純真で健気なジェシカに段々と惹かれてゆき――。
政略結婚から始まる溺愛シンデレラストーリー。
お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。
下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。
またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。
あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。
ご都合主義の多分ハッピーエンド?
小説家になろう様でも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる