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6 頭の上に?マーク
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「それじゃあ、今のパーティを紹介しよう」
雲野さんは朝の会が始まるまでまだ時間があるので、部員を紹介してくれた。
「まず、俺がこのパーティのリーダーであり勇者、そして三年生の雲野太郎だ。雲を英語にして呼んでくれてもいいぞ」
雲を英語?あぁ、そういうことか。僕は「よろしくお願いします。雲野さん」と普通に返事をする。隆太くんは雲を英語で何ていうのか知らないらしく、「よろしくお願いします。クモーノさん!」と言った。
「お……おう。宜しくな……」
期待通りの呼び名じゃなくてガッカリしている。それにもめげず、雲野さんは他の部員を紹介する。
「あそこにいる、魔法使いの女子が、二年生の阿野真理さんだ」
真理さんは立ち上がり、ペコリとお辞儀をする。フードのせいで顔がよく見えないが、それなりに整った顔をしているように見えた。それにしても物静かで、何か一言ぐらい挨拶があってもいいのでは?と僕は思う。
僕と隆太くんもペコリと挨拶をして、次に雲野さんは格闘家の男子生徒の紹介をしてくれた。
「で、最後に格闘家の男子。二年生の羽田三四郎くん」
羽田さんは立ち上がり、「よろしくお願いします」と右手の拳を左の手の平にパンっと打ち、お辞儀をした。礼儀正しいのかどうかよくわからないが、どいつもこいつもクセが強い。
隆太くんも拳を手の平に打ち、お辞儀をする。なんでマネしてんだ?
「んで」
と雲野さんは部員の紹介を終えて、最後に顧問の先生について紹介してくれる。
「そこにおられるお方が、我々の師匠である所峰先生だ。三年を担当してくださっている」
すっごい丁重な紹介だが、そんなに凄い人なのだろうか?まぁどうでもいいや……と僕は皆とは少し距離を取る。隆太くんは終始楽しそうだ。
「それで」
と雲野さんは僕たちの方を見る。
「君たちの名前と武器は?」
隆太くんはその質問に、「田島隆太と申します!一年生です!武器は……」とどこからともなく折り畳み式の槍を取り出した。しかし、槍は伸ばさずに皆の前に見せて叫ぶ。
「武器は、槍です!この槍で、どんなモンスターも一突きしてやります!」
そんな大声で叫ばなくても……
「ほほぉ……槍使いか……」と雲野さんは隆太くんの分析を始める。「中距離での戦いが得意そうだな。このパーティにいないジョブだ。グッジョブ!」
グッジョブ?駄洒落を言ったのか?誰も笑っていないように見えたが、所峰先生は「フォフォフォ」と笑っている。「ワシの若い頃にそっくりじゃ」
若い頃、どんなんだったんだよ!と思っていると、雲野さんは僕の方に目を向けてきた。
「それで、君の名前と武器は?」
「あ、はい」と僕は頭をポリポリとかきながら自己紹介をする。
「白野勇次、一年生です。武器はありません」
その発言に、格闘家の羽田さんが反応をした。
「という事は、俺と同じ、拳が武器ということか?」
あぁ、そんなライバル心むき出しの目をされても困るんだけど……と、僕は困惑しながら言う。
「いえ、モンスターを倒した事がない、という事です」
皆がそれぞれの顔を見合わせる。そして、この子は何を言っているのだろう?と首を傾げた。そして、雲野さんが代表して口を開く。
「え?パーティに加わって何したいの?」
まぁ、そうなるよな……と思い、僕は正直に説明した。
「あぁ、隆太くんに誘われて入っただけで、特に何かをしたいとかはないです」
「あ……そうなんだ」と雲野さんは明らかに動揺している。「え?じゃあ、何て呼べばいい?」
何て?何が?普通に名前で呼んでくれたらいいが……
僕が頭の上に?マークを出していると、雲野さんは続けて言う。
「いや、ほら、俺は勇者雲野。彼は格闘家の羽田。彼女は魔法使いの真理。で、師匠の所峰先生。そして、君の友達は槍使いの隆太くん。わかるよね?」
「ジョブは何か?って事ですか?」
「うん。ジョブを決めてくれないと、ちょっとやり辛いかなぁ」
何がやり辛いと言うのだ。この人は何を言っているんだ。でも、なんか決めないと前に進まない気がするので、僕は知る限りのジョブを頭の中で並べたが、これといって自分に合うものが見当たらなかった。うーん……いや、ちょっと待て、これを普通の部活に例えるなら……そうか、これしかない。
「マネージャーってのはどうですか?」
雲野さんは目を見開き少し考えてから否定する。
「いやいや、それじゃあ普通の部活みたいじゃないか!」
部活だろ。と思いながら、相手に合わせてあげる。早くこの場から去りたい。
「では、道具使いってのはどうですか?」
その瞬間、雲野さんの目が輝いて、「それだーーー!!」と指をさしてきた。
あーーうるさい……
「よし!君は道具使いの勇次くんだ!よろしく!道具使い!道具の管理と使用は君にまかせたぞ!」
「いいじゃん勇次!カッコイイよ!」
隆太くんもなんだか嬉しそうだ。何がそんなに嬉しいのだ?なんか知らんが、成り行きで専門的な役を与えられてしまった気がする……放課後が恐ろしい。こうして朝の会の時間が迫り、冒険部は一旦解散となった。ミーティングしてないけどいいのだろうか?
まぁいいや……みんなに適当に合わせて行こう。
雲野さんは朝の会が始まるまでまだ時間があるので、部員を紹介してくれた。
「まず、俺がこのパーティのリーダーであり勇者、そして三年生の雲野太郎だ。雲を英語にして呼んでくれてもいいぞ」
雲を英語?あぁ、そういうことか。僕は「よろしくお願いします。雲野さん」と普通に返事をする。隆太くんは雲を英語で何ていうのか知らないらしく、「よろしくお願いします。クモーノさん!」と言った。
「お……おう。宜しくな……」
期待通りの呼び名じゃなくてガッカリしている。それにもめげず、雲野さんは他の部員を紹介する。
「あそこにいる、魔法使いの女子が、二年生の阿野真理さんだ」
真理さんは立ち上がり、ペコリとお辞儀をする。フードのせいで顔がよく見えないが、それなりに整った顔をしているように見えた。それにしても物静かで、何か一言ぐらい挨拶があってもいいのでは?と僕は思う。
僕と隆太くんもペコリと挨拶をして、次に雲野さんは格闘家の男子生徒の紹介をしてくれた。
「で、最後に格闘家の男子。二年生の羽田三四郎くん」
羽田さんは立ち上がり、「よろしくお願いします」と右手の拳を左の手の平にパンっと打ち、お辞儀をした。礼儀正しいのかどうかよくわからないが、どいつもこいつもクセが強い。
隆太くんも拳を手の平に打ち、お辞儀をする。なんでマネしてんだ?
「んで」
と雲野さんは部員の紹介を終えて、最後に顧問の先生について紹介してくれる。
「そこにおられるお方が、我々の師匠である所峰先生だ。三年を担当してくださっている」
すっごい丁重な紹介だが、そんなに凄い人なのだろうか?まぁどうでもいいや……と僕は皆とは少し距離を取る。隆太くんは終始楽しそうだ。
「それで」
と雲野さんは僕たちの方を見る。
「君たちの名前と武器は?」
隆太くんはその質問に、「田島隆太と申します!一年生です!武器は……」とどこからともなく折り畳み式の槍を取り出した。しかし、槍は伸ばさずに皆の前に見せて叫ぶ。
「武器は、槍です!この槍で、どんなモンスターも一突きしてやります!」
そんな大声で叫ばなくても……
「ほほぉ……槍使いか……」と雲野さんは隆太くんの分析を始める。「中距離での戦いが得意そうだな。このパーティにいないジョブだ。グッジョブ!」
グッジョブ?駄洒落を言ったのか?誰も笑っていないように見えたが、所峰先生は「フォフォフォ」と笑っている。「ワシの若い頃にそっくりじゃ」
若い頃、どんなんだったんだよ!と思っていると、雲野さんは僕の方に目を向けてきた。
「それで、君の名前と武器は?」
「あ、はい」と僕は頭をポリポリとかきながら自己紹介をする。
「白野勇次、一年生です。武器はありません」
その発言に、格闘家の羽田さんが反応をした。
「という事は、俺と同じ、拳が武器ということか?」
あぁ、そんなライバル心むき出しの目をされても困るんだけど……と、僕は困惑しながら言う。
「いえ、モンスターを倒した事がない、という事です」
皆がそれぞれの顔を見合わせる。そして、この子は何を言っているのだろう?と首を傾げた。そして、雲野さんが代表して口を開く。
「え?パーティに加わって何したいの?」
まぁ、そうなるよな……と思い、僕は正直に説明した。
「あぁ、隆太くんに誘われて入っただけで、特に何かをしたいとかはないです」
「あ……そうなんだ」と雲野さんは明らかに動揺している。「え?じゃあ、何て呼べばいい?」
何て?何が?普通に名前で呼んでくれたらいいが……
僕が頭の上に?マークを出していると、雲野さんは続けて言う。
「いや、ほら、俺は勇者雲野。彼は格闘家の羽田。彼女は魔法使いの真理。で、師匠の所峰先生。そして、君の友達は槍使いの隆太くん。わかるよね?」
「ジョブは何か?って事ですか?」
「うん。ジョブを決めてくれないと、ちょっとやり辛いかなぁ」
何がやり辛いと言うのだ。この人は何を言っているんだ。でも、なんか決めないと前に進まない気がするので、僕は知る限りのジョブを頭の中で並べたが、これといって自分に合うものが見当たらなかった。うーん……いや、ちょっと待て、これを普通の部活に例えるなら……そうか、これしかない。
「マネージャーってのはどうですか?」
雲野さんは目を見開き少し考えてから否定する。
「いやいや、それじゃあ普通の部活みたいじゃないか!」
部活だろ。と思いながら、相手に合わせてあげる。早くこの場から去りたい。
「では、道具使いってのはどうですか?」
その瞬間、雲野さんの目が輝いて、「それだーーー!!」と指をさしてきた。
あーーうるさい……
「よし!君は道具使いの勇次くんだ!よろしく!道具使い!道具の管理と使用は君にまかせたぞ!」
「いいじゃん勇次!カッコイイよ!」
隆太くんもなんだか嬉しそうだ。何がそんなに嬉しいのだ?なんか知らんが、成り行きで専門的な役を与えられてしまった気がする……放課後が恐ろしい。こうして朝の会の時間が迫り、冒険部は一旦解散となった。ミーティングしてないけどいいのだろうか?
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