異世界からめちゃくちゃモンスターが転生されてくるんだけど、いい加減誰かなんとかしてください

ゆみのり

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7 目を合わせるだけで毒に侵される

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 部室を出たあと、僕は隆太くんと軽く会話をした。隆太くんはずっと雲野さん達の事をカッケーカッケーと言っており、それ以外の言葉は無いのかと思いながら話を合わせる。

「凄いよね。堂々としていて」

 現代の世界でよくあんな格好で居られるものだ……という意味だ。異世界なら違和感は無いと思うのだけど、さすがにちょっと恥ずかしい。いや、コスプレイヤーの趣味があればいけるか?そうだな。あれはコスプレだ。あんまり悪く思うのは申し訳ない。そんな事を考えていると、隆太くんは目を輝かせながら言う。

「俺も、槍使いらしく鎧とか装備しようかな!でも、鎧って高いんだよなぁ」

「ダンボールとかで作ればどうかな?」

 僕がそう提案すると、隆太くんは「いや、ダンボールとか恥ずかしいじゃん」と返して来た。

 この世界で鎧着てても恥ずかしいだろ!と思いはしたが、言わないでおこう。

 そんな会話をしていると、1年2組の教室に到着した。僕たちは中へ入り、席に座る。他のクラスメイトは既に座って先生を待っていた。僕は運動場を見渡せる窓際の席の後ろから二番目だ。隆太くんは一番前の席の真ん中にいる。先生から一番見られる位置だ。

 あと数分で担任の先生が来るな……と思っていると、背中を硬い棒のようなものでツンツンされた。振り向くと、そこには6年生の時に同じクラスだった灰谷花林がいて、僕に話しかけてくる。

「ねぇ、隆太くんとどこ行ってたの?」

「あ……いや……」

 僕はモジモジしながら考える。なんて言おう?冒険部なんて言ったら引かれるかもしれない。

「校内を散策してた」

「入部届持って?」

「うっ」と僕は隆太くんの方を見る。そうだよ。花林は観察眼が凄い。

「ごめん。嘘ついた。実は、入部届出しに行ってた」

 まぁ、嘘をついても仕方ないし、いずれバレることだから正直に話すか……そう、正直に。

「隆太くんに誘われて冒険部に入ってきたんだ。別に僕は入りたいわけじゃなかったんだけど、隆太くんが一人で入部届を出しに行くのが心細いって言うから、仕方なく」

 すっごい言い訳がましいが、真実なのだから別にいいだろう。

「うっそ?!あそこに入ったの?!」

 あぁ、驚いてるよ。引いてるよ。でも気持ちはわかる。

「いや、ほんと、仕方なく入っただけだから。隆太くんの付き添いだから」

「わかったわかった」と花林は笑い、廊下の方を見る。「あ、先生来た」

 花林がそう言ったあとに、前の扉から担任の先生が現れた。眼鏡をかけてちょび髭を生やした30代後半の先生で、名前を窪岩清夫くぼいわすがおという。皆からは、窪先生と呼ばれている。

 窪先生は数学教師で、数学を教えてくれている。世界は数字で出来ているとか言っていたが、僕には理解できなかった。窪先生は皆に挨拶をして、そして朝の会を始める。

「え~……では、出席を取る……」と言った窪先生は、教室を見渡して、「ま、全員来てるから取らんでもいいか」と出席簿を教卓に置く。「時間の無駄だな」

 まぁ、確かにその通りだよなと思いつつ、無いのはそれで寂しい気もする。

「お前らは」と窪先生は僕たちを見渡して言う。「中学生活で何をしたい?」

 教室内がざわざわと騒がしくなる。

「お前らはこれから、卒業までの間色々な選択肢に直面するだろう。しかし、どんな選択をするにしても、後悔の無いように全力で取り組むことだ。じゃ、朝の会は以上」

 それだけ言った先生は、教室を出て行った。一限目が始まるまでまだ時間があるので、皆は立ち上がり仲の良い生徒とお喋りを始めている。僕も隆太くんの元へ行く。すると、花林まで付いて来た。

「よっ!隆太くん!隆太くんて、冒険部に入ったんだって?」

 花林はいきなりそんな事を言う。

「誰から聞いた?さては勇次!お前だな!」

 僕は苦笑いをして、「まぁ」と言った。「ごめん」

 すると、隆太くんは笑いながら言葉を発する。

「なんだよ~!あんまり興味ないフリして、自慢してんじゃん!あんまり言いふらすなよ、も~!」

 なんか勘違いしているが……まぁいいか。

「二人が入ったなら、私も入ろうかなぁ」

 花林は恐らくノリでそう言っているのだろうが、部員の姿を見たらきっと止めておこう……となるはずだ。……と、その時である。突然、「ギャアア!!」と獣の鳴き声がした。そして、生徒の一人が「なんだあれ?」と運動場を指さす。

 僕たちは窓際へ行き、そこにいる何かを確認した。モンスターだ。モンスターが運動場にいる。恐らく三メートルぐらいの大きさがあり、鶏の身体に蛇の尻尾を持っていた。

「コカトリスだ……」

 と隆太くんはモンスターの名前を言う。そして、クラスのみんなに聞こえる声で忠告をした。

「目を合わせちゃいけない!目を合わせるだけで毒に侵される……」

 皆はそれを聞き、恐怖で窓際から遠ざかる。もちろん隆太くんも遠ざかり、外を見ないようにした。

「どうすんの?」と僕が隆太くんに聞くと、「僕たちのレベルじゃ無理だ……」と答えた。

「じゃあ、自衛隊が何とかしてくれるのかな?」

「どうかな?」

 と隆太くんは普段は見せない顔で言葉を返す。こういう時は結構頼りになる。

「運動場は広いけど、校舎があるし、周りは住宅街だ。あれを倒すには、相当な火力が必要だと思うけど、ここでそれをぶっ放したら、一般人に被害が出る」

 なるほど……確かに。ミサイルでも撃てば一発かもしれないが、こちらにも被害が出てしまう。じゃあどうすんの?と思っていると、校内放送が流れてきた。先生からだ。何て名前の先生か知らないが……

 先生は校内に居る僕たちを落ち着かせて、そして指示を出す。その指示とは、「モンスターを刺激しないようにお願いします」だった。

 どうやら警察には連絡したらしく、そのうちに来てくれるらしい。だから、それまで刺激せずに大人しく、いつも通りに振る舞うようにと言っていた。そして、くれぐれもコカトリスの目は見ないように……と。

 放送が終わり、教室に一限目の先生が入ってくる。一限目は国語だ。先生は挨拶をしたあと、床を見ながら窓のカーテンを閉める。とりあえず自分たちが出来るのはこれぐらいだろう。そして、窓際の席の人は、ある程度窓から距離を取って授業に取り組んだ。

 でも、なんというか……全然授業に集中できない!それは先生も同じで、黒板に書く文字が震えていた。

 こんな時に授業なんて……狂っている……! 
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