異世界からめちゃくちゃモンスターが転生されてくるんだけど、いい加減誰かなんとかしてください

ゆみのり

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9 回復する隙を与えなければいい

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 一限目の授業が終わり、皆はカーテンの隙間からコカトリスを見る。目を合わせると毒に侵されるらしいので、皆チラ見して遠ざかり、また窓際へ行く。コカトリスは目を瞑っており、今なら見てても問題は無さそうだけど……いつこちらを見てくるかわからないので、恐ろしいのだろう。僕も恐ろしい。

 隆太くんもコカトリスをチラ見していて、モンスターから目を反らした時に「あ!」と声を出す。「クモーノさん達だ!」

「え?」と僕も隆太くんの見る方向に顔を向ける。すると、確かにそこに部室で見た格好の雲野さん達がいた。

「何する気だろう?」

 僕がそう言うと、隆太くんは「コカトリスを討伐する気だ」と返す。そして、廊下のほうに走り出し僕の方を見て声を張り上げた。

「勇次!!俺らも行くぞ!!冒険部の出番だ!!」

 皆が僕と隆太くんの方を見る。いや、もうみんなにバレたじゃないか!と恥ずかしくなり、教室に居辛いので僕は隆太くんの後を追った。すると、もう一人僕に続いて廊下に出てくる。花林だ。

「花林、何で付いて来てるの?」

 僕が花林に訊ねると、彼女は「面白そうだから」と笑う。いや、結構危ないと思うけど……

 下駄箱で靴を履き替えて玄関を出る。そして、運動場へ行くと、冒険部の三人と顧問の先生が遠目からコカトリスの様子を伺っていた。なるべく目を直視しないように、横目で見ている。

「クモーノさん!!」

 隆太くんは雲野さんに呼びかける。

「やっちゃうんですね!俺も手伝います!」

「あぁ、隆太くんと……」と雲野さんは僕たちの方を見る。「勇次くんだね。ん?その子は?」

 雲野さんは花林の方を見て問いかけてきた。

「灰谷花林です。えーーっと、勇次と隆太くんの幼馴染かな?」

 幼馴染って呼べるほどの長い付き合いはないが……まぁ、それは今どうでもいいだろう。

「一般人か。危ないから下がってなさい」

 雲野さんは花林にそう言って指示を出す。

「真理、どう思う?」

 それから雲野さんはローブに身を纏う真理さんに聞いた。

「全快」

 真理さんはそれだけ言い、首を横に振ってため息をつく。

「警察官が与えたダメージはもう治癒してるってわけか……回復魔法が使えるのかもな。いや、もしくは自然治癒?」

 雲野さんがそう分析すると、「だったら」と羽田さんが拳を握りしめて構える。「回復する隙を与えなければいいわけだな」

 何だか三人とも戦闘態勢に入っている。いや、隆太くんもだから、四人か?

「そ、そんな事ができるんですか?」と隆太くんは興奮気味に言い、折り畳み式の槍を取り出す。

「チマチマとダメージを与えるだけじゃダメじゃな」

 今まで黙っていた所峰先生がようやく口を開く。この人は何をしに来たのだろう?止めなくてもいいの?

「必殺技や魔法で、大きなダメージを与える必要があるの」

 先生はそう言い、近くの花壇のレンガの上に座った。そして、目をギラリとさせて言う。

「武器と必殺技、魔法の使用を許可する。冒険部よ、コカトリスを討伐するのじゃ」

「はい!!」と四人は返事をして、雲野さんが隆太くんに訊ねる。「隆太くんは、必殺技を使えるか?」

 隆太くんは槍を伸ばして、「使えます!!」と声に出す。そして、その名前を口にする。

「グルグルスラッシュです!!」

 あぁ、ダサいダサい……ダサい名前出た……聞いてるほうが恥ずかしい。

「なるほど」と言い、雲野さんは次に僕の方を見た。「勇次くんは……使えないよね?」

「あ……まぁ」

 僕がそう返事をすると、「じゃあ、これで援護してくれ」と小さな花火みたいなのを五個取り出し僕に渡して来た。

「何ですかこれ?」

「煙幕だ」と雲野さんは言い、僕に指示を出す。「それでコカトリスの視界を奪ってくれ」

 え……?僕にもバトルに参加しろと……?いや、まぁ、冒険部に入ったし、この人たちの一員だけど……

 本当は参加したくないが……恐らくサポートが無ければ危ないかもしれない。なので僕は承諾した。

「わ……わかりました」

「それじゃあ、お前ら、行くぞ!!」

 と雲野さんが叫んだところで休み時間の終わりを告げるチャイムが鳴る。雲野さんと羽田さん、真理さんは構えを解いて、コカトリスに背を向けた。隆太くんはキョトンとしている。

「休み時間が終わってしまった……また次の休み時間にしよう」

 雲野さんはそう言い、三人は玄関へ向かう。先生も立ち上がり、「ほら、チャイム鳴る前に教室におらんといかんだろ」とやかましい。いや、討伐するように言ったの誰だよ。ってか、学校のルールを優先するんだ……と、僕は複雑な気持ちになる。

「時間切れか」

 隆太くんはガッカリして肩を落とす。花林はそんな冒険部の姿を見て、僕に言った。

「私も入ろうかな」

 なんで……?!

 僕は言葉を失い、おかしいのは自分の方なのかな?と、首を傾げながら玄関に向かった。

 花林には、「好きにすれば?」と言っておいたので、後で入部してくるかもしれないが……まぁいいや、次の休みが憂鬱だ。
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