ソード・オブ・ホワイト–魔術至上主義の世界で最強剣士を目指す–

インドアな梨

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第3話 転機

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 授業が始まる時間が近づいても、教室に姿を現さないアルバ。
 ナキとラエルは心配になり、2人でアルバの行方を探すことにした。
 しばらく校内を探すと、2人はゴミ捨て場で気を失っているアルバを発見した。

「アルバっ!」
「アルバ君っ……!」

 2人は激しく流血しているアルバを保健室へ運びベッドで横になっている様子を伺っていると、担任であるジュエリローゼが入室してきた。

「先生!」
「はあ。 それで、容体は?」
「出血は処置したんですけど……まだ意識は戻ってません」

 ラエルが気遣わしげな表情で容体を説明すると、ジュエリローゼはアルバの眠るベッドへと足を進めた。

「うむ。激しくやられているな」
「せっ先生!アルバは大丈夫なのか!?」
「まあ、大丈夫だ。それと先生には敬語を使うんだぞ」

 アルバの傷だらけの顔に目を向けたジュエリローゼは、ナキにゲンコツを食らわせながらそう言った。
 しばらくアルバの顔を見つめると、何かを懐かしむような表情を浮かべたジュエリローゼは意味深な発言をする。

「ふふ。昔にもいたな。こんな奴が」
「どういう事ですか?」
「いや、昔にもこいつみたいに保健室へ運ばれてきた生徒が居てな」
「そうなんですね。どんな方だったんですか?」

 ラエルが興味津々な様子でジュエリローゼの話を掘り下げる。

「そうだな。一言で表すと、『馬鹿な奴』だった」
「はっはあ……」

 薄ら笑いを浮かべながら話すジュエリローゼの話を、2人はそれ以上深掘りしなかった。

「まあ、こいつはお前達のような友達もいるみたいだし、安心だな」

 そう告げたジュエリローゼは、「後は任せたぞ~」と背を向けたまま手を振り、保健室を出て行った」

「なっなんかジュエリローゼ先生ってそこが見えないというか……」
「だな。ちょっと男心をくすぐられる」
「ナッナキ君!?」

 ナキの謎の発言に、辿々しい反応を見せたラエル。
 そんなやり取りをしていると、アルバが気を取り戻した。

「……ぐっうぅ……痛っ」
「アッアルバ君!! 動かない方がいいよ!」
「アルバ、大丈夫か」
「ナッナキとラエル。僕、気を失って……」

 痛々しそうに話すアルバ。
 ゴミ捨て場で気を失っていたアルバを保健室へ運び、ジュエリローゼとのやり取りを説明すると、安堵の表情を浮かべたアルバは--

「そうでしたか……。ありがとうございます」
「ごめんなアルバ。守るって言ったのに」
「謝らないで下さい。僕がもっと強ければよかっただけの話です」

 そんなやり取りを済ませ、ナキとラエルは教室へと戻った。
 アルバは保健室で1人になると、先程の戦闘を思い出し一言吐く。

「もっと強くならなきゃ」

 結局、アルバは早退する事となり両親の迎えで自宅へと戻った。

--その日の夜

「剣術を見直そう」

 昼の出来事に大きく危機感を感じたアルバは、剣術を前進させる事を決意していた。
 しかし、アルバは魔術学校に入学した。正しくはこのご時世で剣術の教育をしてくれる学校はない。
 環境に悩むアルバは、そんな事を考えながら道場の師匠に貰った手紙を読み返していた。
 するとある事に気づいた。

「あれ、何だ?」

 アルバは10歳の頃に貰った手紙に違和感を覚えた。
 何かを察したアルバは、咄嗟に家を出ると家から徒歩10分先にある道場へと走った。

「師匠!!」

 剣術道場『凪』
 決して大世帯とはいえない外観だが、年季の入った木柱は何やら圧を感じさせる。
 そんな道場の襖を勢いに任せ開けたアルバ。
 襖の奥には、幼き頃の師匠である『剣老ヴァリオス』が腰を下ろし刀を研いでいた。
 そんな彼の白く長い顎髭からは、仙人感が溢れ出している。

「おお……アルバか。いきなりどうしたんじゃ」
「てっ手紙!縦読みしたんです……!!」
「おお。そうじゃったか……。人は何か悩み事があるとついつい縦読みをしてしまう生き物じゃ」

 ホッホッホと訳の分からない偏見を話すヴァリオス。
 彼がアルバの卒業時に宛てた手紙には、ある小細工が仕掛けられていた。
 一見、何の変哲もないその手紙は縦読みにすると『困ったら訊ねよ』と読めるのだ。
 師匠であるヴァリオスは、アルバが必ずこの手紙を縦読みする事を分かっていた。
 ヴァリオスの計らい通り、細工に気づいたアルバは手のひらで転がされるように道場へと赴いた。
 アルバは畳の上に腰を下ろすと、最近の出来事をヴァリオスに全て話した。

「そうか……。アルバよ。随分と遠回りをしておるようじゃな」
「遠回りですか?」
「そうじゃな……。お主ももう15じゃ。伝えておいた方がいいのお」

 アルバはキョトンした表情で顔を傾けた。
 髪の毛で目が少し隠れているアルバに、ヴァリオスは細い目を見開き話す。

「アルバよ。世の中には、一般的に五つの剣術龍派がある事はお主も知っておるじゃろ」
「はい」

「五つの龍派はそれぞれ『火炎龍ボレアスの至炎《しえん》流』『蒼雷《そうらい》龍デギルドの蒼雷流』
『風神龍カノープの風神流』『水金《すいごん》龍ウォルタの水金流』『深淵龍始めた深淵《しんえん》流』とある。
しかしアルバよ。お主の龍派はこのどれにも当たらない」

「………………」

 ヴァリオスの発言にアルバは沈黙した。
 どの龍派にも当てはまらないとは剣士としてどうなのかと内心気を落とすアルバにヴァリオスは続けて話した。

「アルバ。主の龍派は剣術創造以来、誰も素質をもてなかった幻の龍派『白鱗《はくりん》派』じゃ」
「白鱗派……?」

 正座で座るアルバに強い風が飛び込んだ。
 ヴァリオスは再度目に力を入れると、アルバへと白き龍の龍派についての説明を続けた。
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