前世知識は最強!異世界改革!

namisan

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第48話 白亜の市庁舎と、鉄の結束(ユニオン)

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 農業都市アリアの開拓宣言から数週間。
 整地された広大な土地には、すでに入植者たちの住居や仮設の畑ができ始めていた。
 だが、数万人規模の都市を機能させるには、司令塔となる場所が必要だ。
「セバス。今日中に『中枢』を完成させるぞ」
「御意。……土木部隊、配置につきました」
 俺たちが立っているのは、アリアの中心区画だ。
 俺の号令と共に、セバスと領内の土魔法使い、そしてドワーフの建築部隊が一斉に動いた。
 ズズズズズ……!!
 地面から石柱が競り上がり、切り出された石材がパズルのように組み合わさっていく。
 俺が設計したのは、機能性を最優先した鉄筋コンクリート造(に近い魔法建築)の庁舎だ。
 半日後。
 荒野だった場所に、威風堂々たる白亜の建物が出現した。
 『アリア市庁舎』だ。
 三階建てで、屋上には鐘楼があり、街全体を見渡すことができる。
「よし、次は隣だ。……こっちの方が、農民たちにとっては重要になる」
 俺は市庁舎のすぐ隣の区画を指差した。
 同じ工法で、より間口が広く、大きな倉庫を併設した建物が建てられていく。
 入り口には、麦の穂と歯車を組み合わせたエンブレムが刻まれた。
 看板にはこうある。
 『エルガレア農業協同組合(アリア・ユニオン)』
 ***
 建物の完成後、俺は大講堂に入植者の代表たちを集めた。
 彼らはまだ、自分たちがただの「小作人」だと思っている。
 俺は壇上に立ち、その認識を覆した。
「諸君。今日から君たちは、孤独な農民ではない。この『組合(ユニオン)』の一員だ」
 俺は黒板に、組合のメリットを書き出した。
1. 共同購入(バイイング・パワー)
「種、肥料、農具。これまでは個々人が商人から高い金で買っていたはずだ。だが、これからは組合が数万人分をまとめて買う。当然、価格は劇的に安くなる」
2. 共同販売(ブランド管理)
「作った作物は、全てこの組合が買い取る。市場価格が暴落しても、組合が最低価格を保証する。君たちは『売れない恐怖』から解放される」
3. 共有資産(シェアリング)
「これから導入する大型機械や、高度な魔法設備。個人では買えない高価なものを、組合の資産として導入し、全員でシェアする」
 農民たちがざわめく。
 彼らにとって、農業とは「天候と相場に怯える博打」だった。
 それが、組織の力で「安定した産業」に変わるのだ。
「その代わり、条件が一つある」
 俺は視線を鋭くした。
「品質だ。エルガレアのブランドを傷つけるような粗悪品は作らせない。組合が定めた栽培マニュアル(指導)を遵守すること。……それが守れる者だけが、このユニオンの恩恵を受けられる」
 一瞬の静寂の後、割れんばかりの拍手が講堂を揺らした。
 反対する者はいない。誰もが安定と豊かさを求めているのだ。
 ***
 その日の夕方。
 完成したばかりの市庁舎の市長室(俺の仮執務室)から、隣の組合施設を見下ろした。
 すでに多くの農民が出入りし、肥料の配給登録や、作付けの相談を行っている。
「……うまくいきましたな、若様(今は市長ですが)」
 セバスが紅茶を淹れてくれる。
「ああ。これでアリアは、ただの寄せ集め集団ではなく、一つの巨大な『生産工場』になった」
 バラバラだった個の力を束ね、システムとして運用する。
 市庁舎で行政を握り、組合で経済を握る。
 この両輪が回り始めた今、アリアの発展速度は誰にも止められないだろう。
「さて、次は……この巨大組織を動かす『燃料』が必要だな」
 俺は手帳を開き、次のページの計画を確認した。
 ハード(建物)とソフト(組織)の次は、それを加速させるテクノロジーの出番だ。

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