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第四章
44.再見
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『また会えたわね、月音……無事で何よりだわ……』
「プレジールさん!また会えるなんて……!」
儚げな笑みを浮かべて、彼女がこちらへ歩み寄る。
細かい疑問が次々浮かんだが、それを振り払って彼女に手を伸ばした。
――しかし、私の手は彼女の身体をすり抜けて、その向こう側へと伸びていた。
『ふふ、再会の熱い抱擁……と行きたいところだけど、残念ながらこの私は魔術でできた実体のない幻覚よ……本体は変わらず家にいるわ』
「あ、そ、そうなんですねっ、すみません。それで、なんでプレジールさんがここに?」
はしゃいでしまったことを恥ずかしく思いつつ肝心なところを質問する。
私の隣に並んだ彼女は、その目的を話し始める。
『では、単刀直入に。まず私が現れたのは……ミェルに渡した月水晶を探知するペンダントに仕込んだ魔術を使ったから。あなたたちに助力するために、ね……』
「そういえば、あのペンダントにドライフラワーが使われていましたね。それを通してですか」
『ええ、そう……試したことのなかった魔術だから、期待させすぎないように話さずにいたのだけど……上手くいってよかったわ』
吐息交じりのか細い声でそう告げる。
ミェルさんが一番身近な魔女だから感覚が狂っているが、プレジールさんもとんでもない魔女なんじゃないだろうか。
『それで、ミェルと現状の話をしたかったのだけど……寝てるわね、アイツは』
だらしない顔で寝息を立てるミェルさんを見て一息吐く。
「あの人、とっても頑張ったんです。トリステスでの戦いはほんとに過酷で」
ミェルさんは私を守るために全力を尽くした。それはかけがえのない事実だ。
片目を失うほどの戦いがどれだけ過酷か、想像できない。
彼女の親友であるプレジールさんには、そのことをしっかりと知って欲しい。
『治りかけてはいるけど、かなりの深手を負ったみたいね……目も……。月音、とりあえずあなた達がどういう戦いをして来たか、教えてくれるかしら』
私はできる限り簡潔にプレジールさんと別れた後の旅路を説明した。
リスルディアが月水晶を用い、周辺諸国を洗脳魔術で従えていたこと。目当ての月水晶はすでに細かく分配された後で、転移魔術の贄には適さないこと。
シスターとの戦い、トリステスからの脱出、そしてなんとかこの村、ルぺルクスまで辿りつけたことをすべて。
時に頷きながら、最後まで聞き終えたプレジールさんは顎に手を当て、思案するように黙り込む。
静けさが辺りを包んで、直後にポツリと彼女が口を開いた。
『つまり、あとはタイミングを伺ってリスルディアに入り、月水晶を奪って転移すると……。ルぺルクスと出会えたのは僥倖ね、こんな村があったなんて……』
早くも次の算段を立てているようで、独り言を呟きながら目を閉じる。
まるで軍師が来てくれたような頼もしさだ。
プレジールさんの姿を見ながら、やってきた眠気に少し瞼が重くなった――その直後。
「だーれだ」
「ひゃああああ!?」
ピトッとひんやりした手がいきなり目を覆って真っ暗になる。
私の真後ろから聞き慣れた愉快そうな笑い声が聞こえて、反射的に声の主の名前を叫んだ。
「ちょっとミェルさん!なんですか急に!」
「くくっ……いやなに、話し声が聞こえたものだから起きちゃって。そしたらどうだ、私の親愛なるプレジールが君と絶賛お話中ときたもんだ」
『つまりは嫉妬で悪戯したんでしょう……月音も大変ね』
慌てて否定しようとしたミェルさんを遮って、間髪入れずにプレジールさんが続ける。
『いつから起きてたの……?』
「君がペンダントから出てきた、ってとこからかな」
じゃあさっさと混ざりに来い。と言いかけて、なんとか飲み込んだ。
『じゃあさっさと混ざりに来なさいよ……』
気持ちいいくらい完璧に代弁してプレジールさんに感謝。
『ともかく。とりあえず私の考えた案を聞いて……あっ、しまった……!!』
そのまま話を続けようとしたところで、突如足元から徐々にプレジールさんの身体が揺らいで、透け始めた。
『悠長にし過ぎたわ……今日の分の魔力の限界が来たみたい……いい?明日の昼頃村長を交えて作戦を立てたいから、話を通し――』
そこまで言って、文字通りプレジールさんは霧散した。
「慌ただしいな。というか、遠隔で話せる魔術があるなら早く言ってくれればいいのに。サプライズでもしたかったのかアイツは……ふぁぁぁ……」
「あ、起きたなら自分の部屋戻ってくださいって!ミェルさん!ミェルさ~ん!」
……結局、なぜか私が部屋を移動する羽目になった。
「プレジールさん!また会えるなんて……!」
儚げな笑みを浮かべて、彼女がこちらへ歩み寄る。
細かい疑問が次々浮かんだが、それを振り払って彼女に手を伸ばした。
――しかし、私の手は彼女の身体をすり抜けて、その向こう側へと伸びていた。
『ふふ、再会の熱い抱擁……と行きたいところだけど、残念ながらこの私は魔術でできた実体のない幻覚よ……本体は変わらず家にいるわ』
「あ、そ、そうなんですねっ、すみません。それで、なんでプレジールさんがここに?」
はしゃいでしまったことを恥ずかしく思いつつ肝心なところを質問する。
私の隣に並んだ彼女は、その目的を話し始める。
『では、単刀直入に。まず私が現れたのは……ミェルに渡した月水晶を探知するペンダントに仕込んだ魔術を使ったから。あなたたちに助力するために、ね……』
「そういえば、あのペンダントにドライフラワーが使われていましたね。それを通してですか」
『ええ、そう……試したことのなかった魔術だから、期待させすぎないように話さずにいたのだけど……上手くいってよかったわ』
吐息交じりのか細い声でそう告げる。
ミェルさんが一番身近な魔女だから感覚が狂っているが、プレジールさんもとんでもない魔女なんじゃないだろうか。
『それで、ミェルと現状の話をしたかったのだけど……寝てるわね、アイツは』
だらしない顔で寝息を立てるミェルさんを見て一息吐く。
「あの人、とっても頑張ったんです。トリステスでの戦いはほんとに過酷で」
ミェルさんは私を守るために全力を尽くした。それはかけがえのない事実だ。
片目を失うほどの戦いがどれだけ過酷か、想像できない。
彼女の親友であるプレジールさんには、そのことをしっかりと知って欲しい。
『治りかけてはいるけど、かなりの深手を負ったみたいね……目も……。月音、とりあえずあなた達がどういう戦いをして来たか、教えてくれるかしら』
私はできる限り簡潔にプレジールさんと別れた後の旅路を説明した。
リスルディアが月水晶を用い、周辺諸国を洗脳魔術で従えていたこと。目当ての月水晶はすでに細かく分配された後で、転移魔術の贄には適さないこと。
シスターとの戦い、トリステスからの脱出、そしてなんとかこの村、ルぺルクスまで辿りつけたことをすべて。
時に頷きながら、最後まで聞き終えたプレジールさんは顎に手を当て、思案するように黙り込む。
静けさが辺りを包んで、直後にポツリと彼女が口を開いた。
『つまり、あとはタイミングを伺ってリスルディアに入り、月水晶を奪って転移すると……。ルぺルクスと出会えたのは僥倖ね、こんな村があったなんて……』
早くも次の算段を立てているようで、独り言を呟きながら目を閉じる。
まるで軍師が来てくれたような頼もしさだ。
プレジールさんの姿を見ながら、やってきた眠気に少し瞼が重くなった――その直後。
「だーれだ」
「ひゃああああ!?」
ピトッとひんやりした手がいきなり目を覆って真っ暗になる。
私の真後ろから聞き慣れた愉快そうな笑い声が聞こえて、反射的に声の主の名前を叫んだ。
「ちょっとミェルさん!なんですか急に!」
「くくっ……いやなに、話し声が聞こえたものだから起きちゃって。そしたらどうだ、私の親愛なるプレジールが君と絶賛お話中ときたもんだ」
『つまりは嫉妬で悪戯したんでしょう……月音も大変ね』
慌てて否定しようとしたミェルさんを遮って、間髪入れずにプレジールさんが続ける。
『いつから起きてたの……?』
「君がペンダントから出てきた、ってとこからかな」
じゃあさっさと混ざりに来い。と言いかけて、なんとか飲み込んだ。
『じゃあさっさと混ざりに来なさいよ……』
気持ちいいくらい完璧に代弁してプレジールさんに感謝。
『ともかく。とりあえず私の考えた案を聞いて……あっ、しまった……!!』
そのまま話を続けようとしたところで、突如足元から徐々にプレジールさんの身体が揺らいで、透け始めた。
『悠長にし過ぎたわ……今日の分の魔力の限界が来たみたい……いい?明日の昼頃村長を交えて作戦を立てたいから、話を通し――』
そこまで言って、文字通りプレジールさんは霧散した。
「慌ただしいな。というか、遠隔で話せる魔術があるなら早く言ってくれればいいのに。サプライズでもしたかったのかアイツは……ふぁぁぁ……」
「あ、起きたなら自分の部屋戻ってくださいって!ミェルさん!ミェルさ~ん!」
……結局、なぜか私が部屋を移動する羽目になった。
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