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龍と晴と華夜
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「発言よろしいかな?首相。」
たくさんの官僚がいる中で一人すっと手を挙げた者がいた。
「どうぞ、秋羅殿。」
「では失礼して。お二人に聞きたいことがございます。」
この秋羅という男は官僚の中でも俺や晴の父親が権力を持つことを許さない男だった。
官僚でも俺たちの父親、首相の派閥と秋羅の派閥は全く考えが違った。
首相派閥はこれから先の未来のことを基本話す。その為には変革も必要だと思って行動する。
それを否定するのは秋羅派閥。
昔からの掟や伝統を重んじて変革を全て否定する。
確かに俺たちだって伝統や掟が大事なのはわかっている。何もかもを変えたい訳ではない。でも変えていかないと衰えていくというところを見ているのだ。
「君たちは若者だし、色んな発想があって非常に面白い。」
「ありがとうございます。」
「しかし、オニとヒトとの共存などあってはならないと私は思うのだ。」
「それは何故でしょうか。」
秋羅は細い体で弱そうな見た目をしているが昔から強い一族のオニの一人だった。本人も強いオニだそうだが、何のオニなのかはわからない。
心底俺たちをバカにしたような表情で笑いながら言った。
「何のために掟があると思う。それはオニを守るためだろう。昔の偉大な先祖様方がお決めになられた掟。それはきっと理由あってのこと。どうなるかわからないのにヒトと共存するなど、以ての外。君たち二人はそれはそれは大切な物を守りたいためにこのことを通したいだろうけど、それは無理なことだよ。」
「掟は確かに大事でしょう。それは分かっております。たくさん掟に守られたことも分かっているつもりです。ですが、16歳でヒトをオニの住む場所から追い出すことは一体何の意味があるのでしょう。」
「それはオニが少なくなるからであろう。」
「それなら今の状況と変わりません!」
俺は声を荒げて言った。
「ではヒトと共存して、オニが減るスピードが早まったらどうする?その時、君は責任が取れるのか?」
「いえ、それは取れません。」
「ならこの話は意味のないものだろう。」
「ですから、私は掟を無くすとは一言も言ってはおりません。能力の強いヒトは残すべきだと言っているのです。全て否定するのではありません。」
「そうは言っても正直なところ、君たちのお気に入りの行方不明なお姫様のためなのだろう?」
俺は秋羅から嫌味な言葉を投げつけられ、さっきまで苛立っていた表情を隠すことが出来なかった。
「…それはどういう意味でしょうか?」
「いやいや、噂によると君たちは行方不明になっているヒトの姫さんをこの場所に戻したくてこの場を利用してるのではないかな?と言っているのだよ。」
その場にいた華夜のおじさんの顔がさっきまで無表情だったのが怒りを出した。
「その者だって生きているのかもわからないだろう。そんなヒトなんかの為に動くなど、私には分からないな。」
その言葉の直後バンッと机を叩く音がした。
俺たちもキレる寸前だったが、その前に怒った人物がいた。
「それは私の娘のことでしょうか?」
それは華夜のオヤジさんだった。
「いえ、名前は出しておりませんので決してあなたの娘さんだとは言っておりませんよ。」
「ですが、今の発言で彼らのことを知っている者なら当然今の話は私の娘のことだと分かるでしょう。しかもこの場には彼らのことを知らない者などいない。ということは全員が思い当たるということです。」
「いや、それはですね…。」
「二人をからかうのもいい加減にしたらどうですか?今回の件に関しては色んな方々から事前に良いという声が出ているのをご存知ですよね?彼らがこの会議にて話したのはこれを正式なものにするためだけです。ですが、実質は裏で彼らはきちんと手を回し不満が出ないように各官僚たちに説明もしています。だからこそあなた以外に意見が出ないのです。それなのに私の娘を出してくるなど、今はそんな話ではないでしょう!今後のオニの話をしているのに私の娘だけではなく、ヒト自体をけなした言葉としてこの世界のヒトを産んだオニにあなたは恨まれますよ。彼らは離れて住んでいても家族だと思っているのですから。それは当然私もです。官僚としてそういう差別のするあなたの神経を私は疑います。」
その言葉に場は静まった。
一番華夜がいなくなって辛かったのは華夜のオヤジさんとおばさん、そして華夜の兄貴なんだ。
あの時今後この家に未練が残らないように、人間の世界に行っても耐えられるようにあえて突き放した言葉しかかけられないほど華夜がヒトになったことにショックを受けていた華夜の家族。
華夜のためを思った言葉が華夜を傷つけてしまったことを華夜の家族はずっと今に至るまで後悔していたのだ。
もう少し言葉があったのではないかと…。
それなのに秋羅の言葉はそんな華夜のおじさんを怒らせる言葉を行った。
この場にも直接の家族ではなくても親戚や友人がヒトになったことにショックを受けた者もいる。
それを考えずに言った秋羅は自業自得だった。
「しかしですな…。」
何かそのあと言おうとした秋羅を俺の父親である首相が止めた。
「もう良い、秋羅殿。秋羅殿の気持ちも分からなくもないがこの辺で変革していかなければ我らはなんの抵抗もなく消えてしまう。それならば少し抵抗しようではないか。それにこのヒトを追い出すという掟が決まった理由は私にも分からない。その理由が今生きている者が分からないのならば、それに対して多少なりとも様々な不安や怒りが生じているのであれば私はそれを変えても良いと思っている。昔とは違うのだよ、秋羅殿。」
そう言うと秋羅はおとなしく自分の席に座った。
「では皆に聞こう!龍と晴の意見、皆で決を採ろうと思う。反対者は手をあげろ。」
そういうと手を挙げたのは秋羅と秋羅の周囲の何人かだけだった。
「ではこれでこの二人の案が採用された。我らオニの大きな改革である。どの人物までが強い能力かを至急判断し、今までこのオニの世から出て行った者で該当する者がいれば戻すことを許可する。それは無理矢理戻すのではなく、本人が望んでいるのならば戻しても良い。以上でこの話し合いを終了とする。龍、晴お前たちをこの件を出題した者として、強い能力を持つヒトの判別など色々決めることの責任者に命ずる。より上に許可が必要な物がある場合は官僚としてお前たちの上の立場の者に相談すること。色々決めた際は必ず報告書をあげるように。」
「「かしこまりました。お受けいたします。」」
そう言ってこの会議は解散した。
俺たちはその後もどこまでを許可させるかなど色々決めていった。
思った以上に受け入れられる声も多くあり、どうにか基準を決めるまで半年かかった。
もちろん華夜はその基準値を軽く超えるほど大きな能力を持っていた為、オニの世に戻れる対象となった。
行方不明になっているが昔のデータが残っているため、その基準で決まったのだ。
たくさんの官僚がいる中で一人すっと手を挙げた者がいた。
「どうぞ、秋羅殿。」
「では失礼して。お二人に聞きたいことがございます。」
この秋羅という男は官僚の中でも俺や晴の父親が権力を持つことを許さない男だった。
官僚でも俺たちの父親、首相の派閥と秋羅の派閥は全く考えが違った。
首相派閥はこれから先の未来のことを基本話す。その為には変革も必要だと思って行動する。
それを否定するのは秋羅派閥。
昔からの掟や伝統を重んじて変革を全て否定する。
確かに俺たちだって伝統や掟が大事なのはわかっている。何もかもを変えたい訳ではない。でも変えていかないと衰えていくというところを見ているのだ。
「君たちは若者だし、色んな発想があって非常に面白い。」
「ありがとうございます。」
「しかし、オニとヒトとの共存などあってはならないと私は思うのだ。」
「それは何故でしょうか。」
秋羅は細い体で弱そうな見た目をしているが昔から強い一族のオニの一人だった。本人も強いオニだそうだが、何のオニなのかはわからない。
心底俺たちをバカにしたような表情で笑いながら言った。
「何のために掟があると思う。それはオニを守るためだろう。昔の偉大な先祖様方がお決めになられた掟。それはきっと理由あってのこと。どうなるかわからないのにヒトと共存するなど、以ての外。君たち二人はそれはそれは大切な物を守りたいためにこのことを通したいだろうけど、それは無理なことだよ。」
「掟は確かに大事でしょう。それは分かっております。たくさん掟に守られたことも分かっているつもりです。ですが、16歳でヒトをオニの住む場所から追い出すことは一体何の意味があるのでしょう。」
「それはオニが少なくなるからであろう。」
「それなら今の状況と変わりません!」
俺は声を荒げて言った。
「ではヒトと共存して、オニが減るスピードが早まったらどうする?その時、君は責任が取れるのか?」
「いえ、それは取れません。」
「ならこの話は意味のないものだろう。」
「ですから、私は掟を無くすとは一言も言ってはおりません。能力の強いヒトは残すべきだと言っているのです。全て否定するのではありません。」
「そうは言っても正直なところ、君たちのお気に入りの行方不明なお姫様のためなのだろう?」
俺は秋羅から嫌味な言葉を投げつけられ、さっきまで苛立っていた表情を隠すことが出来なかった。
「…それはどういう意味でしょうか?」
「いやいや、噂によると君たちは行方不明になっているヒトの姫さんをこの場所に戻したくてこの場を利用してるのではないかな?と言っているのだよ。」
その場にいた華夜のおじさんの顔がさっきまで無表情だったのが怒りを出した。
「その者だって生きているのかもわからないだろう。そんなヒトなんかの為に動くなど、私には分からないな。」
その言葉の直後バンッと机を叩く音がした。
俺たちもキレる寸前だったが、その前に怒った人物がいた。
「それは私の娘のことでしょうか?」
それは華夜のオヤジさんだった。
「いえ、名前は出しておりませんので決してあなたの娘さんだとは言っておりませんよ。」
「ですが、今の発言で彼らのことを知っている者なら当然今の話は私の娘のことだと分かるでしょう。しかもこの場には彼らのことを知らない者などいない。ということは全員が思い当たるということです。」
「いや、それはですね…。」
「二人をからかうのもいい加減にしたらどうですか?今回の件に関しては色んな方々から事前に良いという声が出ているのをご存知ですよね?彼らがこの会議にて話したのはこれを正式なものにするためだけです。ですが、実質は裏で彼らはきちんと手を回し不満が出ないように各官僚たちに説明もしています。だからこそあなた以外に意見が出ないのです。それなのに私の娘を出してくるなど、今はそんな話ではないでしょう!今後のオニの話をしているのに私の娘だけではなく、ヒト自体をけなした言葉としてこの世界のヒトを産んだオニにあなたは恨まれますよ。彼らは離れて住んでいても家族だと思っているのですから。それは当然私もです。官僚としてそういう差別のするあなたの神経を私は疑います。」
その言葉に場は静まった。
一番華夜がいなくなって辛かったのは華夜のオヤジさんとおばさん、そして華夜の兄貴なんだ。
あの時今後この家に未練が残らないように、人間の世界に行っても耐えられるようにあえて突き放した言葉しかかけられないほど華夜がヒトになったことにショックを受けていた華夜の家族。
華夜のためを思った言葉が華夜を傷つけてしまったことを華夜の家族はずっと今に至るまで後悔していたのだ。
もう少し言葉があったのではないかと…。
それなのに秋羅の言葉はそんな華夜のおじさんを怒らせる言葉を行った。
この場にも直接の家族ではなくても親戚や友人がヒトになったことにショックを受けた者もいる。
それを考えずに言った秋羅は自業自得だった。
「しかしですな…。」
何かそのあと言おうとした秋羅を俺の父親である首相が止めた。
「もう良い、秋羅殿。秋羅殿の気持ちも分からなくもないがこの辺で変革していかなければ我らはなんの抵抗もなく消えてしまう。それならば少し抵抗しようではないか。それにこのヒトを追い出すという掟が決まった理由は私にも分からない。その理由が今生きている者が分からないのならば、それに対して多少なりとも様々な不安や怒りが生じているのであれば私はそれを変えても良いと思っている。昔とは違うのだよ、秋羅殿。」
そう言うと秋羅はおとなしく自分の席に座った。
「では皆に聞こう!龍と晴の意見、皆で決を採ろうと思う。反対者は手をあげろ。」
そういうと手を挙げたのは秋羅と秋羅の周囲の何人かだけだった。
「ではこれでこの二人の案が採用された。我らオニの大きな改革である。どの人物までが強い能力かを至急判断し、今までこのオニの世から出て行った者で該当する者がいれば戻すことを許可する。それは無理矢理戻すのではなく、本人が望んでいるのならば戻しても良い。以上でこの話し合いを終了とする。龍、晴お前たちをこの件を出題した者として、強い能力を持つヒトの判別など色々決めることの責任者に命ずる。より上に許可が必要な物がある場合は官僚としてお前たちの上の立場の者に相談すること。色々決めた際は必ず報告書をあげるように。」
「「かしこまりました。お受けいたします。」」
そう言ってこの会議は解散した。
俺たちはその後もどこまでを許可させるかなど色々決めていった。
思った以上に受け入れられる声も多くあり、どうにか基準を決めるまで半年かかった。
もちろん華夜はその基準値を軽く超えるほど大きな能力を持っていた為、オニの世に戻れる対象となった。
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