愛に変わるのに劇的なキッカケは必要ない

かんだ

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 二日後には合う抑制剤が見つかり、セナは随分と楽になった。火照った体は変わらないが、発情というよりも風邪をひいているような症状のみだ。一日安静にしていればそのまま治るだろうとのことだった。
「セナ、大丈夫か?」
「大丈夫。熱いだけ」
「そうか。なら良かった」
 会話もまともに出来る。程度は軽めらしいので、今後も抑制剤を飲めば一日二日で発情期を終えることが出来るだろう。
 セナはベッドに横になり、ゆっくりと瞬きを繰り返した。
「眠いか?」
 眠いのだろう。副作用で眠気が強くなると聞いたから。
「べつに。お前こそ、大丈夫かよ」
「ん?」
 セナは俺の手を見る。そこは包帯が巻かれているが、大袈裟に見えるだけで大したことはない。自分の理性がどこにも行かないよう、セナを抱き締めている間噛んでいただけだ。
「大丈夫だよ」
「覚えてるよ。お前、ずっと噛んでただろ。すげえ、血が出てた」
「覚えてるのかよ」
 発情期中のことは覚えていなくても良かったのに。
「なんで、抱かなかったんだよ」
「俺はお前の意思を尊重したいんだよ」
「アルファのフェロモンを送らなかったのも、約束したからか?」
「そうだな」
「強い抑制剤を打ったって聞いた」
「余計なことを喋る担当医は替えよう」
 笑顔を浮かべる担当医が思い出され、舌打ちが出そうになる。
「セナが気にすることじゃない」
「当たり前だ」
「うん。少し寝るか?」
「ん、お前は帰って良いぞ」
「セナが寝たら帰るよ」
 瞼を閉じたセナが寝入るまで、サラサラの髪の毛を梳きながら撫でた。
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