主に交われば

かんだ

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19.急転

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 日々、学園は異様な静けさが深まっていた。
 だが、突然事態が急転したのだった。

 とある日の放課後。
 偶然、学園長含む教師陣が騒然とし始める場面に出会した。学園長らの後ろにハイリッヒ先輩とクラージュ先輩もいる。
 全員、見たことがないほど硬い表情をしていた。
 結界魔法の解読が済んだのかと期待し、思わずその後を追う。教師陣は咎める余裕もないのか、一瞥するだけで何も言わない。
 どこに向かうのかと思っていたが、着いた先は期待通りリリオン先輩が眠る部屋だった。
 やはり何か進展があったのだ! そう期待に胸を逸らせていたが、扉を見て「ぇ」と訝しむ声を出す。
 昨日まで確かにあった、部屋を守る結界魔法の陣と魔石が消えていたのだ。見た限りでは魔法の気配は一切ない、普通の扉に戻っている。
 教師の一人が勢いよくその扉を開ければ、瞬間鋭利な飛び道具が襲ってくる。教師は寸でのところで避け、他の教師は防護壁を作ってくれたおかげで怪我を負うことはなかった。
「早く彼を止めろ!」
 学園長がいつもとは違う、荒い口調で叫んだ。
 それに合わせ、教師陣が次々に魔法を行使し始めた。……が、何故か発動されなかった。
「魔法が!?」
「クソ!!」
 学園長が悪態を吐く。
 僕の場所からは部屋の中は見えないため、状況が一切読めない。彼、とはマリグノ先輩を指すのだろうか。
「遅い」
 低く、平坦な声が中から聞こえた。
 マリグノ先輩の声だ。
 僕は堪らず駆け出した。教師陣に首根っこを掴まれ近寄ることはできなかったが、中を見ることはできた。
 部屋の中は構造上あり得ないほど広くなっていた。よくある二人部屋のはずが、どこかの大広間のようだった。
 リリオン先輩とマリグノ先輩は部屋の中心部にいた。横たわっており、瞳は閉じている。不安になるほど顔は青白い。胸は上下していなかった。およそ、生きている者の姿に見えなかった。
 その姿を確認した途端、全身の血が引いた感覚に陥る。
「ルディ」
 その名前を呟いたのは誰だったか。貧血になったように思考もままならない僕には分からなかった。
「……っマリグノ、あなた」
 マリグノ先輩の姿は尋常ではなかった。数日振りに見たその姿は異様だった。
 瞬きもしない血走った目、どろりとした皮膚、ぼたぼたと流れる鼻血、少しやつれた頬、そして、言語の分からない音を高速に羅列する口。
 マリグノ先輩はリリオン先輩の前に跪き、恐らく多重の魔法を詠唱していた。
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